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紙の本
例えば放蕩の王子と狂った嫁姫の物語
2007/03/27 16:50
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白い。
ドイツ王、神聖ローマ帝国皇帝として中世から近代に君臨したヨーロッパ随一の王家・ハプスブルク家。
デカ鼻、突きだした下顎、容貌魁偉そして助平極まりない王様。
不格好でがに股、口はこぶしが入るくらい大きく、かつ目と目は蟹のようはなれたバケモノ姫。
渦巻く愛憎、醜い権力闘争の実態がひょうきんな名古屋弁の会話で暴露される。下品と言うより口が悪いのですね。
それでいて作者は結構ロマンチストである。
例えばハプスブルク家がスペインを領有するに至った経緯は次のような狂女フワナ姫の悲話を通して描かれる。
そして作者はこのフワナ姫を密かに愛していると告白するのである。
ハプスブルクの皇帝マクシミリアンは息子フィリップを新興のスペイン・イサベル女王の次女・フワナと政略結婚させる。
質実剛健のスペイン文化に育った美貌のイモ娘フワナは都会の王子フィリップに一目ぼれ、しかしはブルターニュの頽廃の中でやがて心を病む事になる。
高貴にして軽薄なバカ王子フィリップは妻を置き去りにしてスペインから逃亡、情事に耽る。
モタ城に軟禁され狂いに狂うフワナ姫、鉄柵にしがみつき狂犬病にかかったライオンの如く咆哮、病躯をおして駆けつけた女王イサベルにさえ罵詈雑言を投げつける、女王は満腔の憂いを胸に逝く。
実家の財宝を狙って帰還したフィリップが要求する一切の公文書の署名を拒否する狂女フワナの矜持、なおも誇り高く宣う”我のみカスティーリア(スペイン)の王”
荒淫故かフィリップは急死する。腐敗した夫の亡骸を馬車に抱き、広野を夜から夜へと彷徨するフワナ。
その後洗顔もせず着の身着のまま垂れ流しの46年、スペイン帝国女王として幽閉のままの生涯を終える、そしてイサベルの遺した財宝はスペイン系ハプスブルク(フワナとフィリップの長子・英雄と言われたカール5世)の物となる。
しかしこれは単なる宮廷物語ではない。
作者はなかなかの歴史家である。
1冊の中世ヨーロッパ物語の中に、砂漠の覇者イスラムからモンゴールの征服者までがしっかり押さえられている。
更に宗教革命の経済的背景など歴史を形作る下部構造までがしっかり書き込まれているのである。
紙の本
何故か名古屋弁
2023/05/03 19:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハプスブルク家の歴史に興味があり、表紙からして怪しげではありますが読んでみました。何故か名古屋弁を駆使するハプスブルク家の人々の歴史がさっと読めて、意外なほど流れが頭に入りました。最初は面白く感じた名古屋弁も途中から飽きてはしまいましたが、軽く読めて良かったです。