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紙の本
遠山金四郎の時代 (講談社学術文庫)
著者 藤田 覚 (著)
天保の改革で風紀粛清を目指した老中・水野忠邦に、庶民感覚に即し抵抗した北町奉行・遠山金四郎。その実像を現存史料で綿密に検証し、名奉行の論理を明らかにする。【「TRC MA...
遠山金四郎の時代 (講談社学術文庫)
遠山金四郎の時代
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商品説明
天保の改革で風紀粛清を目指した老中・水野忠邦に、庶民感覚に即し抵抗した北町奉行・遠山金四郎。その実像を現存史料で綿密に検証し、名奉行の論理を明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
天保の改革で幕府最後の改革に挑んだ老中・水野忠邦。歌舞伎三座の移転から庶民の娯楽・寄席の撤廃まで風俗取締で断行しようとしたが、町人の実情を理解し、抵抗したのが町奉行・遠山金四郎だった。仮設店舗や屋台店など「床見世」の撤去や、江戸に流入した人口を農村へ強制的に返そうとした「人返しの法」に、江戸の内情を考慮して反対したのも遠山だった。名奉行の見識と行政手腕を、江戸町奉行所の史料から実証した名著。
片肌を脱ぎ、桜吹雪の見事な彫り物を見せながら、悪党たちをやり込めて「これにて一件落着」と裁きをつける名奉行。テレビの時代劇や歌舞伎、講談でお馴染みの天保期(1830~44)の町奉行、遠山の金さんこと、遠山金四郎は、大岡忠相と並んで江戸時代の名奉行として知られる。大岡忠相には「大岡政談」という江戸末期に完成したタネ本があり、そこに描かれた大岡像は虚像というのが研究者の常識だが、遠山の金さんにはタネ本さえない。はたして歌舞伎や時代劇の遠山像はまったく根拠がないものか。本書はその実像を現存する史料から丹念に明らかにする。
遠山金四郎が江戸町奉行を務めた時代には、幕府財政が窮乏するさなか風紀粛清と奢侈禁止を旨とする天保の改革が断行され、江戸庶民にも深刻な影響をあたえた。この改革を主導したのが老中の水野忠邦で、風俗取り締まりのためには庶民の娯楽である落語、手品、物まねなどを興行する寄席の撤廃や、中村座、市村座、森田座など歌舞伎三座の移転まで強行しようとした。庶民の実情を無視した時の権力者の改革案に対して、町人の成り立ちを重視し、庶民の暮らしの実情を調査して、厳しい改革に抵抗を示したのが町奉行、遠山金四郎だった。それは仮設の店舗や屋台など「床見世」の撤去案や農村への「人返しの法」など江戸の実情を無視した改革に対しても示された。本書は世の実情を考慮しない改革に対し、庶民の立場を重視した現場責任者としての江戸町奉行・遠山金四郎の闘いを検証した名著である。
原本:『遠山金四郎の時代』校倉書房 1992年刊【商品解説】
天保の改革で風紀粛清を目指した老中・水野忠邦に、庶民感覚に即し抵抗した町奉行・遠山金四郎。その実像を現存史料で綿密に検証する【本の内容】
目次
- まえがき
- 第一章 遠山の金さん像の虚実
- 1 逸話の作る遠山の金さん
- 2 遠山の金さんの系譜と履歴書
- 3 将軍お墨付きの名奉行遠山景元
- 第二章 繁栄の江戸か寂れた江戸か
- 1 改革と江戸市中
- 2 遠山の金さんと水野忠邦の対立――「俗論」と「正論」
- 第三章 寄席の撤廃をめぐって
- 1 寄席の景況
著者紹介
藤田 覚
- 略歴
- 1946年、長野県生まれ。東北大学大学院博士課程修了。東京大学文学部教授を経て現在、東京大学名誉教授。専攻は日本近世史。主な著書に『天保の改革』(吉川弘文館)、『松平定信』(中公新書)、『幕末の天皇』(講談社選書メチエ、後に講談社学術文庫)、『江戸時代の天皇』(講談社刊「天皇の歴史」第6巻)などがある。
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天保時代の名奉行「遠山の金さん」の手腕ぶりを描いた名著です!
2020/03/08 13:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の天保の時代に、町人たちの実情をよく理解し、幕府の規制に抵抗した「遠山の金さん」こと、遠山金四郎について書かれた貴重な一冊です。彼は、テレビの時代物などで、片腕を脱いで、桜吹雪の刺青を見せながら、悪事をこらす悪党どもをやりこめて、「これにて一件落着」という名セリフで有名になりましたが、実際にも名町奉行として手腕を発揮した人物です。同書は、天保の改革に挑んだ老中の水野忠邦が、歌舞伎三座の移転から庶民の娯楽や寄席の撤廃まで風俗取締で断行しようとしたのに対して、断固として抵抗した遠山金四郎の見識と行政手腕を余すところなく教示してくれる名著です。ぜひ、この機会にテレビでお馴染みの「遠山の金さん」の思考を考えてみる機会をもたれては如何でしょうか。
紙の本
遠山金四郎の時代
2017/01/17 22:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雨読 - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビの時代劇で有名な北町奉行、遠山の金さんこと、遠山金四郎景元が天保の改革を断行した水野忠邦に対抗した理由。
庶民感覚の熟知は結局江戸の民、幕府にとっても利益に繋がったことから、先見の見通しがあったと言える。また将軍からも慕われ、庶民からも信頼されてる、政治、行政を行ったことは現代から見ても学ぶところが多々あると感じました。