- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2012/03/30
- 出版社: 小学館
- ISBN:978-4-09-677212-6
永遠の詩02 茨木のり子
著者 茨木のり子 (著) , 高橋順子 (選・鑑賞解説)
生きるための言葉に満ちた希望の詩。弱ったこころを勇気づけ、希望に導いてくれた詩人、茨木のり子。そこにはいつも生きるための言葉があった。亡き夫への想い溢れる最後の詩集『歳月...
永遠の詩02 茨木のり子
06/27まで通常1,485円
税込 1,040 円 9pt商品説明
生きるための言葉に満ちた希望の詩。
弱ったこころを勇気づけ、希望に導いてくれた詩人、茨木のり子。そこにはいつも生きるための言葉があった。亡き夫への想い溢れる最後の詩集『歳月』も収録。詩人・高橋順子による鑑賞解説付き。
永遠の詩シリーズは、今日的に意義のある詩人をとりあげ、代表作を厳選しました。わかりやすい解説で、詩があなたにもっと近くなります。
著者紹介
茨木のり子 (著)
- 略歴
- 1926~2006年。大阪生まれ。川崎洋とともに詩の同人誌『櫂』を創刊。詩人、エッセイスト、童話作家。詩集に「倚りかからず」など。
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書店員レビュー
ぱさぱさに乾いてゆく心を…
honto事務局さん
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子の詩の魅力は、瑞々しさにあふれた生へのエネルギーと、読む度に背すじが伸びるような凛とした強さ、しなやかさ、そして類い稀なる「感受性」であろう。
「汲む」という詩は、「夕鶴」の舞台女優として有名な山本安英との会話のなかから生まれた。背伸びをして斜に構えていた心を山本に見透かされ、はたと深く悟るのである。
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと.....
茨木のり子は、青春を戦争で奪われてもなお、力強くもたおやかに夫に先立たれてもなお、孤独に心を閉ざすことなく詩作への情熱を生涯持ち続けた。
2006年2月17日、鬼籍に入る。遺書は生前に「挨拶状」として用意してあった。
詩集では異例の15万部を記録した「倚りかからず」の文章そのままのように、自分の二本足でのみ立ったまま、この世に永訣の別れを告げた。
写真で見る茨木のり子はその詩のごとく清冽な美人であると思う。
毎日の生活のなかで心が乾いてしまいそうなとき、弱いアンテナを閉ざしてしまいそうなとき、50歳以上も年上のこの美しい女性に、私は本の中で「ばかものよ」と叱られにいくのである。
(評者:ハイブリッド総合書店honto 販促担当 M・K)
姿勢を正して読む詩集
2010/07/15 08:38
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「永遠の詩」全八巻の二巻めは、茨木のり子。三十六篇の詩が収められている。
巻末のエッセイはコラムニストの天野祐吉が担当している。
茨木のり子の詩はいい。すっくと立つ、背筋がのびる詩が多い。何度読んでも、いつも新鮮で、いつも心があらたになる。
代表作のひとつ、「わたしが一番きれいだったとき」は反戦詩といっていいだろうが、声高に反戦を叫ぶことはなくても、読むものに戦争がもたらす不幸を痛感させる。繰り返される「わたしが一番きれいだったとき」というリフレインに、その時代を戦争で奪われた詩人の苦味がこめられている。
白くて細い手が固く握られて、強いこぶしになる。
そういうつよさ、たとえば「自分の感受性くらい」や「倚りかからず」が茨木のり子の特長ではある。しかし、つよさをまとう意匠は先の「わたしが一番きれいだったとき」のように柔らかで、なめらかで、やさしい。「食卓に珈琲の匂い流れ」にもそれは通じる。
そういう女性的な(ほめ言葉としての)表現は、亡き夫を偲んで詠まれた作品に結晶している。「夢」という官能的な詩の、切なさはどうだろう。「夢ともうつつともしれず/からだに残ったものは/哀しいまでの清らかさ」(「夢」)。夢のなかで亡き夫と交歓する詩人のうちにあふれだすものに絶句させられる。
なんどでも、ここに、もどってこよう。
と、思う。
ちなみに、表紙の「自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ」は「自分の感受性くらい」という詩の一節である。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
詩は、生きる。
2010/07/04 23:10
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サムシングブルー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「戦後を代表する女性詩人にして、エッセイスト、童話作家でもあった。」と、茨木のり子さんを紹介しています。
詩人・高橋順子さんが茨木のり子の作品を選・鑑賞解説しています。
本書の最後にある年譜が大変充実しています。
茨木のりこさんは大正15年に生まれ、平成18年79歳で亡くなりました。彼女は恵まれた環境の中で育ち、豊かに志を高くもって生きてきた様子が窺われました。
二年前に友人から詩集『倚りかからず』をいただきました。それまで茨木のり子さんの詩集を知らなかった私は、志の高い詩を読み、彼女のファンになりました。
「倚りかかるとすれば/それは/椅子の背もたれだけ」
『倚りかからず』は彼女が73歳のときの詩です。
詩集『見えない配達夫』(32歳)の『わたしが一番きれいだったとき』は大好きな詩です。今回はそのなかの『怒るとき許すとき』の詩を読み、胸が躍りました。
「女がひとり/頬杖をついて/慣れない煙草をぷかぷかふかし」
また詩集『寸志』(56歳)の『落ちこぼれ』を読み、胸が熱くなりました。
「落ちこぼれ/結果ではなく/落ちこぼれ/華々しい意志であれ」
茨木のり子さんの没後発表された夫への想いを綴った詩集『歳月』を読み、胸が火照りました。
茨木のり子さんの日本語は美しい。木の芽が芽吹くように、木の実が実るように言葉が生きています。次回は彼女のエッセイを読んでみたい。
隠された「震える弱いアンテナ」の在り処
2012/01/31 16:20
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildflower - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のタイトルは著者51歳(昭和52年)花神社から発行された表題作『自分の感受性くらい』の一節。茨木のり子といったらこれ、というほどに強く雄々しい印象を放つ、今更言うまでもなく有名な詩である。「永遠の詩」と題された小学館発行のシリーズ2巻。図版の多い年表、各詩への鑑賞解説、巻末エッセイからなる、親しみやすい体裁の入門編である。遺作『歳月』収載の作品や未収録の数編を含め、年表に沿うように配列された36編の詩は読みやすくゆったり配され、鑑賞は各作品に添えて控えめに記される。選と鑑賞解説は詩人の高橋順子。さりげなく茨木作品と寄り添い、対話するような立ち位置が心地よい。
茨木のり子の生涯を追想するように読み進めてゆくと、いくつかの有名な詩作品だけ読んでいたのでは見えてこなかったそれぞれの背景が流れとして伝わる。評者が最初にこの作品を習った青春期には前・中期の作品にハッキリと表れる強さと厳しさこそが彼女の作品の魅力だと思い込んでしまい、憧れと畏怖の対象としてきた。聡明に現実の生活と対峙してきた彼女のほんとうの魅力は、むしろ作品の隙間から滲むような柔らかくて繊細なところなのでは?というのは後年(つまり今)本書を読みながら気づいたことである。
表題作は実は最愛の夫君の死2年後、喪失の痛みもまだ完全には癒えていない頃であったのでは?浅はかな読者の想像かもしれないが、この詩が語気強く叱り飛ばすようで実は気丈さを保たんとする想いのようにも感じられてくる。何十年の時を経て作者と対話するように頁を繰ると、何気なく見過ごしてきた作品にも新しい気づきがあった。少しさかのぼって親友の女優にあてた詩「汲む―Y・Yに―」(昭和40年『鎮魂歌』所収)。これは父を亡くした2年後の作品であるが、その中に描かれた彼女自身が顧みる感受性の揺らぎや震えの繊細さはどうだろう…。
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい(「汲む―Y・Yに―」)
まるで晩年に発表された唯一の童話『貝の子プチキュー』(巻末に天野祐吉氏解説)の身の柔らかな部分のよう…その柔らかな感受性を守るための矜持が強い言葉となって表出していたのだろうか、柔らかな内面は本当に心を許した者以外にはそっと隠しておきたかったのでは??などと連想は膨らむのである。
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……(同上)
強くあり、なおかつ柔らかく傷つきやすく、たおやかなひとりの女性として強い芳香を放つ薔薇のような詩人・茨木のり子の魅力をコンパクトながら丁寧に伝えてくれる本書は、そんなふうに有名でわかっていたつもりの詩人の再読にも良い。茨木のり子作品をもっとたっぷり堪能したい方には『全詩集』(花神社)もある。導入として簡単に作品を俯瞰して伝えてくれるのに「お勉強」的でないのがまた有難い。読み物として豊かで楽しい1冊。
改めて明日を考えさせられた
2012/08/17 21:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちまこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
50を過ぎ娘も嫁ぎ、夫婦二人とヨークシャテリアの3人暮らし。27年前の新婚生活に戻っただけで特に寂しさを感じることはない。自律神経失調症でうつにもなり、更年期も重なり、少しずつ老いを感じる毎日。更年期も老いも誰にも訪れることだから、自然に受け入れられる。しかし50を過ぎたら加速度がついてきた。自分の感受性くらいとよりかからずが心にズシリときた。心の病になったのは、自分の感受性を守れないからだ。自立できないからだ。わかっていても時間が必要だ。この先よりかかるとすれば、椅子の背もたれだけの一行に感銘し、少しだけ立派な椅子を用意した私。ここで好きな本だけ読んでいたい。
やさしく強く背中を押してくれる
2020/05/13 13:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:komo - この投稿者のレビュー一覧を見る
逆境や、自分の身に起きている不運を、なにくそと力に変えようとするような強い意志を感じさせる詩の数々に、背中を押されたような気がしました。
しつけの厳しい家庭に育った私は、子ども心に、どうして皆がさせてもらえて自分はできないのだろう。どうして皆のように遊べないのだろう。悔しい。悔しい。どうにもできない不自由に悶々とする毎日を過ごしました。もう、しつけを受けるような年齢でもなくなった今でも、消化しきれない当時の感情はいまだに残っています。
茨木さんの境遇は戦時下というものもあり、私の不自由と比べては叱られるかもしれませんが、それでも彼女のことばにふれたとき、私は強く励まされました。不運な不自由と、それを自身の力に変えてしまう逞しい意志。振り返ってばかりでじめじめするんじゃなくて、顔を上げて、前に進もう。そんな気持ちになれる詩集です。
余白が美しい
2016/12/31 12:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の大きさと文字の大きさがちょうどいいです。文字の詰まり加減が詩の孤独で力強い雰囲気と合った、美しい本です。
愛情ある叱責
2016/10/09 10:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読書好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
面と向かってばかものと叱ってくれる人がいる方、いない方、流される日常の中で姿勢を正す必要のあるとき、ないとき、どんな方にも触れてもらいたい言葉の数々です。
観賞つき
2019/01/15 01:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
観賞つきなので、詩の説明が必要という方にはいいと思います。詩そのものを楽しみたい方にも良いかな、厳しい世の中ですが。