紙の本
世界が読んでる村上春樹
2020/10/23 14:07
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上春樹は好きだが、実はその研究本にはあまり興味がない。しかし、この本を手に取り最初にめくったページにあった「村上春樹 翻訳世界地図」から受けた衝撃が尋常でなかった。
村上春樹氏の著作が、ほぼ地球上の全地域40カ国で翻訳・出版されている事実をそこで知ったからだ。香港とアメリカ...カフカ賞も受賞したのでヨーロッパでもちょこちょこ翻訳されてるだろうとは思っていたが、まさかこんなに...。
4人の編者の中には、柴田元幸氏と四方田犬彦氏の名前も並ぶ。このお二人も私の好きな作家、翻訳者だ。その内容は、シンポジュウムやワークショップの記録のようで、そこに参加した各国から集まった19人の翻訳家たちの顔も、写真で見る限りちょっと只者でない雰囲気が漂っている。
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柴田さんのでなければ読む気にはならなかったと思います(というかこれ以外のハルキ研究本なるものを読んだことはないです)。
p.341の林少華さんの考察?には同感しました。
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世界各国で翻訳されている魅力についてと各国の時代背景を説明。
どこの国でも、なぜこんなにも自分の事について書かれているのかと錯覚される
ような作品について翻訳家の方々が語っています
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とても面白く読めました。変に批評するだけじゃないのがさすがシンポジウムといった感じ。翻訳家の方々が自分の国の事情も含めて世界の中での村上春樹の存在とその行方を語ってました。『村上文学』という言葉がでるあたりもう現代の日本人作家とかけ離れたところにいるのだなあと実感。それでも全くブレない春樹の姿勢がすきです。
注目してしまうのは香港、韓国、中国等のアジア圏の翻訳家の方々の発言。とても興味深いです。あと目についたのはやたら三島由紀夫、谷崎潤一郎、川端康成の名前がでてくるところ。海外での高評価は知ってたけれど外国での日本文学ってこの人たちなんだなあと改めて実感。
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タイトルの通り。
様々な国の村上春樹本の翻訳者が集い、村上ワールドの訳し方や
その世界感を語り合ったフォーラムを書籍化したもの。
とても読みやすく興味深く読めました。
国によってさまざまなブックカバーデザインも
紹介されています。
ビジュアル的にも楽しめます。
文庫で、ささっと短時間に読めました。
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村上文学はいつの時代、いつの国でも叡智あるヒトが常に唱えています。人生はつかの間のものであり、確かだと思えるものは捉ええる幻でしかない。志向は我々が考えているより奇怪である。現実とはその場その場の妥協にすぎない。自己とは燃え盛る家である。ゆえに逃げられるうちに逃げよ。
村上作品のもう一つの特色は境界を打破したいという精神を常に持っていることだと思う。
日本人のフランスかぶれはフランス側から見ると苦笑ものでしょうが、フランス人もまた日本文化を理解できるのはイギリス人でもなく、イタリア人でもなく、自分達フランス人だという奇妙な自負を19世紀の浮世絵の発見以来抱いてきた。
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予想外におもしろかった。
村上春樹を語る国際会議、みたいなのがあって
世界中の翻訳者とかが集まって
彼の作品や、翻訳状況について語っているのですが。
基調講演でその作風を「ミラーニューロン」に例えた
科学的なアプローチが興味深かったです。
文学と科学。
繰り返される「異世界」「井戸」「2つの世界」の話。
登場人物は、カップルでいるようでいて
そこには1人しかいない、とか
そういうことをうまいこと解説してくれてました。
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17国23人による翻訳をとおした村上春樹論。
各国のカバー絵の比較があったり、映画についての話があったりと、目からうろこな村上春樹論だった。
と、同時に翻訳家の苦労がしのばれました。
春樹の小説って、料理がよくでてくるけど、それをどう翻訳するかっていうのでも千差万別で、そのあたりからその国の文化も見えてくるのが興味深かった。
と、どの国の翻訳家も、ものすごく村上春樹が好きっていう熱意がすごくて、圧倒されました。
シンポジウムでの話を書き起こしているものだから、読みにくい部分も多々あるけど、全体を通して面白かったです。
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村上春樹ファンの気持ちが判る本。ちょっと褒めすぎ。 2009/07/08 村上春樹がなぜ世界中で読まれるかを17カ国の翻訳家や作家などの関係者が語り合ったシンポジウムの記録です。外国人も日本人もとにかく村上春樹に魅せられており、何かを語らずにはいられない感じで様々なロジックで賞賛しています。ファンは、彼が書く小説の文章のひとつひとつに何らかの「意味」を探りたがる傾向があるようで、中には作家本人が意図しない?ところまで「意味」を見出す人もいるようです。世界中でこんなに愛されて幸せな作家だなと思いました。ちなみに村上春樹の小説はまだ一冊も読んだことが無いので、老後の楽しみに取っておきたいと思います。
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面白かったのは、「夜のくもざる」をみんなで訳すところ。
翻訳ってあまり仕事としてどういうことなのか?というのがわからなかったわけで、それが最近どんどん形になってきた。とともに「翻訳されていないものが読みたいな」と思うようになってきた私にとって、「ああやっぱりこういうことだったの!」っていうのも面白かったし、それに対してこんなに立場があるというのも面白かった。それぞれがもうちょっと深く聞けれたらよかったな~と思いましたが、高校生とか、読んだらためになりそう。というか、このシンポジウム超おもしろそう。
もう1度言う。夜のくもざるをみんなで訳すのが楽しそうーー。すごく楽しそうーーー。
各国の村上春樹との触れあい方(それは主に翻訳家の目を通して)も語られている。でもそれはあくまで表面的なことにすぎないけど。
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村上春樹の小説には
「影」という言葉がものすごい頻度で登場するらしい。
会社に本を置いているので
詳細はまた別の機会に更新予定。
世界各国語に訳している訳者を中心に
ハルキワールドを自由に読み解く。
多角的すぎておもろい。
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村上春樹をめぐるシンポジウムの様子を収録したもの。四方田犬彦さんがシンポジウムをひっくり返すようなことをおっしゃるあたり、ああ。という感じもしなくもないが、これは芸風ということで。もっと他国の翻訳者たちの話を聞きたかったなあ。
地味にスラ研なんかのシンポも付録でついていて、そこのところがとてもありがたい。勿論一番の読みどころはパワーズの講演である。
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世界は村上春樹をどう読むかというシンポジウムを通して、村上春樹についての多角的な捕らえ方が見えてくる。
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今朝、3年前刊行の単行本が文庫化されて書店の平台に積んであったので、この機会を逃すと、このような本、一生読まないのではと思ったので購入読破。
現代日本の誇る最高の翻訳者・外国文学者である3人の評者、アメリカ文学者の柴田元幸と、ロシア・ポーランド文学者の沼野充義と、中国文学者の藤井省三に、現代日本で最も尖鋭な映画・漫画・文学研究者の四方田犬彦を入れた4人が、地球上を席捲するハルキ現象の謎を解明する希代の一書です。
ハルキは世界中40カ国で翻訳されているというから、驚くというより、よくもまあ、という感じで、ノーベル賞エコノミック・アニマルとでも名付けたい気持ちです。
ただ黙っていて、読みたいから翻訳させて下さいといって広まったのではけっしてなく、新潮社はじめ本人の意向を肩にしょったバイヤーたちが、ハルキ・プロジェクトを実行、悪戦苦闘して売り込みに行った成果であることは、それはそれで立派ですね。
彼の一貫したテーマである、他者を理解することの絶望的なまでの不可能性というものが、世界中で理解され共感を得ているなどということが金輪際あり得ないことを、もっと強調する必要があるのではないかとは思いますが、さすが良識的な面々、いまひとつ突っ込んだ言及がありません。
ふうん、『羊をめぐる冒険』を読んで、モンゴルの読者は、これを真に理解できるのは自分たちだけだと言ったそうですが、そうか、羊はお手の物ですものね。
ところで、我が四方田犬彦が本当にハルキ礼賛をするのかとドキドキしていましたが、きわめて冷徹まことに客観的な言説に終始しているので安堵しました。
そして、しかも、「グローバリゼーションのなかで」というシンポジウムで、素朴な問い(!)として、どうしてハルキはアラビア語やウルドウー語訳が出ていないのか。これは言語をめぐる政治の問題ではないか。世界がハルキを読むのは結構だが、その場合の世界とは何なのか。端的に言って勝ち組の国や言語だけではないのか。ここで排除されているものは何なのか、誰なのか。
・・・という鋭い指摘をしています。
それから、打ち上げの時にある女性翻訳者とたまたま二人っきりになった折に、彼女から、あなたは本当はハルキを全然好きでも何でもないんじゃない?、と聞かれて、黙ったままでいると、大丈夫、他の人には黙っててあげるから、と言われたそうです。
さり気なく小さなエピソードとして挿入してありますが、案外本音であり、このシンポジウム自体も、ネッシーの正体を暴く、みたいな感じで参加しているに違いないと思ったりしています。
この感想へのコメント
1.ペネロペイア (2009/06/12)
お邪魔します。大変興味深い感想です。
私は、村上春樹の短篇などいいと感じる小説がないことはないのですが、違和感を感じることが多いです。例えば、「ノーベル賞狙い」。「海辺のカフカ」で、ノーベル賞作家がその前にとることが多い「カフカ賞」受賞とか。
私は、村上春樹は、ノーベル賞にはふさわしくないと思う。村上春樹のいいところはむしろノーベル��とは遠いところにある点という感じがします。
2.薔薇★魑魅魍魎 (2009/06/27)
最も相応しく、かつ優れているのは『THE SCRAP・・懐かしの一九八〇年代』とか『村上朝日堂の逆襲』などのエッセイストとしての資質にあると思います。物事の羅列とそれなりの気の利いた感想、これこそ村上文学の本質であり彼がアメリカ文学から学んだ魔法のエッセンスで、このトリックに何千万人の読者が術中に陥ったことでしょうか。
3.ペネロペイア (2009/07/13)
「アメリカ文学から学んだ魔法のエッセンス」の「トリック」とは本当にその通りだと思います。この前のコメントではなんだか熱くなってノーベル賞がどうのこうのと書いてしまいましたが、私は別にノーベル賞至上主義者でもないので誰がとってもいいと今は思っています。それにしても、「村上春樹の文はすばらしい」と言う人が多いけど、本当にそうなんでしょうか。私にはそうは思えないです。
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グローバルでありながらローカルな歴史に拘泥している点への評価が高い本書。また、国家レベル個人レベル問わず夢と挫折の経験がある人々に受け入れられているとういう点も重要な指摘。
簡単でシンプルな言葉選びと、独特なリズムとユーモアには魅力しかない。
個人的には『羊をめぐる物語』が一番好き。