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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2000/10/25
  • 出版社: 小学館
  • サイズ:20cm/134p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-09-386062-9

紙の本

ミシン

著者 嶽本 野ばら (著)

MILKの洋服が似合う超人気バンドのカリスマ・ヴォーカリスト「ミシン」に恋する少女。ミシンを永遠の存在とするために少女は…。強烈な美意識に裏打ちされた典雅な文体で描かれる...

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ミシン

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商品説明

MILKの洋服が似合う超人気バンドのカリスマ・ヴォーカリスト「ミシン」に恋する少女。ミシンを永遠の存在とするために少女は…。強烈な美意識に裏打ちされた典雅な文体で描かれる、妖艶で純粋な恋愛の世界。【「TRC MARC」の商品解説】

作家・吉本ばななさんが涙した、喪われし少女たちの恋の物語。

あまりに切なくて、気持ちが引き裂かれそうになる、そんな恋愛小説ができました。誰もが一度は、こんな恋をしたいと思ったはずなのです。でも誰もが、きっとこんなに純粋ではいられなかったのです。この本は、喪われた少女性を愛してやまない一人の作家が、一行一行を懸命につむいだ最高の恋物語を収めています。本書を読んだ吉本ばななさんは、こんなコメントを下さいました。「この小説は私を泣かせた。文がずばぬけてうまいから? あの時代のたまらなかった気持ちを思い起こさせたから? いや、それだけではない。ここに出てくる主人公たちの高潔な人格が、この汚れた時代を生きていく、ただそれだけで涙を誘うのだ。野ばらちゃん、最高!」どうかご一読下さい。【商品解説】

収録作品一覧

世界の終わりという名の雑貨店 5-80
ミシン 81-134

著者紹介

嶽本 野ばら

略歴
〈岳本野ばら〉京都府生まれ。92〜97年まで、関西のフリーペーパー『花形文化通信』にエッセイを連載。98年「それいぬ」と題して単行本化。

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みんなのレビュー178件

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評価内訳

紙の本

乙女の乙女による乙女のための小説

2001/02/16 01:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nory - この投稿者のレビュー一覧を見る

 前略、嶽本野ばら様。
 貴方の本を読むまでは、私は乙女という人たちの存在をすっかり忘れておりました。この猥雑な世の中で、高潔な魂を持つその方々はひっそりと、しかし堂々と生息なさっていたのですね。もっともっとと新しいものを求め続ける私の貪欲な心も、貴方の文章に触れることによりささやかながら洗われたような気がいたします。

 驚いたのは貴方が男性だったということです。だってお名前といい、文体といい、どこからみても正真正銘の乙女ではないですか。いやいや、そんなことはどうでもいいのです。大切なのは乙女“心”なのですから。

 移り変わりの激しさの中で、懐古主義といわれながらも本物の乙女心を持ち続けるということが、いかに困難なことか私には想像もつきません。マイノリティである乙女の方々は、紙のように薄っぺらい顔を持つ群衆の冷たい視線、あるいは無視を決め込んだ態度に幾たびか傷つけられてきたことと存じます。

 貴方の小説の登場人物たちは皆、風に吹かれた花びらのように、儚く激しく散っていきます。乙女心を貫こうとすれば、壊れていくしかないのですか。純粋な魂は、少しでも汚れてしまったらシャボン玉のように消えてなくなるものなのですか。
 もしそうだとしたら、あまりにも悲しいことです。彼女たちはただ時代を間違えただけなのです。今という時代を生きていくためには、自ら濁った水に飛び込むくらいの覚悟が必要です。今吸っているこの空気ですら不浄のものなのです。

 貧乏は悪くないけれど、貧乏臭いのは諸悪の根源である。貴方のこの言葉に、私は森茉莉の「贅澤貧乏」を思い出すにはいられませんでした。
 貧乏臭く品性なきこの時代を、貴方だけはその高潔な魂を汚されることなく、世の乙女たちのためにも清く美しく輝き続けてくださいましね。かしこ

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紙の本

息苦しいほどの純愛小説!

2001/01/15 16:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:藤原ゆきえ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 乙女派文章家といわれる嶽本野ばらの初めての小説だ。『世界の終わりという名の雑貨店』『ミシン』の二作品が納められている。二つの作品に共通していえるのは、繊細で、ピュアで、超ビジュアル的で、懐古趣味的で、デカダンな香りが漂っていることである。

 主人公たちは、お金や、美貌には恵まれていないけれど、魂だけは美しく輝いている。そしてその気高い魂の部分に強烈に惹かれあう二人の世界を野バラの独特な文体で紡いでいる。
「ねぇ、君。雪が降っていますよ。」という語りかけから始まる『世界の終わりという名の雑貨店』のラストの部分に「雪が降っていることを君に伝えたいという想い。この想いだけを僕は大切にしていれば良かったのです。」とある。自分でも気づかない心の中のいろいろなウソ。でも、今、雪が降っていることを、君だけに伝えたい気持ちこそはまったくの真実なのだという強い想い。この主人公の、まっすぐな気持ちだけを持ち続けることができたらと悔やむラストはとても美しい。まさに、大正浪漫的、乙女派作家の腕が冴えた文体だ。

 そういえば、私も、どんよりとした、冬の空から雪が降りてくるのをみつけたとき、必ず誰かに知らせたくなる。今は、携帯があるからすぐに、一番好きな人に知らせることができる。確かに、そこには何の駆け引きもなく、今すぐ伝えたいという気持ちだけが電波の中を走る。だけど、こういう気持ちだけを持ち続けることはとても難しいのだ。多分、それをできる人だけに純愛という言葉が存在するのかもしれないし、この小説『ミシン』のメッセージを深く受け止めることができるのだろう。

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紙の本

いろんなファンがいるけれど…

2006/09/09 19:14

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ISH - この投稿者のレビュー一覧を見る

ここに収録されてる「世界の終わりという名の雑貨店」だけ読んだことがあります。すごく感動しました。
「素晴らしき絵画はポスター!しかし、額縁には凝りまくる!」とか、直視したくないけど共感する部分が多く。
映画になったあれもあらすじだけ知ってますが、少女時代トイプードルそっくりの犬リュックをイタリア雑貨店で見かけて「こ、これは…!誰がなんと言おうと子供だけが身につけるものではございません!買って下さい!」「あらあなたが物を欲しがるなんて珍しいわね」…なんて思い出が蘇り、即座に封印したくなりました。
大人になった今でも雑貨屋に行くと考えます。
「お金を使って自分のものにできます。けれど、その必然性は?ここは美術館同然です。本当に好きなら眺めるだけで十分です。けれど、店の人に悪いから云々…」
ファンは服装や持ち物にうるさい人ばかりと思ったら大間違い。ごく普通のしっかり者で、ただ「俗物が気に入らない。面白みのある友人を求む」という方をお見かけしたことがあります。
この一本読んで「これが面白くて…で、作家さんこんな人らしい」と語ったところそこクソヤン店員の溜まり場の美容室で、
店員「殴りたくなります」。
…髪切ってる最中でしたがピンとか全部外して金叩きつけて「貴様がレジに持って行け」とやってしまった覚えが。
世の中いろんな人がいますが、とにかく『一般的にこういう部類はこういう扱いになっている』でOKな奴は問答無用でボコる。
そんな人は大好きかもな作家さんです。

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紙の本

非現実の王国でーヴィヴィアン・ガール達

2003/05/13 22:33

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栗山光司 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 サリンジャーの「ライ麦畑のキャッチャー」モードになってしまったのか、昔々、忘れ果てた無垢の美心(ミシン)について、愛憎こめて思いやると、どうしても、ホールデン君は好きになれず、妹のフィービーが大きくなったら、どんな風になるだろうと、考えていると、嶽本野ばらの【乙女心】にヒットした。
 サリンジャーの書評投稿を見ても皆さん、昔を懐かしがっている。現役の同世代の少年、少女達の声が少ない印象を受けました。若者達は野ばらを読んでいるのだろうかと、そんな興味から、手に取ったのでした。
 初体験なのに違和感はなかった。角田光代が「パンクを聴かず、ロックを聴かず、もしくはホールデンに出会わず」、成長しきってしまった人を私はなんとなく信用しないと書いているが、パンクロッカー・ミシンから【乙女心】を引き算すると、角田さんになるのかと、強引に「フイービー」→「ミシン」→「角田光代」と勝手な成長物語を編んでしまった。
 
 『世界の終わりという名の雑貨店』(この本に収録)の僕はホールデン君にそっくり。

  ねぇ、君。雪が降っていますよ。世界の終わりから出発した僕達は、一 体、何処に向かおうとしていたのでしょうね。

 この言葉から、物語が出発する。

 『絶望から出発しよう』の宮台真司は読んだのかなぁー。映画批評にもコストをかけているので、映画の方は見たであろう。彼の野ばら評を聴きたいものだ。世代を問わず、今、みんな、この事を考えていると思う。

 【矜持】という言葉を胸に生きる君はVivienne Westwoodであれ、MILKであれ、矛として服を身に纏う。それはペニスを持った少女=ファリック・ガールに接続して、ヘンリー・ダーガーの『非現実の王国で』(作品社)に誘うかもしれない。

 そんな夢の王国に背を向けて、入れ替え可能で結構、クソリアリズムで生きるもんね。パターン化された俗であろうと、動物化であろうと、結構ではないか、そうでないと、需要の拡大は望めないもんね。
 でも、そんなコンセンサスは徐々に通用しなくなっているのではないか。そんなのは否で、「かけがえのない私」がすべてと、「自己の謎」に挑む若者が増えてきたことも事実である。
 嶽本野ばらが、社会のクソリアリズムに対して闘う乙女心は彼が男だから、可能なのか、女の方に尋ねたい。もう一歩、足を踏み出して、「世界の謎」に挑む【乙女心】を期待したい。
  
 シカゴの郊外にあるヘンリー・ダーガーの墓には「子供たちを守り続けた芸術家」という銘が刻まれていると聞く。野ばらもダーガーも、又、「ライム麦畑のキャッチャー」なのだ。
 ただ、ミシンのメッセージは容赦しない。

 貴方が死を望むなら、私は貴方を殺してあげましょう。不変の存在にしててあげましょう。だって貴方は私にとって、何より大切な人なのですもの。  
 
 「世界の謎」に挑まないと、袋小路で出口はありませんよ。

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紙の本

『少女』は別の星で

2002/07/13 17:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あさの - この投稿者のレビュー一覧を見る

お洋服にはメッセージがあるのです。そのメッセージは、全ての盟友へと放たれてます。そのメッセージを受け取った少女は、もうのお洋服以外を着ることはできません。みえざる意志。それを受け取った少女は、高潔に、生き続けます。この世界のルールではなく、受け止めたメッセージの示すルールに従うのです。
『このお洋服を着ることは、矜持なのだ』と言い切る少女の言葉に頷く少女たちは、『世界の果て』を目指して進み続けます。そのためにどれだけ身体を、心を強打され、頭の半分から血を流しても、進み続けるのです。

この小説の主人公は、『乙女』ではありません。彼は乙女の声を聞き、姿を認め、手をさしのべ身体を抱くことはできますけれども、決してその魂と重なることはできないのです。だから主人公は取り残されます。『乙女=真の少女』だけが、頭をまっすぐにあげ、自分の目指す地を目指す事ができます。少女は責めません。ただ柔らかく、憐憫のまなざしで主人公を振り返り、そして一人逝くのです。

『ミシン』の中で、主人公の憧れの少女、ミシンは、主人公に向かって言います。『あなたのお洋服、みんなわたしとおそろいね、素敵』。その瞬間に、二人は魂の盟友となったのです。

『少女』が幸せになれる場所は、この星の上にはないのかもしれません。

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紙の本

大切にすべきものは…

2001/12/10 19:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:HA-NA - この投稿者のレビュー一覧を見る

 取り返しのつかない、本当にどうしようもない後悔。助けを求められているのを感じながらも、なぜか動けなかった自分。そのために愛するものを永遠に失ってしまったことに気付いたときにはすでに遅い。遅いけれども、どうしようもないけれども、それでも一生抱えつづけるであろう研ぎ澄まされた美しい気持ち。
 本書に収録された「世界の終わりという名の雑貨店」は、そんな切実で哀しい、そして大変まっすぐな物語である。
 日々、忙しさにかまけて、私たちは近くにあるささやかながら大切なものを知らずに失っている。また、周囲の目であったり、表層的なできごとなどに惑わされて、本当に手に入れたいものに手を伸ばす勇気が出せずにいる。そんな日常の代償の痛さを体感し、失いながらも生き続けなければならない人間の切なさに涙した。

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紙の本

ついこのあいだ『ロリヰタ』を絶賛した舌の根も乾かないうちに、傑作、けっさく、ケッサクと騒ぐのもなんだけれど、ナンナンデス、本当に

2004/06/01 20:45

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

あの、嶽本野ばらの小説デビュー作とのことである。140ページにも満たない、ちょっとバイオを思わせるようなブルーグレーのカバーの本は、その文字だけが浮かび上がった端正な佇まいが、どこか少女たちが書き込みをするおしゃれな「白い本」にもにて、思わず手をのばしたくなるようなものである。

版型は違うけれど、私が真っ先に連想したのは新潮社から出ているマーティン・デイリー&マーゴ・ウィルソン『シンデレラがいじめられるほんとうの理由』である。シリーズのほかの本も、書棚に並べたくなるような、洒落たタイトルと色合い。どれも、80頁程度の、思わず手にしたくなるような装丁の、物理的に軽い本。でも、内容は本格的。羊の皮をかぶった狼とは、こういうのを言うのではないだろうかと書いたが、この『ミシン』もそれに引けはとらない。ついこのあいだ『ロリヰタ』を絶賛した舌の根も乾かないうちに、傑作、けっさく、ケッサクと騒ぐのもなんだけれど、ナンナンデス、本当に。

で、この本はふたつの小説「世界の終わりという名の雑貨店」と表題作「ミシン」からなる。ショッキングさでいえば、「ミシン」なんだろうけれど、切ない恋物語が好きな私には、ちょっと長めの「世界の終わりという名の雑貨店」がいい。なんだか、村上春樹の有名な作品を思わせる、この話から簡単に紹介しよう。

とはいえ、ネットでも嶽本自らが自作の内容紹介をしない方針らしいので、あくまで彼に敬意を表してほんのサワリだけではある。舞台は京都、四条富小路を下がった路地に面した4階建の雑居ビルにオープンした雑貨店で、主人は多分27歳であろう、もとライターである僕である。で、その人も滅多に訪れることもない店の名前の由来は、Vivienne Westwoodが81年にキングスロード430番地にオープンしたショップ「WORLDS END」に因んでいる。この物語は、そこにやってきた全身Vivienne Westwoodの15、6歳の君が現れたことから始まる。

「ミシン」は、チビでデブでブスで孤独だった少女が吉屋信子の『花物語』を読んで、エスの関係に興味を持ち、高校に入って初めての秋に、TVで死怒摩瀉酢というバンド、そのボーカルをやっていた貴方、美心ことミシンを見て、貴方に焦がれ、会いたい、話したいと思い、貴方と同じMILKの服に身を包むことから始まる。

ともに、悲しい、切ない話である。何故、どうして、と思う。それは『ロリヰタ』を読んだ時と少しも変わることはない。そして、美しいのである。これ見よがしの美文ではない、しかし、簡潔といった文章とも違う、なんともしっとりとした語り口。それが、「死」を核に置いて、美しい物語を紡ぎ出すのである。

ことさらに、嘆こうとはしない。淡々と、それでいて熱を込めて、揺ぎ無い歩調で、他人の声を撥ね付け、今は自分の確信する道をひたすら歩く、そういう「わたし」の話である。決して長い話ではない、しかし、そこに展開する心的光景の広さ、その世界の深さは何に喩えたらいいのだろう。才能とは、恐ろしいものである。

絶賛ばかりでは詰まらないので、ケチを。ただしカバーの話。カバーの背と裏に一センチくらいの丸い白抜きがあって、そこに野ばらのトレードマークが入っている。マーク自身は、悪くない。でも白抜きは、三文判みたいでヒンがない。むしろカバーより濃い青でマークだけ入れたほうが格好いい。たしかに、青い野ばらは存在はしないけれど。

それから、同じくカバー裏のバーコードが印刷されている部分、これも大きく白抜きされている。読み取りを考慮したのだろうけれど、この白抜きもヒンがない。装幀者の松田行正さん、なんとかならんかったすか?

さて、次は嶽本のどの作品を読もうか。

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紙の本

読み終わったとき涙がとまりません

2002/01/29 20:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:楓   - この投稿者のレビュー一覧を見る

 どうしてもっと早くにこの本に出会えなかったのかと思います。今までに出会った本の中で一番たくさん泣きました。そして、世界で一番読み返す回数が多い本になるであろうと思います。お互いに傷を持った二人の恋の行方を描いた作品です。どうしようもなく惹かれあい、その関係は掛け替えのないものへと進展いってゆきます。しかし二人が選んだのは閉鎖的な恋愛でした。常に現実世界に恐れを抱き、自分の居場所はここにはないのだと恐れおののく登場人物たちの姿は、今を生きるわたし達の不安な気持ちを代弁してくれているようでもあります。ただし、恋愛自体はものすごくピュアで、偽りのないものです。『私は実は、貴方から生まれてきたのではないかと思うことすら、あります。』←一番好きなところを引用しました。主人公はここまで思いつめるのです。こんなにも強く人を愛せるものなのだろうか、と思ってしまうほど。「貴方のことがこんなにも好きだ。」人を好きになるのにはたくさんの理由があると思います。しかし、本当は、本当のところは、理想の関係を突き詰めていったとき、これしか残らないのではないか、読後にそう思いました。

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2004/09/22 21:35

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2004/10/09 23:59

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2004/10/10 13:28

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