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きいろとピンク | ウィリアム・スタイグ 著 | 11-44 |
---|---|---|
夜枕合戦 | 岸本佐知子 著 | 45-48 |
枕の中の行軍 | 岸本佐知子 著 | 49-51 |
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紙の本
よんですぐ傑作!って思うものから、二度読んでやっと腑に落ちるもの、長女と一緒に首をひねりながら、あ、っと思った原倫太郎/原游日本変換昔話「少量法律助言者」まで
2005/12/16 19:56
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
じつは、この本の先駆けとなった『謎のギャラリー』を私は読んでいません。だから、この本の成り立ちというか、生まれる背景や編者である北村薫の意図について全く知らないわけです。ただ、北村薫が編んだもの、ミステリー館とある以上、北村の目に叶ったミステリ(つまり本格推理小説)が沢山詰まってる、そのくらいの認識でいたわけです。
ところが、そんなに甘いものじゃあ全くないですね。最初に本を開く、そこで違和感があります。まず飛び込んでくるのが絵本なんですね。それについては解説というか巻末の対談で、宮部みゆきと北村薫は絶賛するんですが、そしてその読み込みには感心はするんですが、それほどかな?なんて思ったりします。それに、この絵本では色がかなり重要なんですね。本来の色とはちがっても、単純な色なんですからカラー印刷してもよかったんじゃないか、そんなことを思います。
で、今も書いたように巻末に宮部みゆきと北村薫の対談がついていて、ここで収録作品18編について、本当に丁寧な解説がされています。北村薫が作品を選んだ意図から、宮部にFAXで作品を紹介する、それを受信者が喜ぶ、同じ事務所の大沢在昌が文句をいうといったことがよくわかります。ですから、個別の作品紹介はしません。目次を書き写そうと思ったんですが、これも長すぎて断念。記憶に残ったものの内から、さらに選んで書いておきます。
恥ずかしながら初めて読む作品ばかりで、朧に読んだ記憶があるのが高橋克彦「盗作の裏側」と塚本邦雄「契戀/桃夭樂」の二作だけです。北村はどんなことから、こんな作品を発見したのだろう、と思いますね。ただし、です。どれも1回読んですっと楽しめるかというと、そんな単純な話ではありません。私など二度読んで、何となく納得したようなものから、今になってもぴんと来ないものもあります。
北村という当代きっての読み手が(書き手でもありますが)選んだから、とか、あの宮部みゆきが共鳴しているから、と面白くないものまで一緒になっヨイショなどせず、素直な気持ちでいるのが一番。で、私が一番感心したのは、原倫太郎/原游 日本変換昔話「少量法律助言者」でしょうか。正直、この本は一つの話と次の話の切れ方が分りにくくて、この文章をまとめるまでは、これは出久根達郎「神かくし」の中の一篇だと思い込んでいたんですね。さほどに出久根の作品はわからない。でも、同じ不明でも、原のそれには、その違和感の正体を突き止めたい、と思わせる不思議な魅力があります。私など5回も読んでしまい、?????が??くらいになったかな、なんて。
その点、高橋克彦「盗作の裏側」は上手いものだと思います。ハイスミス「クレイヴァリング教授の新発見」も、怖い。セシル「告げ口」は二度目に読んで納得。奥泉光「滝」は、納得はしませんが圧倒されます。逆に、ムロージェク「犬」、フェリー「虎紳士」、キロガ「息子」、出久根「神かくし」、稲垣「本が怒った話」、マーティン「バトン・トゥワラー」は、何だかな、って感じです。
素適なカバー装画は、山口マオ。