紙の本
被支配国から支配国に
2023/03/16 02:47
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
一部では「国民作家」と目される
著者の物した、所謂「街道物」の
第三十五作です。
本書での訪問地は、欧州オランダ。
著者は、干拓して国土を作り出したてきた、
かの国の歴史に感心したり、ライデン市の
たたずまいがいたく気に入ったりする一方で、
チューリップの投機をきっかけに蔓延した
拝金主義を厳しく批判しています。
紙の本
EU統合前のオランダがある。
2019/03/26 17:15
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オランダという国の歴史を調べようとすると、いきなりローマ帝国の侵略下に置かれた後は16世紀ぐらいまで調べても調べても出てこないことが多い。
他国の属領になっていたからなのだが、その国の歴史から調べようとしても出てこないことが多いという不遇の国である。
が、都市を起点に歴史の中の、オランダという国名がない時代のオランダをしっかりと描き出しているのはやはり司馬氏ならでは。
紙の本
司馬氏の視点
2018/12/19 16:05
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬氏の目を通してオランダという国を見つめる一冊。
日本との関わり、芸術、そして神ならぬ身で自分たちの住む土地を作り上げたオランダ人を見る司馬氏の目に温かみを感じる。
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街道をゆくのシリーズでオランダを取り上げたところが、司馬さんらしい。興味のあるところしか行かないという姿勢がある意味すがすがしい。美しい自然や街並みだけでなくその背後にある人間の営みを感じさせる一冊
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この、考察の縦横無尽さをどう表現するべきかはわからない。どんなものでも、「司馬号」に乗せられて旅を・・・、ってかんじ。「事実」が「観念」を突き破るパワーを持っており、その象徴を(時代とシンクロさせつつ)オランダととらえているのが印象的。
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オランダ行く前に読もうと思って…その後、一年経ってしまった本。20年前の話ですが、気候変動への関心とか当時の様子が分かるのは興味深い。あと、オランダのベルギーネタジョークのひどさと言うかなんと言うか…。
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オランダという国の成り立ち、国民性、日本との深い関わりが知れて最後まで興味深く読めた。またそれらを解説する司馬遼太郎の技術はさすがとしか言いようがない。
司馬遼太郎が殺戮を描く時、そこに感情は込めず淡々と事実を述べる。それによって、その戦いが持つ意味を誤らずに済む。
メモとして、
オランダは自由の国。小国として生きていくためには争っている場合じゃない。人種も宗教も。
ニシンで栄え、日本までやって来た。それが日本との関わりの始まり。そして、日本語にはオランダ語源の言葉が意外ち多い。
オランダ出身のレンブラントは歴史上初めて庶民を描いた。
オランダの干拓技術は江戸時代に日本に伝わり、今の土木技術の土台となっている。
脱線気味の話として、オランダ料理は不味いので隣のベルギーに行く人が多い。
逆にベルギーはヨーロッパの中心に位置し、
いろいろなものが集まるため、外国旅行者は少なく、家の事にお金をかける。
◎ベイラント(16世紀の商人)の自由
資本主義的な自由と倫理観がベイラントという商人の発言によって定義づけられた。小国なのに、今に至る経済、哲学に関わる事象が多い。
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オランダ紀行文ではあるが、それよりは日蘭関係やオランダの文化、歴史、宗教、気質についてまとめられた上質のオランダ案内書と言える。ライデン大学、シーボルト、咸臨丸の建造場所ルーベンス、ゴッホ、レンブラントなどなど聞き覚えのある地名、有名人がいろいろ出てきて非常に興味深い。これからオランダ旅行をする方に是非お勧めしたい。
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まず、知識の豊富さに驚いてしまう。
そしてこの人の周りにいる人がみんな知性に溢れていて上品で・・・
たんなる旅のエッセイでは終わらない、現代は巨大な歴史の中の続きの中で成り立っているんだなぁ・・・としばし呆然。
どこかに旅行に行く前に、街道をゆくシリーズは読んだ方がいいのかも。
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江戸から明治にかけ、日本の歴史に多大な影響を与えた国、オランダを司馬遼太郎が旅した紀行文である。
近世のオランダがなぜ、興隆したのか、商業活動が生む、経済合理主義。
そんなオランダがレンブラント、エラスムス、スピノザ、グロティウスなどの賢人を生んでしまうプロセスが理解しやすく書かれている。
そんな近代日本を生んでくれたオランダに対する日本人の対処の仕方は・・・
と司馬は文章を終えている。
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世界は神が作り給うたが、オランダだけはオランダ人が作った。海に巨大な堤防を築き、湿地の水を掻き出して住んだ。正式国名ネーデルランド。意味は低い国。その一地方であるホーランド州に由来して日本ではオランダと呼ぶ。織豊時代以来の勘違いらしい。
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日本の鎖国時代にも交流のあった数少ない国オランダ、というと、
遠い国なのになんとなく近くに感じる。
技術の国であり、合理的な考えの国であり、本書からはそのさらりとした気風を感じることができる。
かと思いきや、かのゴッホを生んだ国でもあり、その極端に純化された生への洞察も深い。
締切堤防見にいきたいなあ。。
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「神が造りわすれた地面を、人間の手で営々と造りつづけた。(P51)」といわれる国、オランダ。「紀行」となっているけど、ゴッホの話をしながら、いつのまにか咸臨丸とか緒方洪庵や杉田玄白など、オランダが17-19世紀、特に幕末の日本に果たした影響の話になっていて、最後の方はそればっかり。それでも読みやすいし面白い。
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教養が邪魔をするって冗談があるじゃないですか。
しかし、教養は役立つことはあっても、邪魔をすることはないですよね。
教養なんかあればあるほど良いのであって、それだけ人生が豊かになることは間違いないでしょう。
司馬遼太郎は教養人であることに異議を挟む人はいないでしょう。
彼の書くものは小説に限らず、こういう紀行文でもアチコチとわき道に逸れる傾向があります。
この本の趣旨は、日本とオランダを歴史的な視点から見ようというもの。
彼はオランダ、はたまたドイツやベルギーまで寄り道をしながら各地を訪問していく。
その都度、彼の教養が邪魔をして話が飛ぶ。
それを彼は楽しんでいるフシがある。
咸臨丸に飛び、レンブラントに飛び、ゴッホに、シーボルトに、メグレ警視に、鴎外に、ルーベンスに、プロテスタントに、ピョートルに、朱子学に・・・・と飛ぶ。
中でもゴッホに対する思い入れは深い。
こういう教養人にとって、旅行ほど楽しいものはないのじゃないでしょうか。
こうやってアチコチ飛びつつも、日本人にとってオランダ人とは何かが何となく炙り出されてくる仕掛け。
もう四半世紀前に書かれた紀行文ですから、氏が百科事典を引いて調べる箇所がいくつか出てくる。
帰国後に書斎で分厚い辞典を調べる彼の姿が想像できますね。
ところが、現代ではネットに繋がる環境で旅行できるので、旅行中に何でも調べることが出来る時代なのです。
氏のような教養を身に着けていなくとも、ぼくのような凡人でも多少は同じような旅行スタイルを真似ることができるのではないでしょうか。
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司馬遼太郎の「街道をゆく」は、結構読んできたけれど、このオランダ紀行ほどに力の篭った作品はなかったのではないか。イデオロギーに死んだ日本人としての、質実なオランダ人への憧憬。ゴッホへの照れのないレスペクト。ちょっと驚いたな。買ってよかった本。