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ぼくは眠れない (新潮新書)
著者 椎名 誠 (著)
ガバッと起きると午前二時、それが不眠生活の幕開けだった。毎夜同じ時刻に目が覚めて、眠れないまま朝になる。七十歳にして探険旅行に挑み、ビールだけは欠かさぬ豪快さの持ち主には...
ぼくは眠れない (新潮新書)
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商品説明
ガバッと起きると午前二時、それが不眠生活の幕開けだった。毎夜同じ時刻に目が覚めて、眠れないまま朝になる。七十歳にして探険旅行に挑み、ビールだけは欠かさぬ豪快さの持ち主には三十五年にわたる孤独な「タタカイ」があった。発端となった独立騒動、はかられた精神科受診、手放せない睡眠薬、ストーカー事件のトラウマ、眠気をさそう試行錯誤等を初めて告白。果たして「やわらかな眠り」は取り戻せるのか。【「BOOK」データベースの商品解説】
ガバッと起きると午前2時、それが不眠生活の幕開けだった−。発端となった独立騒動、はかられた精神科受診、ストーカー事件のトラウマ等を初めて告白する。『新潮45』連載「不眠を抱いて」を改題の上書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
椎名 誠
- 略歴
- 〈椎名誠〉1944年東京都生まれ。作家、写真家。私小説、SF小説、随筆、紀行文、写真集など幅広く作品を手がける。「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。
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良くも悪しくも相変わらず…
2015/09/27 23:45
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投稿者:arima0831 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの椎名誠が、実は35年の長きにわたって不眠症で苦しんでいた、という事実は結構衝撃的だ。まあ、世の中一見元気に見える人が実は・・・という話はよくあるけれど「元気が売り物」みたいなこの人の話なので、少々驚く。
そして「果たして「やわらかな眠り」は取り戻せるのか」という、大変魅力的なフレーズ。
闘病記なのか?
目次をざっくり見たら、どうも治ったような話だ。
これが売れているらしい。
そうでしょうともなあ。
世間に眠りの問題で悩む人は多い。
で、一読して思う。この人は相変わらずだ。良くも悪しくも。
椎名誠の面白さは、自分の身の周り四畳半分くらいに起きる雑多なことを、ふざけた口調の中で意外と緊密に激しく描く筆致にあるのだと思う。30年以上前に読んだ時は衝撃的だった。当時文学といえば、眦を吊り上げ眉間に皺を寄せ、そこに浮かぶ陰影を世に問うようなところがあって、どうにも無駄に重苦しかった。やれやれ、もうウンザリ、と思っていた十代のワタシにとって彼の語り口は実に斬新で、数年間はかなり夢中になって新刊を追いかけたことがある。
自分の眉間のタテジワ周辺話を、ここまで面白おかしくかつ真剣に描写した作家は他にいなかろう。
ワタシにとっては「あのころ新鮮だった作家」といえば村上春樹と椎名誠だったなあ、などと、この度しみじみ思いをはせて非常に懐かしかった。
その後、かたやノーベル賞候補に、かたや粗製濫造作家になっていったわけだが。そしてワタシの中では等しく「どうでもいい作家」になっていったのでもある。ちなみに「粗製乱造」は本書内での御本人自称。自覚しているのは立派だ。
まあ、自分の眉間のタテジワ周辺を延々書き飛ばし続けて、本書執筆当時で235作(文庫を除く)も書いているそうだから立派な芸だ。素晴らしいと言える。
で、その堂々たる「粗製乱造ライン」に乗った新しい切り口がこの本らしい。
それ以上でもそれ以下でもない。良くも悪しくも。
導入の「いかに不眠症になったか」は、ホウホウそうですか、と面白く読めるのだが、後に行くほど話はグダグダしていって、本当にグダグダなまま最後まで走ってしまうのだ。それがこの人の持ち味だ、とは言いながら、まさか本当にそれだけで終わるとはね、と呆気にとられる思い。
まずこの人の書くものに知見や見識を求めない、という強固なスタンスは変えずに読む姿勢が必要だ。終始自分の不眠とその周辺に何が起きたかを思うがままに書き飛ばしただけの話だから、真剣な取材も深い考察も何もない。だから間違っても、不眠症に対する一般的な解は求められない。当然の話だ。
正直に言うと、ワタシはその辺の心構えが甘かったので、読了後かなりのトホホ感を味わうことになった。同時に一抹の「お変わりありませんなあ」という不思議な嬉しさも沸いたのだが。
というわけで、もし不眠症にお悩みの向きが真剣な問いを胸に読もう、というのであれば答えは「ヤメトケ」の一言。
とにかく軽い。そして、軽さの奥にふと垣間見える深み、みたいなもんはナイ。
そこでムッと来るくらいなら、椎名誠など読まなければよろしい。
たぶん何十年ぶりかで彼の本を読んで、なにがしか考えるきっかけになったのだから、まイイカ、て感じだ。その辺の懐かしさを生暖かく加味して★3です。