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鶴見俊輔コレクション 1 思想をつむぐ人たち (河出文庫)
みずみずしい小伝のなかから、人物を通じて鶴見俊輔の哲学の根本に触れる作品を精選したコレクション。1は、オーウェル、花田清輝、ミヤコ蝶々、武谷三男らの思想と肖像を描いた小伝...
鶴見俊輔コレクション 1 思想をつむぐ人たち (河出文庫)
思想をつむぐ人たち
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商品説明
みずみずしい小伝のなかから、人物を通じて鶴見俊輔の哲学の根本に触れる作品を精選したコレクション。1は、オーウェル、花田清輝、ミヤコ蝶々、武谷三男らの思想と肖像を描いた小伝を収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
イシが伝えてくれたこと | 11−34 | |
---|---|---|
イシャウッド | 35−48 | |
鯨の腹のなかのオーウェル | 49−67 |
著者紹介
鶴見 俊輔
- 略歴
- 1922年生まれ。哲学者。 雑誌「思想の科学」発行の中核を担い、ベ平連など社会運動にも携わる。評論も多く、その対象は社会問題から小説、大衆芸術までと幅広い。『鶴見俊輔集』『鶴見俊輔書評集成』など。
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紙の本
共鳴によって繋がっていく思想
2016/09/29 18:15
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:親譲りの無鉄砲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
黒川創編による鶴見俊輔コレクション1。表面的には、鶴見による人物評伝を集めたもの、という感じ。ただし、巻末の坪内祐三の解説にもあるように、金子ふみ子から末尾のホワイトヘッドへの連環の妙は、黒川に帰される作品性がみられる。ただのアンソロジーと侮ってはいけない。一冊の本として通して読むことによって、個別のエッセイをそれぞれ読むのとは明らかに異なる、鶴見の思想を立体的に把握できるような読後感を持つことになる。そこに編集の意義があるといえる。
鶴見の長編の評伝には、本書には収まりきらないような「高野長英」といった長編作品もあるが、個人的には、短めのものの方が鶴見の良さが出ている、と感じる。何よりも、圧巻は、「金子ふみ子―無籍者として生きる」である。朴烈大逆事件で不当検挙され獄中縊死した金子ふみ子には、「何が私をこうさせたか」という自伝がある。(鈴木重吉監督の映画の原作でプロレタリア作家・藤森成吉著「何が彼女をそうさせたか」はこれにインスパイアされたものと思われる。)これは、獄中で書かれた。この(自伝に書かれた)彼女の苛烈な前半生が、彼女の精神を強靭にし、そして抵抗者としての人生を選択させた。そこには鶴見が信頼するクロポトキンの思想と共鳴した彼女の哲学がある。鶴見はその点に共鳴(彼の言葉で言えば同情)した。
普通の人はあまり思いつかないのだが、「亡命」という言葉から、新島襄の生涯を考える。それと似たパターンで、エイケンの「ウシャント」を読み、石原吉郎のシベリア抑留体験に思いを致す。石原は語っている。「苦痛そのものより、苦痛の記憶を取りもどして行く過程の方が、はるかに重く苦しい・・・」だから、似たパターンを繰り返しつつ、同じ場所に戻ってくることはない。記憶の暴力性は鶴見自身も体験した事である。そこで、難破が次の難破に繋がる人生として、鶴見はさらに田中正造を思い出す。その中で、自らの精神の中に、繰り返し抵抗するものを見出す。ただし、鶴見は安易にカルマというような言葉を使わない。個人のなかでの繰り返しだけでなく、人から人への共鳴によって、歴史的に、空間的につながっていく部分があるからだ。ただ、金子ふみ子とホワイトヘッドを結び付けられるのは鶴見ぐらいのものだろう。そう思ってこの本を読むと、バラバラの人物評伝が、鶴見を媒介として、大きな思想の流れの中で生き生きと立ち上がってくるのを感じる。鶴見の視座を通して、一般の人は哲学者とはみなさないであろう金子ふみ子、加藤芳郎、南伸坊や、知名度のあまり高くないであろう、仁木靖武、ヤング夫人、能登恵美子らの生き様を、かけがえのない哲学そのものとしてみる。鶴見は、彼らの生き様の系譜を、読者が受け継ぐことを期待しているのかもしれない。(内村鑑三がいうように、人の生き様こそ後世への最大遺物なのである。)ここに、自身が共感した有名無名の人々の評伝を鶴見が書き続けた真の意味があるのであろう。
蛇足だが、鶴見がゲーリー・スナイダーとの仁義上、彼の導きでLSDによる幻覚体験をしたことがあることを、本書を読んで初めて知った。ただし、鶴見は、クエイカーとは別流の霊震の経験を既にしていたはずである。だからかもしれない。かような神秘的体験を絶対視しないで相対化できる心の余裕度を感じる。葬式仏教から得るものは少ないだろうが、ティク・ナット・ハンの唱える上座部仏教や、ゲーリー・スナイダーの仏教に向き合う姿勢に対する共鳴は十分あるものとみた。
紙の本
普通の人々の生き方から哲学を考えてみるという姿勢から、先人の生き方を見つめる一冊です!
2020/05/28 11:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、哲学者として、また大衆文化研究者として数々の著作を残しておられる鶴見俊輔氏の珠玉の作品集です。河出文庫からは、鶴見俊輔コレクションとして全4巻シリーズが刊行されていおり、同書はその第1巻目です。同書では、著者は「専門哲学の外にいる哲学者が人類の中にいると考え、むしろそこから、その哲学を考えてみたい」と言い、先人の生き方を知ることで、ものの見方を日々更新し続けてきた著者が、オーウェル氏、花田清輝氏、ミヤコ蝶々氏、武谷三男氏らの思想と肖像を追っていきます。「イシが伝えてくれたこと」、「イシャウッド―小さな政治に光をあてたひと」、「戦後の新たな思想家たち」、「戸坂潤―獄死した哲学者」、「伸六と父」、「義円の母」、「ヤングさんのこと」、「大臣の民主主義と由比忠之進」といったテーマで話が進んでいきます。とっても興味深い内容です。
紙の本
鶴見俊輔の守備範囲の広さがうかがえる
2018/03/12 23:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の中では、様々な人が取り上げられている。芸人や漫画家から哲学者やアナーキストまで、多岐にわたっている。鶴見俊輔の守備範囲の広さがうかがえる。