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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2000.11
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/191p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-441201-3

紙の本

おめでとう

著者 川上 弘美 (著)

きんめ鯛を手土産に恋しいタマヨさんを訪ねる「あたし」の旅。終電の去った線路で、男を思いつつ口ずさむでたらめな歌。ぽっかりあかるく深々せつない12の恋の物語。【「TRC M...

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おめでとう

税込 1,430 13pt

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商品説明

きんめ鯛を手土産に恋しいタマヨさんを訪ねる「あたし」の旅。終電の去った線路で、男を思いつつ口ずさむでたらめな歌。ぽっかりあかるく深々せつない12の恋の物語。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

いまだ覚めず 7-28
どうにもこうにも 29-40
春の虫 41-66

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評価内訳

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  • 星 1 (0件)

紙の本

さだかでない短編集!

2002/06/21 20:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:岡野義高 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「モモイさんにとり憑かれたのが去年の七月である」

「センセイの鞄」でブレイクした作者の短編集。

お気に入りは、「どうにもこうにも」だ。

幽霊にとり憑かれてしまった女の人が主人公なのだが、困っているわりには、落ちついていて、まあ、いろいろ事情があるんだろう、といった感じで受けいれてしまうトボけたキャラクターが素敵だ。
幽霊は、この世の未練だった不倫を清算するけれど、だからといって成仏しないで、うろうろしているあたりもおかしい。

聴き心地のいい落語の小話を、ぼんやりと聴いているような気分になれる一冊だ。

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紙の本

顔の表情があまり豊かではない割とキレイなお姉さんが淡々と語るミョーに面白いお話。

2001/01/03 17:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 『体は全部知っている』で吉本ばななは、女の肉体性と生理を凝縮させた密度の濃い短編小説を作った。では、同じ12編の短編集である『おめでとう』で川上弘美がしたのは何か。それは、彼女にしか出来ない空気/空間を産み出すこと。その空気/空間は作品世界から染み出して、読者をも完全に包み込んでしまう。主人公が女であろうと男であろうと既婚であろうと未婚であろうとストレートであろうとホモセクシャルであろうと関係ない。そこにあるのは、物語空間ではなく川上空間なのだ。
 タマヨさんが恋しい“あたし”の物語「いまだ覚めず」、成仏しないモモイさんにとりつかれる「どうにもこうにも」、別れた男との再会「夜の子供」、不倫なふたりのクリスマス「冬一日」などなど。恋愛物語ではあっても、温度は低く、湿度も低い。明度は、ほのか。恋する者のの感情を適度な距離から観察している川上がいて、その情景をポツポツと綴る。その距離感が結果として、コケティッシュな世界になる。
 顔の表情があまり豊かではない割とキレイなお姉さんが淡々と語るミョーに面白いお話。川上の小説は、いつもそんな感じで楽しい。ついでに記すと、彼女のエッセイも味わい深い(もしかしたら小説以上に)ことは、読売新聞月曜の連載を読んでいた人なら十分承知だろう。

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紙の本

書評後編:ヒロミさん、口数が少ないね?

2001/02/20 15:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:越川芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る

  〜 書評前編より 〜

 また「冬一日」の「私」は家族持ちの女性だが、一週間に一度だけいつも同じ時刻に同じホテルでトキタさんという家族持ちの男性と「逢瀬」を重ねている。いわゆる「不倫関係」だが、そうしたありふれた言葉では括れないような情景がここには描かれている。たとえば、ふたりは「次の土曜は父親参観の日なの、トキタさんのところも、きっとそろそろね」などと、普通の夫婦が交すような、妙に家族的な会話を交すのである。
 おそらくヒロミさんが口数が少ないのは、ここら辺に原因がありそうだ。つまり、主人公たちは世間に向かって大声でいえない、ある後ろめたさ(ある社会に固有のタブーを破ったような)を抱えているのである。たとえば、「不倫」とか「レズビアン関係」とか。「いまだ覚めず」の「私」(女性)は、15年前には自分のことを「あいしてる」といってくれたが、いまは「押し出しの立派な人と結婚した」タマヨさんのところに出かけてゆく。「どうにもこうにも」の40歳になったばかりの「私」(女性)は、「不倫」相手と別れたばかりだが、10年前に同じ男と「不倫」関係にあって不遇の死を遂げた女性の亡霊にとり憑かれる。「春の虫」では、結婚詐欺に遭ったショウコさんと「私」(女性)が愛情関係に陥る経緯が書かれている。ワイドショウのレポーターとちがって、ヒロミさんは口数が少ないし声高でないだけに、かえって、世間で認められていないけどもたぶん現にいっぱい存在している愛のかたちを読者は実感でき、ときにそんな「イケナイ」ひとたちに共感さえ覚えてしまうのである。
 でも、ぼくはヒロミさんに、もう少し口数が多くなってほしい。そして、「蛇を踏む」のような、虚実の境界を行き来する小説を書いてほしい。新しいことに挑戦してほしい。だって、ここに収録されたような小説はヒロミさんしか書けないようなものばかりだけど、かといって、こうしたものばかり書いていると小説家もマンネリに陥るから。 (bk1ブックナビゲーター:越川芳明/翻訳家 2001.02.21)

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2004/10/29 21:59

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2006/09/30 13:57

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2006/12/09 15:46

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