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投稿者:カプチーノ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙、そして1ページ見て購入を決意。
刑務所にいた少年たちの詩集。そこには、詩人とは違う心の声、本音があった。
特別な技法や工夫抜きの魂の声。直球に投げかけてくる言葉、想い。読んでいくうちに、どんな思いでいるのか、後悔の気持ちや寂しさ、憧れが伝わってくる。そして心に沁みわたりました。本当に刑務所内で、罪を犯した少年たちが書いたものなのかと思いました。こんなにも素敵な、そして想いを伝えることができる彼らは、内面は繊細であるのだろう。彼らが復帰できる場所があることを願う。
紙の本
たとえ加害者でも、暖かい心がある。
2021/08/16 23:23
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投稿者:みつる - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙と、タイトルに惹かれて読みました。
少年刑務所に居る人達と聞くと、
辛いものが多いのでは、身構えてしまいましたが、
どの詩集も、暖かさが見え隠れしていました。
この刑務所の入所時の年齢は17歳以上26歳未満だそうですが、
とても、無垢で真っ白な心を持っている子供が書いたのではないかと思うほどの内容ばかりでした。
何故、刑務所に居るのか、とすら思うほどですが、
様々な家庭環境で育ち、見放され、辛い思いをしながら育っているので、望んで加害者になったわけでは無いことが書かれています。
例えば、童謡の「ぞうさん」を皆で歌おうとした時、頑なに拒む子に
「知らないっ」と、投げつけるような一言が帰ってきた。
「え。幼稚園とか小学校で歌わなかった?」
「幼稚園も、小学校も行ってない」
言葉を失った。(本文195頁)
この文を読んだだけでも、こちらも言葉を失いました。
しかし、この子達の中には、とても素直で綺麗な心を持っていることが、この詩集からわかりました。
刑務所に入っている、入っていたからといって、
怖い子、恐ろしいことを起こすのではないか、という
偏見の目を無くさなくては、この世の中は変わらないな。と思いました。
どれも、キラキラと輝きを放っている詩ばかりです。
世の中の著名な詩人達に負けないくらい、素晴らしい作品集でした。
紙の本
泣けました
2021/07/23 08:06
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年刑務所に入っている人の中でも特にコミュニケーション能力に問題を抱えている人たちを対象として詩の授業をしている著者が、受講者の作品を取り上げつつ受刑者の内面や日常を綴った本。お母さんをテーマにした詩が特に泣けました。
著者の受刑者や刑務所職員達への評価は非常に好意的でしたが、仕事柄そういう人たちと接することがある私からすると、ちょっと一面的すぎるかなという感じがしました。
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どんな凶悪な犯罪者もはじめは心に傷1つない赤ちゃんだったはずです。子どもらしさを素直に出させ、それでも大丈夫だと安心させてやることができれば、立ち直るきっかけになる。刑務所の教官の方々の熱心さに加え、この社会性涵養プログラムが役にたっているのだろう。芸術の力はすごい。詩の言葉が人と人を結び影響をし合うのだろう。背景の説明が長すぎたかな。もう少し詩そのものを味わいたかった。
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子どもたちのストレートな言葉に、ただ、ただ、考えさせられ、涙する。
「生きることは、活きること」
サラリと触れているだけだが、奈良少年刑務所の子どもを囲む大人達が子どもたちに向ける愛の熱量にも、頭が下がる。
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前半分は、少年の詩
後半は、「社会性涵養プログラム」をやってる作者の手記
口にだせないほんとの言葉が詰まってる
胸に迫ってくる
大人でも子供でも
心の自由を取り戻したくて、しんどい思いをしている人はたくさんいると思う
感情を伝える言葉を知らなかったり
ありのままを受け入れてくれる場がなかったり
刑務所の高い壁は、受刑者の心を世間の誘惑から守ってるようにも見えるって、作者が書いてた
引きこもったり、何でもかんでも拒絶したり、ニートしたり路上生活して、必死で自分でそういう壁作って、自分自身を守ろうとしてる人もいるだろなーとぼんやり考えた
言葉の力を信じたい
上っ面じゃなくて、ほんとの言葉の力
そういう思いをつよくした一冊
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編者が参加した、奈良少年刑務所の更生教育「社会性涵養プログラム」でつくられた作品を主にまとめた、受刑者たちの57編の詩と、それに伴う編者の活動記録の一部からなる本書。
この少年刑務所の試みは、過日読んだ『ライファーズ』で行われていることと全く同じだ。
心に溜まった思いをはき出し、そのすべてを同じ境遇の他の受刑者たちや、彼らの更生に心を砕く刑務官や職員たちに受け止めてもらい、自分を再確認する、その場所を提供するという試みである。
実は彼らの更生には、教え指導するようないわゆる「教育」は必要ない。
ありのままの自分を、そっくりそのまま受け入れてくれる、あたたかくて安心できる場と寄り添ってくれる人が必要なだけなのだ。場が与えられ、寄り添う人がいるだけで、信じられないほど劇的に、受刑者たちの中で何かが変わっていく。
『ライファーズ』でもこの奈良少年刑務所でも、全く同じなのだ。
著者の「受刑者たちは、加害者であると同時に、この社会の被害者なのかもしれない」という思いは、私の思いそのままだ。
犯罪は憎むべきもの、加害者はその責を負うべきもの、しかし同時に社会が犯罪者を作り出しているのも事実。
刑務所に収監されている人の半分以上が再犯者なのだそうだ。刑務所が罰のためでなく更生施設として機能されれば、犯罪が半分になるとは言えないか。受刑者の更生が、社会の安全を生むと考えられはしないか。
紹介された57編の詩は、まっすぐで純粋で、それはまた彼らの悲痛な叫びにも聞こえ、決して上手ではないかもしれないけれど、作り事でない本当の心の声が聞こえる気がする。
そして何より、彼らの詩作の現場をつづった、編者による後編「詩の力 場の力」「文庫版あとがき」が胸を打つ。言葉の持つ力、物語の持つ力をまざまざと見せつけられる。
少年法の厳罰化を訴える人に、ぜひこの本を読んでほしい。彼らのプログラムの成果を知ってほしい。
「人は変われる」この言葉が信じられる本です。
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いつか、教文館ナルニア国HPで寮さんの講演会のお知らせを見て、誰だろう、へぇ、とそのまま。
2020年、新潮文庫の100冊で目にして、心のはしっこを掴まれて購入。
奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」でうまれた詩。
【奈良少年刑務所】
・入所者は700名あまり、入所時の年齢は17歳以上26歳未満の若い世代。
・「明治五大監獄」のそのまま残存している唯一の煉瓦造りの建物。
【社会性涵養プログラム】
・対象は、刑務所のなかでもみんなと歩調を合わせるのがむずかしく、いじめの対象にもなりかねない、極端に内気だったり、動作がゆっくりだったり、虐待された記憶があって心を閉ざしがちな人々。
・プログラムは、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)、絵画、童話と詩。
それぞれ月一回、一時間半の授業があり、月三回の授業を六ヶ月、合計十八回行うという。
・受講生は十人前後。
とにかく読んでみてください。
触れてみてください。
そう言える、夏のフェアに入っている意義のある本です。
本のなかで、この刑務所に入っている人が、一度も耕されたことのない荒れ地、というように繰り返し表現されています。
以前、『刑務所しか居場所のない人たち』という本のなかで、刑務所が福祉施設化していると知ったけれど、少年刑務所にも福祉のネットワークから零れてしまった人がいるといいます。
心身が傷ついて子どもらしい子どもとして育つことができず、ひとりだった。
お母さんを題材にした詩がいくつも載っていて、受刑者の立場を想像して、たぶんかなしくなります。
みんなの詩や寮さんの解説をよんでいると、教育と環境が大切で、たしかに、だれもが被害者であり加害者でもあると感じます。
みんなはじめはあかちゃんで、自分を認めてほしいし、自分自身が自分を認めて信じたい。
それが「童話と詩」の授業で実現するそうです。
社会は、ひとりひとりでできています。
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短文感想(読書メーターさん)
『めったに見せない心のうち』を詩に託して仲間に発表することで、『百万語を費やすよりも強い言葉として、相手の胸に届いていく。届いたという実感を、彼らは合評のなかで感じとっていく』(177頁)。受刑者たち(ほとんどが二十代前半青年)と一緒に授業を受けたいと思った。十代の私は、以前この本の単行本を読んで彼らの清い心に感動した。なぜこれほどに美しい詩を書けるのかと。苦しい思いをしてきた彼らが、「最後のセーフティーネット」でやっと温かい周りの人によって「耕される」から。ゆっくり向き合うことの大切さ。詩より、場の力。
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こないだぶんぶん文庫で単行本を借りて、帰りの地下鉄でちょっと読み、そのあと本屋に寄ったら文庫があったので、在庫のあった『ハリール・ジブラーンの詩』とあわせて買う。
ハリール・ジブラーンの詩に神谷美恵子が解説をつけて編んだように、この詩集は、奈良の少年刑務所で服役する受刑者たちが社会性涵養プログラムのなかで書いた詩に、寮美千子が解説をつけて編んだもの。
読んでいて、この表紙の青い色のせいもあるのか、『ぼくは12歳』を思い出した。
ひとり ただくずされるのを まつだけ
岡真史の書いたその一節がこころにうかんだ。
表題作 空が青いから白をえらんだのです のタイトルは「くも」。この詩を書いたAくんのおかあさんは「つらいことがあったら、空を見て。そこにわたしがいるから」と最期に言って亡くなったのだという。
▼ふだんは語る機会のないことや、めったに見せない心のうちを言葉にし、文字として綴り、それを声に出して、みんなの前で朗読する。…そして、仲間が朗読する詩を聞くとき、受講生たちは、みな耳を澄まし、心を澄ます。ふだんのおしゃべりとは違う次元の心持ちで、その詩に相対するのだ。…その「詩の言葉」が、人と人を深い次元で結び、互いに響きあい、影響しあう。(p.177)
詩の力とともに、互いに聞きあい、語りあう場の力の大きさがあったことを、編者の寮美千子が書いている。「自分で書いた詩を自分で朗読し、仲間から拍手をもらい、感想を聞いて、受けとめてもらえた実感を持つこと。」そこから自分を大切にする意識がそだっていく。このプログラムの教室が「お互いを尊重しあう学びの場である」ことを毎回確認しあう。
・相手が発言しているときは、きちんと聞く
・意見を求められたらできるだけ答える。答えられないときは「わかりません」という
・みんなのための時間なので、一人で長く話さない
これは「教育で守ること」として刑務所の教官が作成し、毎回声に出して読むのだという。
刑務所内の教育の場で大切にされていることは、「日の丸」「君が代」を強制しようとすることに躍起となっている"教育の場"と、ずいぶん違うものだと思う。
「自分の心に気づくこと、吐きだすこと。それは凝り固まっていた心を解放する第一歩にもなるのだ」(p.191)と寮はいう。先生が心も身体をもこわばらせる場になってしまっている学校で、子どもは自分の心に気づき、それを解放して表すことができるだろうかと思う。
受刑者たちが「一度も耕されたことのない荒地だった」というならば、いま東京都がギリギリと縛りあげ、大阪府がそれに追随しようとしている"教育の場"は、よくほぐされ温かかった土が、耕作を放棄され、荒れていく環境のように思える。
▼すぐそばにいる友の心の声に、耳を澄ます時間を持つ。語りあう時間を持つ。それができたら、子どもたちの世界は、どんなに豊かなものになるだろう。(p.178)
すぐそばにいる同僚の声に耳を澄ますこともなく、対話は拒まれる。そんな職場はど���なにかきつい。そんなことになった職場や教育の場の実例が目に見えるだけに、この奈良少年刑務所で心をつくし時間をかけて開かれている場がありがたいものに思える。ほんとうは、あたりまえにあってほしい場だと強く思う。
(2/13了)
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もちろん被害者のことは第一に考えられなければならないが、それでも、犯罪を生むのは社会であり、この少年たちも、被害者でもあるのだ、ということを強く感じる1冊。
少年たちの詩だけでなく、詩人でもある著者の解説が、胸をうつ。
この本はもっとたくさんの人に読まれていいと思う。
発刊の1年後には文庫化されて、反響があったはずなのに、この本を見つけるのに何軒も書店をまわった。残念なことです。
この少年たちの再犯が防げれば、世の中の犯罪はぐっと少なくなるという。わたしたちは、この少年たちを受け入れる社会がつくれるだろうか。
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この詩集の作者は奈良少年刑務所の受刑者(少年)達です。少年刑務所の更生教育「社会性涵養(かんよう)プログラム」に編者の寮美千子が関わり、詩を書くことで不幸な犯罪者となってしまった少年達の心の扉を少しずつ開きます。タイトルの「空が青いから……」は一行詩で題名が「くも」です。「つらいことがあったら,空を見て。そこにわたしがいるから」は作者である少年の母親が病院で亡くなった時の最期の言葉だったと綴られています。この一編だけをとっても、少年達を取り巻く家庭や学校や社会の環境を深く考えさせられます。少年達の更生を祈らずにはいられない心に沁みる詩集です。
(H.T.)
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再読。
本棚に登録していなかったことにむしろ驚きました。あれれ?
奈良少年刑務所で社会性涵養プログラムに参加した「少年」たちの詩と、そのクラスを担当された寮美千子さんの言葉が綴られています。
「思いを汲んで、寄り添い支え、手塩にかける」ことで何が起こってくるのか、その一端に触れることができます。
犯罪を犯してしまった「少年」がどんな環境で生活してきて、どんな想いでいたか、この本を通して多くの方々に知っていただけたら、彼らの更正の道もまた、開けていけるのではないかと思います。
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少年矯正施設のあり方がよくわかる、社会に向けた啓発書。加害者たる彼らは社会からの被害者かもしれない。腫物に触るような接し方がさらに心を閉じさせる。再犯が多い事実をもっと考えなければいけない。2021.12.11
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【本の内容】
受刑者たちが、そっと心の奥にしまっていた葛藤、悔恨、優しさ…。
童話作家に導かれ、彼らの閉ざされた思いが「言葉」となって溢れ出た時、奇跡のような詩が生まれた。
美しい煉瓦建築の奈良少年刑務所の中で、受刑者が魔法にかかったように変わって行く。
彼らは、一度も耕されたことのない荒地だった―「刑務所の教室」で受刑者に寄り添い続ける作家が選んだ、感動の57編。
[ 目次 ]
くも
金色
銀色
すきな色
黒
ぼくのすきな色
夏の防波堤
ゆめ
夢と希望と挫折
朝だ仕事だ〔ほか〕
[ POP ]
直近の文庫版追記に驚く。
3月11日、この詩集の生誕地も横揺れに見舞われた。
及ぶんだ……、奈良まで。
赤レンガの東京駅を思わせる日本の名建築の一つ、奈良少年刑務所(写真も収録)。
童話作家の編者はここで情操教育に携わる。
絵本や詩を読むことから始め、詩作へと進み、朗読と合評を行う。
「たったそれだけのことで」最初は「土の塊」のようだった無表情な彼らが「みるみる変わっていく」と言う。
若芽の言葉が並ぶ。
「ぼくのゆめは…………」と書いて終わる“六言”絶句(「ゆめ」)や、「朝だ 仕事だ 体操だ(中略)いつの日か 働く喜びわいてきて/最後は みんなで大儲け」というネアカな労働歌、「ぼくは風船人間(中略)憂鬱 倦怠 厭世観るさんちまん といった/有害物質を数多く含んだものです」と歌う哲学者もいる。母恋い歌などはほとんど反則。「サンタさん/ぼくは 余った子どもなんだ/どこかに さみしいママがいたら/ぼくがプレゼントになるから 連れていってよ」。
受講者の収容分類はY級(26歳未満の成人)でA級(初犯など)、略してYA。
表現という水路を発見した彼らの詩はひねこびた大人にも届くヤングアダルト小説の味わいだ。
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