大きな鳥にさらわれないよう
著者 川上 弘美
遠い未来、衰退の危機を認めた人類は、「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選ぶ。異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある...
大きな鳥にさらわれないよう
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商品説明
遠い未来、衰退の危機を認めた人類は、「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選ぶ。異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人間の誕生に賭けー。かすかな希望を信じる人間の行く末を、さまざまな語りであらわす「新しい神話」。泉鏡花文学賞受賞作はるか先を静かに見通し、慈しみ深く描いた未来の人類史
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不思議。でも、納得。
2019/12/17 16:21
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初の話から、とても不思議な世界観が広がります。その後、また違った世界の中で、短いお話が繰り広げられます。
各話は、違っているようで、繋がっている。繋がりを発見する楽しみもありました。
人間という生き物について、改めて考えてしまいました。
マクロでミクロな物語
2019/12/08 21:26
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投稿者:ユキタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
異なる世界観の物語が収められている……と見せかけて、読み進めていくうちに大きな「流れ」の存在に気づく。1編1編は小さな人の営みなのに、全体を眺めると「人類」の行く末来し方が織り込まれた壮大なタペストリーになっている構成に脱帽。
ハードにしてソフト
2019/11/12 00:05
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界が荒廃して人類が滅亡するまでの数千年の抵抗を描いたSF連作短編集。ヒト遺伝子を残すため、光合成できるようになったり、動物の遺伝子を混ぜたり。それでも緩やかに人類は死に絶えていく。テーマはハードなのに書き味はソフト。バランス感覚が良い。
不思議で恐ろしい川上ワールドでの出来事
2022/05/04 22:36
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
14の短編がつながっていく、最初の作品「形見」は友達家族と温泉につかりに行く平和そうな作品に見えた、でも、私は「これは川上氏が書いたものだ、油断ならないぞ」と警戒する。そんな警戒はまもなく解除されることになる、子供は生殖ではなくて工場で動物の細胞を下敷きにつくられる、鯨由来、兎由来、牛由来、人間由来の基幹細胞は弱いそうなので製造が難しいらしい。でもどんどん、人間の人口は減少していく。緑の体を持つ合成代謝を行う集団に人類の未来を託そうとするが失敗に終わる、彼らは競争心がなく争いもない生殖に関しても競争心がなかったのだ、また様々な超能力をもつ突然変異体も人類存続の希望をかなえることができなっかた、彼らも集団をつくることが苦手だったから。不思議で恐ろしい川上ワールドでの出来事だった
人間愛
2020/02/16 02:47
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投稿者:そら - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説や映画に影響されやすくすぐ夢に見てしまう質なのですが、この本の力は殊更に強かった。
一晩中うなされて?いた。
想像力を大きく稼働させられることと、全編を通して付き纏って離れない、空気のような恐怖や不安がそうさせたのではないかと思う。
そして小説の中だけではなく、現代を生きる自分自身も毎日のようになにかしら不安なまま過ごしていることを改めて考えさせられる。
かけ離れた世界の話なのに全くもって他人事ではない、不思議なのに現実的な話。
人間という題材の本質が描かれているからそう感じるのかもしれない。あふれんばかりの人間愛のこわい本でした。
不思議な気持ちになった
2019/10/22 11:37
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投稿者:ムギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
未来の地球、何かが起こったあとの地球の不思議な様子が書かれた短編、私のもとに若い私が訪ねてくる不思議な話、特殊な能力を持った人物の話、地球上を旅する人の話、など今とは違う日常が書かれており、独立しているように感じるが、同じ人物がいろいろな話に登場し、終わりに向かうにつれて全てが明らかになっていく様は見事だった。作者はいったいどんな目で現代社会を見ているのだろうかと考えさせられた。現代とはかけ離れたように見える作品の世界だが、登場人物の言葉にハッとさせられた時もあった。全くわからない世界の話もあれば、今に近いと感じる話もあり、その辺りのバランスが良く、将来もしかするとありえるのかもしれないなと感じ、また人工知能と人類はどのように生きていくのだろうかと考えさせられた。SFってどうなのだろうと思っていたが、どうなんだと思う暇もなく読み終わってしまった。