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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代中国、春秋時代、晋国の王の子として生まれながら後継者争いの陰謀に巻き込まれ若くして国を出奔、以来各国を放浪、苦難の旅を繰り返し62歳のときに帰還、春秋時代を代表する賢王の一人に数えられる晋の文公 重耳(ちょうじ)の生涯を描いた長編歴史小説。
文庫では上中下3巻で、上では幼少期から青年期までの成長を、中では王の子として国政に参加しての活躍と国からの出奔を、下では旅の苦難と帰還、中国全土の覇者となるまでが、多くの登場人物と当時の国の情勢を交えて語られていきます。
大きな成功には苦労が必要、苦労は報われるといった教訓めいた、道徳の教科書にでもでてきそうな成功譚という感じがしないでもないですが、重耳をはじめその周りに集まる人々はとても魅力的に、仇役はいかにも憎々しげに活き活きと描かれています。質・量ともに読み応え十分な歴史小説、遥かなる古代中国に思いを馳せ、重耳とともに一喜一憂、楽しみましょう。
古代中国歴史小説で旅をする
2023/04/15 19:55
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
(上中下巻)
主人公の重耳が国を追われ忠臣と共に流浪の旅に出る話ですが、先日も新聞にこれを読まれた方が感銘を受けたと読書感想が載っていました。
兄を殺され、わが身にも危険が迫る中必死の逃亡。無実にもかかわらずに讒言により国を出る羽目に陥る。行く先々で陰謀や助言、援助など様々な出来事に遭いながらも、家臣に励まされながら「いつか自国に帰る」ことを夢見てひたすら歩む。
本来は恵まれた立場の存在のはずが思わぬ罠にはまり、窮地に陥る主人公。
現代でも、努力し真面目に生きてきても、報われず誤解されるときがある。それでも、この主人公のように希望を抱きつつ耐える姿に自分をだぶらせるのも、一種の希望になると思いました。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代中国では有名人で数々のエピソードが語られるが宮城谷氏の世界は独特で人物一人一人が其処にいるかのように生き生きとしている。
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なんといっても、重耳のおじいちゃまがいい!!先見を見る眼を持っているんだねー。重耳の人柄の良さは天下一品です。私も付いて行って無い知恵を絞り出したいくらいです。
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春秋五覇の一人である「重耳」を書いた作品なり。
とある国の君主の三男に生まれた重耳が19年も中国をさまよい紆余曲折の末に覇者となる壮大な道のりがここにかかれているなり。
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上中下巻。春秋時代、陰謀により各国を19年も放浪したという苦難の末に、ようやく晋の王となった文公の物語。春秋の五覇の一人にも数えられる名君ですが、介子推を読むと、ちょっと印象が悪くなってしまいました。いえ、度量の大きな人物ではあるのですが。
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春秋五覇の一人、重耳(文公)の物語。
私を中国古代歴史時代小説の世界にはまらせた本です。
狐突がかっこいいです。
そして申生に泣きました。上中下巻。
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傑作の誉れ高い作品だけあって満足の出来。主人公は春秋五覇の1人、晋の文公だが、話はその二代前の王から始まる。王たちはもちろん、その家臣団も含めると非常に多数の登場人物がいるが、各々豊かな個性が与えられていてさすがである。
王の性格が、そのままその代の晋の姿に表れており、その意味で上中下巻それぞれ違った趣がある。
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一言で言うと船頭の様な人かと。
家臣と時の二つの流れに逆らわずに、
でもチャンと主導権は握っているところが
純粋に凄いかと。話を聞くという事がどれだけ大事なのかと身につまされた。
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前650年頃。晋の文公。春秋時代の五覇。(五覇:孟子は斉の桓公,晋の文公,秦の穆公,宋の襄公,楚の荘王を言い,荀子は斉の桓公,晋の文公,楚の荘王は変わらないが,あと2人を呉王闔閭(こうりょ)と越王勾践言う)。
国内の後継者争いで殺されそうになり,国外へ逃亡,各地を遍歴し,十七年後に晋の君主となります。
魅力的な人間の回りには人が集まります。狐突,郭偃,狐偃,先軫,介子推など一人一人の小説も出来そうなぐらい魅力的な人が多いように感じます。
『古来,やってはいけないことが3つある。1.禍をたくらんではならない
2.乱につけこむことをしてはならない3.人の怒りを増大させてはならない。喧嘩により人を屈しようとしてはならなく,たとえ勝ったとしても恨みを買うだけであり後世に禍を残すだけだ』この言葉が好きだ。
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一言でいうと、我慢なんですかね。
機を待つといいますか。
語彙が少ないのでうまく表現できなくてすいません。
面白いです。
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流浪の王子から王となった重耳の物語。彼を彩る人々がとても魅力的なんだけど、それらを魅了した重耳の人格が、やはり素敵なのだなと思う。
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「砂と星の国 晋」
ロマンチストな表現にどれだけ明るくて素敵な国なのだろうとの想像を裏切り、
その誕生から成長まで血にまみれている、なかなかハードな国。
重耳というタイトルなのに重耳の祖父、称の国力増強から物語が始まるところに宮城谷さんらしさを感じる。
食前酒、前菜、パン・・・とメインを待っている内におなか一杯になってしまうことが多いのだが、
これはちっとも満足させない。寧ろ食べれば食べるほどメインが待ち遠しくなる魅力を秘めている。
どうやって重耳は覇者となりえたのか。
その素地は一体どこでできあがったのか。
その疑問に答えを与えてくれているかのようだ。
初読では、称からどうして重耳のような茫洋とした孫が生まれたのか
とても不思議だった。
しかし読めば読むほど、心に秘めた苛烈な部分や、ちょっとした時の臣下への接し方に共通するところを感じ、
宮城谷さんの手腕に改めて敬服。
・・・でもこの巻だとやっぱり重耳の出番は少ないなぁ
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古代中国を舞台とする宮城谷昌光作品はどれを読んでも主人公に引き込まれす。この作品の主人公は中国春秋時代の覇者(春秋五覇といわれる)のひとりである晋の文公。内乱によっていったんは国を追われた重耳が苦難の末に帰国して春秋時代隋一の名君となるまでの物語。文庫本では3巻セットです。少しずつ時間をかけて読みたいと思いつつ、「次はどうなるかのか?」と思って、結局はあっという間に読み上げてしまいました。
数年に一度は読み返したくなる本の一冊です。
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春秋時代の晋の公子・重耳、後の覇王・晋の文公の若かりし頃を描く、宮城谷作品の代表格。重耳の人徳に焦点が当てられ、公子として流浪の日々を過ごした時期に周囲にどのように支えられ、覇者・文公が誕生していったのかが描かれている。