山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰
著者 吉野裕子
蛇と猪。なぜ山の神はふたつの異なる神格を持つのか? 日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神であった。6~7世紀、中国から将来された易・五行による新たな神々が、原始蛇...
山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰
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商品説明
蛇と猪。なぜ山の神はふたつの異なる神格を持つのか? 日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神であった。6~7世紀、中国から将来された易・五行による新たな神々が、原始蛇信仰の神々と混淆し、山の神は複雑な相貌をもつようになる。神島の「ゲーターサイ」、熊野・八木山の「笑い祭り」、御田神社の「烏喰神事」などの祭りや習俗を渉猟し、山の神にこめられた意味を読み解く。(講談社学術文庫)
目次
- はじめに
- 序 章
- 一 倭建命伝承と日本古代信仰──祖霊の力と女の力
- 二 山の神の神格
- 1 『日本書紀』にみられる山の神
- 2 『古事記』にみられる山の神
- 三 山の神の分類
- 蛇と猪
- 第一章 蛇と山の神
- 一 世界の原始蛇信仰
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なぜ、山の神はヘビとイノシシという二つの神格をもっているのだろうか?
2020/03/28 12:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の「山の神」が、「なぜ、ヘビとイノシシという二つの神格をもっているのか」という素朴な疑問を解くために生まれた一冊です。同書の著者によれば、「日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神であった」と主張されています。しかし、「6世紀から7世紀になって、中国から将来された易・五行による新しい神々が、原始蛇信仰の神々と混淆し、山の神は複雑な相貌をもつようになった」と説かれています。同書では、「第1章 蛇と山の神」、「第2章 亥(猪)と山の神」、「第3章 山の神祭りとその周辺」と三章構成で、こうした「山の神」を具体的な事例を挙げながら、分かりやすく解説した書です!
民俗学の世界で、ユニークな視点を示し続ける吉野裕子の本。
2023/01/31 00:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
民俗学にも了解事項はあるのだろうし、共通の方法論などもあるのでしょうが、一人一派のような側面がいまもなお色濃い。
そんな、まだ固まらない学問、時代と共に過去の痕跡が失われる、民俗学の世界で、ユニークな視点を示し続ける吉野裕子の本。
いくつかの代表作と異なり、引用多数の文章は、学問的には落ち着いたもののように思える。
しかしそれは、暴走気味の論考を読みたい私からすると、少し物足りない気もするが、これは私が、吉野民俗学に慣れただけかもしれない。
雑誌、単行本などに発表した文章を元に編み直されたもののようです。そういう意味で、一つの小さなまとめでもある。
内容としてはタイトル通り。
本来身近であった山の神
2020/07/29 11:08
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:uruuduki - この投稿者のレビュー一覧を見る
山の神をどう捉えるかは、人によって違う。民間信仰に根付いていて、長い年月の中で、関わる人毎で変容したといってもいいくらいだからだ。だから、研究者によって考え方が変わるのは当然のことと考えている。
ところで、この「山の神」の本であるが、これは2007年に発刊された吉野裕子全集の8巻に当たると思う。この8巻目の前半の半分弱が山の神に対する記述だ。後半は天照大御神などの話になるので、興味のある方にはぜひ読んでいただきたい。
因みに、この全集を購入しているが、まだ全巻がそろっていない。まだ人文書院から出ているので、欲しいと思うところだ。