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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2009/02/27
  • 出版社: 文藝春秋
  • サイズ:20cm/504p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-16-327880-3

紙の本

プリンセス・トヨトミ

著者 万城目 学 (著)

このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪...

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プリンセス・トヨトミ

税込 1,728 15pt

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商品説明

このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける“鍵”となったのは、東京から来た会計検査院の三人の調査官と、大阪の商店街に生まれ育った二人の少年少女だった—。前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。【「BOOK」データベースの商品解説】

5月末日の木曜日午後4時、大阪が全停止した。長く閉ざされた扉を開ける「鍵」となったのは、女子になりたい中学生・大輔と彼を守ってきた幼馴染の茶子。そして、東京から来た会計検査院の3人の調査官だった…。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

万城目 学

略歴
〈万城目学〉1976年生まれ。大阪府出身。京都大学法学部卒業。2006年「鴨川ホルモー」でボイルドエッグズ新人賞を受賞しデビュー。ほかの著書に「鹿男あをによし」「ホルモー六景」など。

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著者/著名人のレビュー

 会計検査院の三人組...

ジュンク堂

 会計検査院の三人組は謎の組織OJOに迫る。舞台は大阪城、なにやら豊臣秀吉の末裔が大阪に生存しているらしい。しかもそのプリンセスを守る秘密組織があるらしい。
 片や奇妙な三人組、片や末裔プリンセス+秘密護衛隊、国家権力と大阪のド根性が真正面にぶつかる日が来る、「大阪全停止」。
 奇想天外な発想が縦横無尽にとびかう。しかも底にただよう人情の温かさ。マキメ・ワールド全開のエンターテイメント。

みんなのレビュー584件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

本の帯は無しです。ネタばらしじゃないですか!

2009/04/02 18:40

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る

正直に申し上げると鴨川や鹿男は、あまりぱっとした作品とは思えずそれでもなんとなく手に取ってしまったこの「プリンセス・トヨトミ」。
あまり期待もせずに読み始め、登場人物の名前を確認したら一気に作品の中に埋もれこんでしまいました。
大阪城を舞台としてこの名前、人物設定はツボを刺激しすぎです(笑)。
名前と登場人物の性格を照らし合わせて読むと楽しさアップ。
でもなんといっても心をわしづかみにされたのは、いきなりどぎもを抜くこの言葉「大阪国総理大臣」。
思わず目にして文字をまず二度見。
あまりの壮大なスケールに思わず吹き出してしまいました。
そしてこの言葉がでてきてから、急激にテンポよく話が進んでいきます。

読み進めていくと、辛い出来事や難しい悩みもちりばめられていきます。
そんな深刻な出来事を、逃げながらでも個々のもつ内面の強さで立ち向かっていく姿がとても印象的です。
会計検査院の調査官の三人、中学生の二人が紙の上でそれぞれ自己主張していて、誰が主人公なのかと解らなくなるほど。
作品を出すごとに文章を練るのが巧くなっているなぁと思います。


そもそも嘘って大きい嘘であるほど、大きく風呂敷を広げるほど面白いものになって人を楽しませるものですよね?
この作品にはとてつもなく壮大な風呂敷をしきつめておいて、ふんわりと心を包んでいくようなお話でした。
実際目にしてみたいな、あったらいいなそんな心を刺激する大人が楽しめるファンタジーみたいで、非常に爽やかな後味が残る作品。
友達の素敵さ、親子の愛の深さにじぃんときて、涙もろい私は号泣。
一度読み終わった後にラストの方だけもう一度読み直して、素敵な気分になりました。



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紙の本

その秘密が守られてきたのは、二人だけの約束だったから。

2010/12/03 23:31

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:白くま子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

>無名の人々による、無言の歴史
 
>それはあまりにもやりすぎじゃないか。
>そう人々がおもったとき、すべては始まったのだという。
 
物語の核心に差し掛かった時のこれらの一連の文章を読んだ時に、
「腑に落ちる」というのか、
「感覚としてよく分かる」と言ったらいいのか、そういう気持ちになった。
 
そして
 
>信じられたのは、・・・の言葉だったから。
>約束が何百年にもわたって守られてきたのは、二人だけの約束だったから。
 
という内容の文章が出てくる。
これほど説得力のある説明はなかったし、同時に気持ちを熱く激しく揺さぶられた。

ともすれば、良い意味での「大きなホラ話」と受け取られかねないようなこの本の印象に、
「説得力」と書くと、不思議に思われる人がいるかもしれないが、
この部分を読んだ時は腹の真ん中にストンと落ちて、こみ上げてくるもので胸がいっぱいになるだけであった。
最初の方の、会計検査院の調査官3人が新幹線に乗るところや、セーラー服を着る少年の苦悩の辺りを読んでいた時は、まさかこの小説でここまで真剣に泣かされるとは思いもよらなかった。
「大きなホラ話と受け取られかねないような」と書いたが、私個人の感覚としては「あり得る話」と受けとめた。何を言っているんだ?冗談だろう?と言われるかもしれないが、実際にそう感じたのだから仕方がない。
 
しかしまあ面白かった。
壮大な小説だから、アラとか傷はそりゃあ探せばあるだろう。
だけどそれが何だというのだ。
これだけ笑わせてもらって泣かせてもらったのだから、いいではないか。
 
登場人物の名前を見るだけでも楽しめた。私は歴史に大変疎いものだから、残念ながら、登場人物の名前に関して作者の意図したものが、全て理解できたとは言えないが、それでもいっぱい笑えた。
個人的にはプリンセスの設定が良かった。
名前はもちろん、彼女を取り巻く環境、容姿、言動、そして何といってもバイタリティあふれる圧倒的な人間的魅力。
これぞ大阪のヒロイン、プリンセストヨトミであった。
 
著者に、「よく書いてくれた」「書いてくれてありがとう」と言いたい作品である。

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紙の本

秘密の国が目覚める、その瞬間、大阪城が真っ赤に燃える

2010/01/11 15:54

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ジーナフウガ - この投稿者のレビュー一覧を見る

以前大阪出身の友人が呟いていたことを思い出した。
『なんぼなんでも、大阪人やからって四六時中、ボケとツッコミはしてませんて。

んなもん、中国人が日がな一日カンフーしないのと同じ。
常にお笑いのテンションで生きてたらシンドイだけですやん。大阪人にも、オンとオフがあるんです。

爆発的に笑い取りに行く時と、普通に過ごしてる時の落差なきゃやってられませんって。』
なるほど、そんなもんだろう、長年頭の片隅にあった言葉が、この本を読書中、常に心に浮かんでいた。

タイトルから連想される通り、この小説は、大阪に暮らす人達の日常と謎とがミックスされた形で登場する。
東京から出向してきた会計検査院のメンバー3人の調査の網に引っ掛かってきた

OJOという不思議な響きの団体。全ての大阪人男性が、400年もの永きに渡り、
決して口外せずに守って来た地下帝国【大阪国】それも、豊臣家唯一の末裔である

プリンセス・トヨトミを守るためだけに現在に至るまで続いている。
大阪国と明治維新の政府が交した密約に、何故今になって会計検査院のメスが入るのか。

歴史に隠された光と闇。喋りのイメージが強い大阪人が、
何故笑いを求めるタイプの人種になったかの理由にも、

『んな、アホな!?……でも、そんな歴史的理由があっても良いかも!!』と納得させられるだけの描写力と、
説得力のダブル・パンチが効果を存分に発揮していて、

自分の中にあった大阪人への固定観念がガラガラと崩壊していきました。
それにしても、小説って良いなぁ!読書する度、気が付けば何時も

『あぁ、よくもまぁ、こんな奇想天外なアイデアを思い付いて下さいまして…』
感嘆の溜め息すら漏らしている自分が居たりする。この小説も、落ち着いた状況描写が続いた後、

唐突に、まるっきり先の展開が読めなくなった。どころか、思いっ切り楽しい展開へと続いたので、
作者の、万城目学さんの持っている物語創作力には大いに感謝の念を捧げたいと思う。

大阪府中、ひょうたんで埋め尽くされ、大阪城は真っ赤な光に包まれる、世にもシュールな光景と、
そんな発想をする万城目さんの頭の中を、一度じっくり見てみたい!!

この本の帯にも太ぶと書かれていた、五月末の木曜日、大阪全停止って発想の、
スケールの大きな馬鹿馬鹿しさにも万城目さんのデビュー作【鴨川ホルモー】と同じく

スケールのデカさを予感した分、物語から得られるカタルシスの爽快感も、またデカくて!
そこまで淡々と読み進めていたので、大阪城公園にやって来た人々を歓迎するかの様な噴水の場面では、

どこまでも青い空と、真白い水吹雪とが、パーッと頭の中に展開して行ったのだった。
そして場面は最高潮。遂に対峙する、会計検査院・副長松平と大阪国総理大臣真田。

白熱し緊迫した論戦、飛び交う怒号に野次、投げ付けられるペットボトル。興奮し暴徒化する民衆。
話し合い現場は大混乱になってしまう。トヨトミの名の下に繰り広げられる壮大なスペクタル。

どのような幕が引かれるのだろうか?この作品、視覚的な効果にも優れてますし、映像化作品も、
みてみたいかも(その時は愛すべき男・ミラクル鳥居に、爆笑問題の田中さん辺り如何でしょうか?)

後、もう一つだけ、言わせて下さい。男主体で動き回っていたこの小説、最後の最期に、
女性側からのホロリとくる内訳話があります。これを読むのと読まないのじゃ、

物語の印象も真逆な物になってたことでしょう。ラストまで、たっぷり楽しんで下さいね!!

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紙の本

万城目ワールド全開。しかも進化しています。

2011/05/29 17:09

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る

万城目ワールド全開。しかも進化しています。

万城目さんの作品を読んだことのある方なら、彼の作品の特徴はよく分かっていると思います。

「あり得ない」背景設定を「あり得るかも」と納得させてしまう、その構想力のすごさです。

本作品もタイトルのようにプリンセス・トヨトミが現代の大坂におり、大きな影響力をもっているという「あり得ない」設定です。

しかも会計検査院の主人公と対決に至るというのは、一見あり得ないけれども、その詳細な説明などにより「ある得るかも」と思わせる不思議な力があります。

物語は大阪を舞台にプリンセス・トヨトミにかかわる人々の目線から語られていきます。

いままでの作品と同様に物語の最後で、一種の種明かしがあり、楽しめます。ただ、個人的には物語設定だけでも十分楽しめるので、種明かし的な要素はいらないかも、と思いました。

あと、様々な人の目線から語られているため、話の筋が少しずれていると感じられる部分もありました。

ただ、エンターテイメントとしては申し分ありません。

次の作品も楽しみです。

龍.

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紙の本

ハッタリも、ここまで素晴らしいとアッパレ!

2009/04/17 10:05

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:book-gogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

祖母の家にオレオレ詐欺の電話がかかってきたことがある。明らかにオッサンの声だったと聞いた。ちなみに私の声はお兄さんである。祖母は機転の利く人間だが、その才能を発揮するまでもなく一蹴したらしい。

しかし、そんなオレオレ詐欺をやっている輩には『プリンセス・トヨトミ』を読んでもらっては困る。おそらく詐欺の成功率が上がってしまうからだ。

なにせ、日本の中に“大阪国”という国が密かに存在しているという、到底ありえない設定を、「もしかしたら本当かもね」と、つい思ってしまう。かなり緻密にストーリーを考えないと、これほどの完成度にはならない。

この完成度の高さの、その最たる部分は第四章にある。“大阪国”の成り立ちを、実際の歴史に絶妙なフィクションを織り交ぜて語り、さらには“大阪国”があることで現在の大阪人の気質が出来上がったという、“さもありなん”な解釈まで披露している。小説で語られるハッタリも、ここまで素晴らしいとアッパレである。

第四章を過ぎれば、後はもう楽しさ全開のストーリーが待っている。第四章より前の部分も当然面白い。個人的には、登場人物の個性や行動、やりとりが『鹿男あをによし』よりも楽しかったし、ストーリーの出来具合にも文句のつけようがないと思う。

おそらく、2009年マイベストブック・ベスト5には入るだろう。これからは、万城目学の新作は無条件で買うことにしよう。

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紙の本

大阪の隠れた秘密

2023/04/18 11:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんて荒唐無稽でいて、なんだか実際にありそうな気もしてきてしまう小説なんでしょう。
豊臣秀吉のつながりを感じさせる人々が一般庶民として大阪で生活している。それだけでも興味深いのに、そこに大阪城にまつわる隠された真実がある。これは読まずにはおれない小説でした。

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紙の本

苦労したのだろうなあ

2010/04/18 08:18

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kabunwa - この投稿者のレビュー一覧を見る

京都、奈良、と来て大阪を主戦場にした本作。
確か作者のご出身が大阪かと思いましたので、
念願のご当地作品ですが、
ホルモーや鹿男よりも荒唐無稽な話。
作者の苦労が偲ばれます。

万城目さんは、鹿男以来、日本史の勉強量がすさまじく、
なかなか説得力を持つ設定と史実、
そしてオヤジとムスコの心の繋がりを持ってくるあたり、
男としてダメは押せません。

ただ強引な設定が所々目に付き、これさえなければ
文句なしなのにとついつい思ってしまいます。

難を上げると、
根っからの大阪人に問いたいのは、そこまで秀吉好きですか?
ということ。
私は奈良出身で、大阪の友人は多いのですが、
まあ秀吉の名前も出てきません。
家康憎しという声も聞きません。

せっかく大阪のご出身なのですから、
もっとリアルな設定でも良かったのではないかと。

ただ、大阪の男よりも女の気風が良いというのは、
秀吉とねねにも通じる要素。
作品の最後でそのことが明かされるのは
非常に良かったと思います。

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紙の本

最高傑作かどうかはともかくとして

2009/06/16 11:02

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る

トヨトミと来て表紙の大阪城の絵となると、もちろんあのトヨトミなわけですが、
トヨトミのお姫様って誰のこと?
あいかわらず上手いタイトルつけるよな……というのが第一印象。

私の万城目学への評価はわりに辛めなので、
『鹿男あをによし』の帯を見て「金原瑞人、褒めすぎ、大袈裟」と思っていました。

毎回、設定そのものには感心するのだけど、それ以上のものを感じたことがないのです。
もちろん下手だとは思わない。むしろ器用な人でしょう。
ただ物語の着地の仕方もユーモア感覚も、平均の域を出ていない気がして、
設定の奇抜さに誤魔化されている気がするという印象でした。

今回の帯には、同じく金原氏の
<はっきりいって、万城目学の最高傑作でしょう>という言葉が躍っていて、
勘弁してよ、まだ4作目(ホルモーシリーズをひとつとするなら3作目)じゃん……と、
読む前から、帯でかなり醒めてしまいました(煽り文句とはいえ軽々しすぎ)。
もちろん、これは万城目さんのせいではありません。

結論から言います。
現時点での彼の作品の中では、いちばんだと思いました。
そういう意味では、帯の言葉、間違ってはいないのか?

大阪国という国が、日本の中にあるそうです。
もちろん総理大臣もいます。
ところが大阪国民は、そのことを口にするのを禁じられていて、
では何をしているかというと、豊臣家の末裔を守っているのだそうです。

細かい設定も含めて、広げた風呂敷の大きさに度肝を抜かれました。
鹿が喋るとか、そういうレベルではないのですから。

大阪国が日本国からの補助金を不適切に処理しているとして、会計検査院の調査が入るのですが、
それと並行して、守っていたはずの豊臣家の末裔が行方不明になります。
大阪国の最大のピンチです。

この物語、会計検査院の3人の調査官を中心とした部分と、
大阪の空堀(からほり)で育った2人の中学生の日常とで成り立っていて、
それがクライマックスに向けて、大阪国というキイワードで繋がります。

「平均的」と彼の小説について書きましたが、
その中に、人物造型が類型的という引っかかりもありました。
出てくる人物の行動、言動が、自分の予想を超えない不満というのでしょうか。
そのぶん設定が、想像をはるかに超えてお釣りがくるのですが、
そこで期待をしてしまうぶん、どうしても「なんだかなあ」という不満が残るのです。

同じようなことを今回も感じたのですが、それでも以前よりずっと丁寧に書き込まれていて、
私はむしろ大阪国の設定が出てくる前や、出てきたあとも中学生活の描写のほうが楽しめました。

2人の中学生は、女の子になりたい少年と、その幼なじみの少女です。
少年がセーラー服で登校した日から、彼に対しての周りの攻撃はエスカレートしていきます。
中学校という、まさに逃げ場のない狭い世界で、追い詰められていく少年と、怒りを抑えきれない少女。
おそらく恋愛感情でさえない、ひたすら大切な者への想いが、お互いを支えているのですが、
あまりにも純粋で優しくて、でも世の中はままならなくて、胸が詰まりました。
のっぴきならないところまで追い込まれた2人は、そのまま大阪国のピンチに巻き込まれていきます。

会計検査院のエリートにも、亡くなった父との確執や、
4歳の頃目撃した奇妙な光景への疑問など、引っかかるものがいくつかあり、
そちらも大阪国との対立で、しだいにあきらかになっていきます。

男性ばかりで成り立つ大阪国。
その陰で、女性たちはそれをどう思っているのでしょうか。
秘密は秘密のままで。
ふたたび日常に戻っていく登場人物たちが、愛おしくなってしまいました。

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紙の本

大阪にはこの伝説ありそうな気がする

2009/04/15 00:09

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 会計検査院って?
そうそう聞いたことあるけど何してるところなの?
そんな疑問を持ちつつ本作に突入。その実態は私たちの税金の無駄遣いをチェックしてくれる今もっとも活躍してほしい役所だったのだ。その中で容赦なき監査で鬼と呼ばれるエース松平とだれもがはっと振り返るようなすごい美人旭となぜかミラクルを起こす男鳥居が大阪である社団法人を監査することになり東京から出張してくる。
 一方大阪城近くの商店街に暮らす幼馴染の中学生の大輔と茶子。大輔の夢は女の子になること。茶子はそんな大輔を守ってやりたいと思っている。全然関係なさそうな二つの世界が混じりあった時壮大な世界が広がる。
 京都・奈良ときて今度の舞台は大阪。また面白い世界をみせてくれる。この会計検査院がミソだよね。私たちの生活の上でまったく馴染みのないお役所と大阪国総理大臣の取り合わせ。これはもう笑うしかないでしょ。一体結末はどうなるのかとページをめくる手も止まらない。
 ああこういう風になれたらいいなと思わせる人としての理想が随所にちりばめられている。それは主人公に限らず市井で暮らすおっちゃんやおばちゃんたちだ。普通の人々の胸に秘められているが決してなくならないもの。そんな夢が大阪国には詰まっているように思える。これは大人のおとぎ話なのだ。
 ただ大阪という街はひょっとしたらこの話はありかもと思わせる。そんな作者の思惑に快くハマろう。また挿絵も素敵で雰囲気を盛り上げてくれている。

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紙の本

斬新な発想

2009/07/03 14:22

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

プリンセス・トヨトミ 万城目学(まきめまなぶ) 文藝春秋

 この本も同時期に読んでいた他の本同様にゲームシナリオのようでした。現代日本人作家の筆致はこのような形式が主流になってきているのだろうかと不安になりました。ドラマ化、アニメ化が狙いなのでしょうか。
 会計検査院の3名が大阪府庁を検査するわけですが、会計検査院の業務がきっかとなるだけで、それ以上に深い部分まで会計検査院の業務に踏み込むことはありません。
 歴史解説は面白い。大阪城は豊臣秀吉がつくったものの上に徳川家が構築物をおおいかぶせてあるということは初めて知りました。
 舞台のひとつになる「空堀(からほり、からぼり)商店街」は実在するようです。内容の大半は、中学生向けの物語のようです。「OJO」の意味が途中でわかったのですが、意味はわかっても趣旨はわかりません。その後、大阪人の大阪に対する愛着であることが判明します。
 大阪の活動停止は、ストライキを意味するのだろうか。阪神・淡路大震災発生直後と似て、情報が他の地域に伝達されない。学校の閉校は、新型インフルエンザの国内感染患者発生後の対策のようです。
 452ページ以降はいらなかったのではないかとは感じましたが、斬新な発想によって産み出された作品でした。

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紙の本

400年の時を馳せる大空想劇

2009/05/23 11:21

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:YO-SHI - この投稿者のレビュー一覧を見る

「鹿男あをによし」で奈良、「鴨川ホルモー」で京都を舞台に、奇抜な着想で物語を描き出した著者が、次に舞台に選んだのは出身地の大阪だ。さらに詳しく言うと、大阪城の南に位置する急坂の商店街「空堀商店街」。視界さえ開ければ大阪城天守閣が拝めるくらいの距離だ。タイトルの中の「トヨトミ」はもちろん、かつての大阪城の主であった「豊臣家」のことで、「プリンセス」ももちろん「姫」だ。本書は、多くの人がタイトルを見て思ったとおりに「豊臣家の姫」の物語。
 そうは言っても、奇抜な着想が特長である著者のことだから、一筋縄ではいかない。物語はあらぬ方向へ向かい、信じ難い出来事を引き起こしながら、豊臣家の姫の物語に収れんしていく。

 主人公の名前は真田大輔。大阪には信州上田の真田家が好きな人が多い。空堀商店街の近くに真田山という地名があるが、ここは大阪冬の陣の際に真田幸村が真田丸という出城を築いて奮戦した地の跡と言われている。夏の陣での幸村の戦死の地と言われている安居神社では今でも幸村祭が行われる。
 上田の人に聞いたのだが、大阪で上田から来たと言ったら「真田は太閤さんの味方だから」と言っておマケしてもらったそうだ。400年以上前の出来事が今の大阪の人の心に生き続けている。本書では真田家のことは匂わせる程度にしか書かれていないが、このことはストーリーに大きく関わっている。

 表紙は、本書の準主人公である会計検査院の調査官3人が、お堀越しに大阪城天守閣を仰ぎ見る絵だ。実は私はこれとそっくりな構図の大阪城を見たことがある。大阪に出張で深夜にホテルに入って、翌朝の朝食をとったホテルのレストランから間近に見えた大阪城がこんな感じだった。関西に生まれ育っても大阪城を見る機会はそんなにないものだ。その威容にしばし圧倒されたのを覚えている。
 上に書いた「信じがたい出来事」というのは、ある目的を持った仕掛けなのだが、私に言わせれば「大仕掛け過ぎる」。しかし、大阪城のあの威容をいつも感じて、400年以上前の出来事を胸に抱いている大阪の人々なら、これぐらいの空想はアリなのかもしれない。

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2009/03/18 17:32

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2009/03/09 22:04

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2009/03/10 16:13

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2009/03/11 08:42

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