紙の本
静かな時間を愛するコージー・ミステリー
2008/01/28 16:49
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投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
第43回(2004年)オール読物推理小説新人賞
受賞作「紅雲町のお草」を収録。
東京から1時間の地方都市で
コーヒー豆屋と器の店を開いている
杉浦草(そう)は数えで76。
60代半ばになって、両親がやっていた雑貨屋を
小蔵屋という屋号はそのままに商売替えをした。
お草はしかし女丈夫というタイプではなく
静かに好きなものを扱った店を
人生の最後にやってみたかったというだけ。
女らしいおせっかいさを自戒するところもある。
コージー・ミステリーらしく住宅地に起こる謎を
比較的ゆるやかなテンポで解決していく短編集。
秀逸は「クワバラ・クワバラ」。
小蔵屋を建てるときにもらった古民家が
実は意地悪な幼馴染の秀子の実家。
敵を作るタイプなのに(だから?)、
地元の有名企業の奥様に収まり
それでも我ままと強引さで
周りをひっかきまわす秀子がいい。
それをさらりと流すお草の年の功。
読み応えがあります。
デビュー作からこのお草はシリーズになってほしいな
と思っていたので、今回の単行本は嬉しい。
でも雑誌掲載された「オリーブ」がないのはどうして?
あの短編もよかったのに。
紙の本
珈琲の薫りが漂って来ます。
2015/12/22 20:15
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒロインは70代のおばあちゃん。とっても元気。
旧家の奥様だったけど離婚、子供と死別など悲しい過去を持ってるけど
今は夢を持って生きてる。
和雑貨と美味しい珈琲のお店。
気風のイイお草さんと優しい仲間たちが街に起こる事件を解決していきます。
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(収録作品)紅雲町のお草(オール読物推理小説新人賞(2004/43回))/クワバラ、クワバラ/0と1の間/悪い男/萩を揺らす雨
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連続短編集…なのですが、最初の話を読み終えた時
ミステリー系? と思ったのですが違いました。
題名にある町を舞台にした…人間関係もの??
しかし、話に出てくる女の人がちょっと…。
視点はおばあちゃんなのですが、この人はよし。
お手伝いにきてる女性もよし。
問題は(?)2番目と3番目の話の女性。
怒りを覚えたりするのはいいんですけど
それを人様に当たるとは…育ちがしれますね、と。
きちんと教育されてない、意地の悪い、というのを押し出しているのでしょうし
これだけでよく表現できるな、とも思いますが、腹が立つ人物なのは確かです。
出会いたくもないですし、知り合いにもなりたくないタイプです。
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著者の作品をはじめて読みましたが、とてもよかった!和製ミス・マープルと呼びたい主人公は、私には若干年齢と行動のアンバランスさが感じられるけれど、とても魅力的です。
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おばあちゃんが身の回りに起こる謎、事件を解決していく。
2011.4.13
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北村薫の謎解きシリーズとは、少し違うけれど
主人公、お草さんの日常の中で起こるいくつかの事件のお話。
設定が好き。
20代で離婚し、子どもを亡くし、
親の営んでいた小さな雑貨店を畳んで、
老齢になってから、器と珈琲のお店を始める。
街の人のくつろぎ、憩いの場。
幼馴染みの、老い衰えていく友人。
お店で働いているスキー選手だった溌剌な久美さん。
この2人とのかかわり合いもとても素敵。
事件にそれぞれ出てくる人たちの
人間くささや、あったかさも、
うまく表現されていて読んでて気持ちがよかった。
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吉永南央さんの本を読むのは初めて。
親の代からの雑貨屋を閉めてコーヒー販売と和食器の店を始めた老齢(60代~)の女性が主人公。
日常のちょっとした(とはいえ思いがけずディープな)謎を解いていく「コージーミステリー」の短編集。それぞれの時期がバラバラなので主人公の年齢も変化し、それに伴い周囲や環境も少しずつ変わっている点に注意して読みたい。
和服+白髪を低い位置のお団子にまとめ、考え事をしている時はお団子に刺した小ぶりの櫛でほつれ髪を梳かし上げる・・・というような描写を想像すると、とってもお婆さんと思ってしまうのだが、作品の中では64歳だったりする・・・周りの知っている方たちと照らし合わせると64歳でこの「老け」っぷりは、ある種のコスプレ?などと思ってしまったが、私がその年代に対する想像力が足りないのかもしれない。
体の衰えや心の移ろい、同年代の友達の病などはしみじみ実感を持って描かれているように感じた。
一番最後の短編「萩を揺らす雨」が文庫化の際には書名になったようです。これも注意と。
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先日読んだ「アンジャーネ」で、その存在を知った吉永さんのデビュー作。第43回(2004年)オール讀物推理小説新人賞受賞作「紅雲町のお草(そう)」を含む、5編の読み切り連作短編集。高崎市を思わせる町を舞台に、コーヒー豆と和食器を商う古民家風のギフト・ショップ「小蔵屋」を営むおばあちゃん、杉浦草を主人公にした人情味あふれる探偵物語。元気で頭の回転も速いお草さんの持つ風格と「小蔵屋」の佇まい、店で働く久実さんや出入りする運送屋の寺田、幼なじみの隣人・由紀乃など、脇役の配し方、性格付けもよく出来ていて、まるでベテランの味わいだ。日常のミステリといった味わいのものから重いテーマのものまで、こまかく情緒豊かな筆致で書き進めている。老いてなお、お草さんに恋心を持たせるところなど、女性の書き手らしい着眼点といえるかも。
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雑誌掲載3作・書き下ろし2作の短編集~草は大正生まれで,一度結婚したが婚家に息子を取り上げられて追い出され,兄妹がなくなった紅雲町の実家の雑貨屋を父母が亡くなった後に当然引き継いだが,大型店が出来て,和食器とコーヒーを売る古民家風の店舗に建て替えた。無料試飲のコーヒーだけを目当てに来る客も少なくないが,客同士の何気ない話を聞くとはなしに聞いている。3年前に出来たマンションの102号で老人介護の暴力沙汰が起きているに違いない,置いてきた幼い息子を周りの人間の不注意で亡くして,あの時こうしていればという後悔を抱えている草は朝昼夜とマンション周辺を見回るが,深夜徘徊の痴呆老人と間違われ,老人が顔を見せ無事が確認できる。隣家の中学生が友達と喋っている内容から,残る被害者は優秀な連れ子の中学生男子しかいないと解った草は,ドライバーで窓をこじ開ける決断を下す。いざと意気込んで夜出掛けると,プロの強盗と出会い,これを雇って少年を救出する。・・・10年前,古民家風への改築では,県北の材木商の解体される店舗兼住居を紹介され挨拶に行くと,遅れてきた相続人の一人は小学校時代に草に嫌がらせを繰り返していた同級生だった。・・・今,草が気に掛けているのは地震の崖崩れで診療所を失い,娘の家に来たが居場所がなくて店に入り浸っている医師と,女子高生と援助交際を行っている噂で日に日にやせ細っていくパソコン操作の家庭教師の大学生。援交相手と思われていたのは実の妹で,自分の身を削って妹が遊ぶ金を作ってやっていたが,アパートを引き払うところまで行き着き,往診鞄を持っている医師に診察をさせる。・・・赤い髪の不審な男が店の前をうろうろしている。老人宅に押し入る強盗かも知れないと,トラック運転手の寺田に話していると,赤い髪の男が入店し,小さく折りたたまれた1万円札をカウンターに置いて直ぐに出て行く。赤い髪の男は寺田の高校時代の野球部の仲間で,嘘を付いて友達から金を借りまくり,町を出て行った田代だという。強盗に後頭部を殴られる被害を受けた老女は田代の母親で,近所の証言から田代が逮捕されたが,寺田は犯行時刻にアフガンハウンドを連れた女性と会っている田代をパターゴルフ場脇で目撃しており,警察にそれを告げるが,田代は認めようとしない。アフガンハウンドを連れている女性を捜し出し,借金踏み倒しが,今は地元で有名なピアニストになった女性の窮地を救うための行動であり,旧悪を世に知らしめないための判断であったことを知る。・・・幼馴染みの代議士から久し振りに呼び出された草は,その子を身ごもりながら京都に嫁いだ女性の葬式に出掛け,高校卒業したての息子に東京に出てくる意志がないか聞く役目を担わされる。葬式の翌朝,酒の臭いを振りまいて帰宅した若者には複数の男がまとわりついてくる。午後会う約束をして繁華街に出掛けると,落ちていた黒い携帯電話を交番に届けることになるが,代議士の隠し子・清史子が同年配の者と揉み合いになり,タクシーで追って自宅で追いつき話し合っている内に交番に寄る時間はなかった。メガネをかけたチビの若者が清史を訪ねてきて押し問答をしている内に,説得を早々に切り上げて去ろうとすると袂に入れた携帯電話が着信音を響かせると,メガネチビは草のバッグを奪って逃走した。バッグを取り戻したい草はホテルに帰るが,待ち伏せしていた別の若者にケータイはどこか詰問されるが,何とか窮地は免れる。黒い携帯とバッグの交換がホテルのロビーで行われ,若者は清史の計画で東京から来た刑事に逮捕され,紅雲町に帰った草は取り戻したバッグの中に持ち帰った,愛人の指の骨を幼馴染みの代議士に手渡すと,これで永遠に一緒にいられると喜んだ代議士は,骨をバリバリ噛んで飲み下した~読み方が悪い(弱い)のか,’あれ,一緒にいた人はどうしたの?’疑問が浮かび,前の部分を読み返すと地下駐車場に行く人間と別れていたり,読み返しても去った様子が書かれていなかったりで不自然。オール讀賣推理小説新人賞を貰ったのが冒頭の短編で,受賞後の2作目「クワバラクワバラ」は10年・60年遡って語られ,書き下ろしは今,最後は幼馴染みの大立て者に関わる20年前と戦前の話,思い出に浸り始めるのを読者側に意識させなくてもいいけど,現在に引き戻される時には空白行を設けて気が付かせて欲しいなあ。今いつなのかを知る手掛かりは幼馴染みの由紀乃,一人暮らしをしていて店も手伝って貰っていて,脳梗塞を起こしても一人暮らしを続けていたが,いよいよ宮崎の息子に引き取られる。その時系列だけは,はっきりしている。推理モノとしては甘いが,2作目の「クワバラクワバラ」はすっきりしている。書き下ろしは,老人だって今を生きているんだというポイントが強すぎてすんなり腹に収まらない。最後は又,年寄りにしては行動力がありすぎて腑に落ちない。観音像が空に浮かぶ北関東の町は何処だろうと検索し,更に紅雲町というのが群馬の前橋に実在しているのが分かって吃驚。小蔵屋や草のモデルもいるのかも知れない
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コーヒーと和食器のお店をいとなむ 草(そう)さん 76才が 店や友人の回りで起きた事件のなかからみつける人生とは…なお話です
日常の謎に分類したけど どちらかというと謎より日常の生活に重点がある感じでした
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70代の人が挑むにはちょっとハードボイルドな謎解明だけど、
とても楽しかった。生きることへの真摯な気持ちが心を打つ。
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紅雲町に住み、和食器と珈琲のお店を営む70代の草さんが主人公。結婚、離婚、一人息子の早死と波乱万丈の人生を歩んできた草が、身近な人の周りで起こる事件を解決していく、読後感のさわやかな物語です。
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おばあちゃんが主人公で、
おばあちゃんが探偵だというから、
もっとほのぼのしている話を予想していましたが、
意外や意外、
どの話もものすごく生々しい。
というか、主人公のおばあちゃんが生々しい。
周囲から愛される、物知りなだけの
架空の物語上のおばあちゃんじゃない。
いらだつこともあるし、
おせっかいもするし、
苦しく秘めた恋の思い出もある。
なかなかおもしろいキャラクターかも。
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年を重ねる淋しさとお草さんが出会う小さな謎。うまく調和して、居心地の良い
世界になっている。ひとつひとつのプロットもよくできているので、久々に納得の作品に出会えて大満足。