人のセックスを笑うな
著者 山崎ナオコーラ
19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた――「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ100%の恋愛小説。第四一回...
人のセックスを笑うな
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商品説明
19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた――「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ100%の恋愛小説。第四一回文藝賞受賞作。短篇「虫歯と優しさ」を併録。
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彼女の名前を笑うな
2009/10/29 08:40
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代文学の書き手たちのなかにあって、山崎ナオコーラはどのような場所にいるのだろうか。
山崎ナオコーラはこの『人のセックスを笑うな』で第41回文藝賞(2004年)を受賞しデビューしたのだが、その刺激的な題名と人を小馬鹿にしたようなペンネームであたかも現代文学の最先端にいるかのごとく評価されているのだと思う。
しかし、そのじつ、山崎ナオコーラはけっして主流にあるのではなく、彼女独自の世界感、あるいは文学感のなかにいるような気がしている。
それは、すでにこのデビュー作から持ちえた、彼女の感性だといえる。
美術専門学校に通う十九歳の主人公はその学校の講師である三十九歳の既婚のユリと関係をもっている。「関係をもつ」という奇妙な日本語には、二人のあいだには性行為が存在する、という事実をふくまれているのだが、もっと純粋な恋愛感情が少なくとも主人公にはある。
きっかけや関係性はともかくとして、あるいは物語の進み具合からすると、あたかも年上の女性のきまぐれにふりまわされているようにも見えるが、主人公の心の揺れ動きはどの時代にあっても若い人たちが経験するだろう、乱暴に扱えば壊れそうな心情を、描いている。
山崎ナオコーラは物語を書こうとしたのではなく、十九歳の青年の心の風景を言葉にしただけだ。
そういう点で、山崎ナオコーラは現代文学の多くの書き手たちと一線を画している。
めざすべき方向がちがうといってもいいし、彼女は物語ではこぼれてしまう心の在り処を実は読者にゆだねているようにみえる。
作者は物語の後ろに隠れている。そういう照れのような思いが、一見ふざけてみえる「ナオコーラ」というペンネームに託されているのではないだろうか。
「寂しいから誰かに触りたいなんて、ばかだ」と突き放しつつも、そういう寂しさを人一倍感じるものを作者自身が捨てきれないでいる。
そういうものに共鳴する。これからも山崎ナオコーラは、私にとって気になる作家であるにちがいない。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でご覧いただけます。
止った時間のなかで
2012/08/19 20:20
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桔梗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ふいに 一緒にいて心地よい相手を見つけてしまい かけがえのない時間を過ごした
ただ それだけ
ただふたり一緒に過ごすわずかな時間
長い一生の時間の中で そうやって切り取られた 止った時間や名前のない空間があるのも悪くない
本気だとか遊びだとか 不倫だとか浮気だとか
無理に何かの型にあてはめたり 分類をして名前をつけたりする必要はない
オレがこの先 残った想いを大事に抱えて生きていくのと同じように ユリもきっとこの時間を忘れない
淡々と単純に“好き”って想いだけがそこにあった
それでいいのではないだろうか
文章はやさしく書かれているけれど、テーマは深い
2021/03/20 22:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この題名は本屋で同性愛の本が置かれた棚の前でクスクス笑っている人を見たときに思った言葉だと作者は言っているらしい、とにかくおかしなタイトルだ。これまでに何度も芥川賞の候補になっているいるが獲得できていない。難解な文章を好む銓衡委員たちにとっては、読みやすい文章で書かれている彼女の作品が気に入らないのだろうか、文章は易しくても内容は難しい、主人公は絵画の専門学校に通っているのだが、そこで20才年上の講師と恋愛関係になる、その講師には夫がいる、かなり性格のいい人、顔はいまいち。最終的に彼はこの講師に振られるのだが何かこちらまで切なくなる、これほど年上の人とはもちろん付き合ったことはないけれど。もう一つの掲載作品「虫歯と優しさ」も切なくなる、私は女性が好きだけれど。
山崎ナオコーラ氏のデビュー作にして、大傑作です。表題に似合わず、男女の恋愛模様を描いた小説です。
2020/06/03 11:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、作家の山崎ナオコーラ氏のデビュー作です。同作は文藝賞に選ばれ、芥川賞候補にもなりました。さらに2008年には映画化されたことでも知られています。同書は、実は過激な題名とは裏腹に純粋な恋愛ドラマで、19歳の男と39歳の女という年の離れた男女の恋愛模様が描かれた作品です。恋とも愛ともつかぬいとしさが、男を駆り立てたます。美術専門学校の講師であるユリと過ごした日々を、みずみずしく描く、せつなさ全開の恋愛小説で、「思わず嫉妬したくなる程の才能」という評価が下されたくらいです。ぜひ、読んでいただきたい作品です。
作家の計略
2008/05/06 12:24
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ 河出文庫
女性作家ですが文章は男性的です。読み始めのほんの数ページで、これは、女性同士の同性愛の話だとピンときました。文章中多用されている「オレ」という一人称単数は、女性が自分に向かって示している「オレ」であって、主人公の磯貝君は男性ではありません。加えて、磯貝君19歳、ユリさん39歳の設定ですが、文中ではそれほどかけはなれた年齢差が感じられないことから、ふたりの年齢差はもっと近いと判断しながら読みました。つまり、この作品には秘密とか計略とかが仕掛けられていて、表面にはない向こう側に本当の作品があるのです。そしてその作品は文章化されていないのです。表面上の文章だけを読むとふたりが結びつく理由がありません。ところが女性同士に設定しなおすと十分納得できます。文章は短文で、詩のようで、かつ硬い。50ページを過ぎて磯貝君が男性になってしまいました。そしてつまらなくなりました。そのページ周辺の記述を削除すればあとがつながっていきます。より作品の完成度が高まります。
映像化されたようですがわたしは見ていません。表面上の男女の設定で公開されたのでしょうが、それはこの作品の本物の姿ではありません。
なぜ?
2023/07/10 22:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜこのタイトルになったんでしょうか?タイトルが、過激だから話題性を呼ぶ、との思考からでしょうか?この内容ならば、もっとシリアスなタイトルのほうが、……なんて思うのは、自分の読みが浅い為ですかねえ
タイトルが勝ち
2023/01/30 12:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルがありきたりだったら、ここまで評価高かったかなあ。
女性が書いた男性目線の小説っていう点では珍しいけど。
こういうのもアリなんだろう。