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紙の本
あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)
著者 彩瀬 まる (著)
ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が呪縛のように付...
あのひとは蜘蛛を潰せない (新潮文庫)
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商品説明
ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が呪縛のように付き纏う。突然消えたパート男性、鎮痛剤依存の女性客、ネットに縋る義姉、そして梨枝もまた、かわいそうな自分を抱え、それでも日々を生きていく。ひとの弱さもずるさも優しさも、余さず掬う長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
穏やかに暮らしてきた28歳の梨枝が、勤務先のアルバイト大学生・三葉と恋に落ちた。心はすぐに溢れ、一人暮らしの小さな部屋をむしばんでいく−。ひとりぼっちを抱えた人々の揺れ動きを繊細に描きだした長編小説。【「TRC MARC」の商品解説】
ドラッグストア店長の梨枝は、28歳になる今も実家暮し。ある日、バイトの大学生と恋に落ち、ついに家を出た。が、母の「みっともない女になるな」という“正しさ”が呪縛のように付き纏う。突然消えたパート男性、鎮痛剤依存の女性客、ネットに縋る義姉、そして梨枝もまた、かわいそうな自分を抱え、それでも日々を生きていく。ひとの弱さもずるさも優しさも、余さず掬う長編小説。【商品解説】
28歳、実家暮し。母の「ちゃんとしなさい」から抜け出せない――。椎名林檎も絶賛!孤独と誇りを抱えて生きる、現代人の恋愛小説。【本の内容】
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電子書籍
日々の生活の中の繊細な心の移りようが、丁寧に描かれた作品。
2023/07/07 09:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラッグストアの店長の梨枝。28歳独身。実家で母と二人暮らし。
幼い頃から母の顔色を伺いながら過ごして来た気がする。兄が幼なじみと結婚して家を出ていく時も、母は気丈に「梨枝がいるからいい」と気にもとめなかった。
そんな母は全て「私の言うとおりにしていればいい」と過干渉なまでに面倒を見てくれる。家事は全て母の手によっている。
ある日、「蜘蛛一つ潰せない」ベテランパートの柳原さんが無断欠勤。温厚な人柄から想像もできないような噂が店内に広がる。
お詫びに訪れた夫人から、梨枝は思わぬ話を聞かされる。
平凡などこにでもあるような生活の断片の中で、様々な縁に出会い、心を揺さぶられる梨枝。
相手のことを慮って、ついつい自分を我慢してしまう梨枝。
自分のこれまでの人生のありようを、ちょっとだけ変えてみたい。一歩踏み出してもいいのではないか。
柳原さんと入れ替わりで入ってきたアルバイトの大学生・三葉との出会い。兄夫婦の実家暮らしから、これまで当たり前だと思っていた日常から、梨枝は初めて変化を選択した。母の呪縛を解くように。
日々の生活の中の繊細な心の移りようが、丁寧に描かれた作品。
紙の本
日々の生活の中の繊細な心の移りようが、丁寧に描かれた作品。
2023/06/22 10:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドラッグストアの店長の梨枝。28歳独身。実家で母と二人暮らし。
幼い頃から母の顔色を伺いながら過ごして来た気がする。兄が幼なじみと結婚して家を出ていく時も、母は気丈に「梨枝がいるからいい」と気にもとめなかった。
そんな母は全て「私の言うとおりにしていればいい」と過干渉なまでに面倒を見てくれる。家事は全て母の手によっている。
ある日、「蜘蛛一つ潰せない」ベテランパートの柳原さんが無断欠勤。温厚な人柄から想像もできないような噂が店内に広がる。
お詫びに訪れた夫人から、梨枝は思わぬ話を聞かされる。
平凡などこにでもあるような生活の断片の中で、様々な縁に出会い、心を揺さぶられる梨枝。
相手のことを慮って、ついつい自分を我慢してしまう梨枝。
自分のこれまでの人生のありようを、ちょっとだけ変えてみたい。一歩踏み出してもいいのではないか。
柳原さんと入れ替わりで入ってきたアルバイトの大学生・三葉との出会い。兄夫婦の実家暮らしから、これまで当たり前だと思っていた日常から、梨枝は初めて変化を選択した。母の呪縛を解くように。
日々の生活の中の繊細な心の移りようが、丁寧に描かれた作品。
紙の本
幸せな人間なんて、いない。
2017/04/26 19:39
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きよし - この投稿者のレビュー一覧を見る
梨枝は、母親や現実にとらわれて生きている主人公。
中盤までは彼女のつらさや悲しみに焦点が当たっていて、その描写にはたいへん共感できる。
ただし、最後まで読むと「人間はそれぞれ、幸も不幸も合わせもっているんだな」と思えるところが、この小説の最大の強みだと僕はおもう。
僕は彩瀬さんの作品はこれが初めてだが、他の作品も読んでみたい。近い将来、大きな賞をとるかもしれない、とも感じた。
梨枝と、その恋人の三葉の関係性も、少しずつ深まっていく描写がきれいである。
距離が近づくにつれて、恋人には自分のつらさをわかってほしいと思う。反面、相手のつらさを分かち合うのには覚悟が必要だ。
僕は、よく言われる「一緒にいると、喜びは2倍、悲しみは半分になる」というのはなかなか簡単にはいかないものだとおもっている。
自分のことだけわかってもらえればいい、と思うと関係は破綻するし、相手の悲しみやつらさは、覚悟をもって受け止めなければ、こちらも折れて、半分どころか2倍にもそれ以上にもなってしまうだろう。そこをどう乗り切れるかだ。
そういった、甘さも苦さも感じさせてくれる恋愛小説である。
電子書籍
読むとなんだか生きる力がわいてくる
2020/04/14 22:03
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の同僚の蜘蛛をつぶせない中年男性が若い女性と心中をはかった。まさしあの人が。そんなまさかが本書ではたくさん起こる。自分のことさえ完璧に分からないのに他人のことなんて分かるはずないし、その人が見てほしいと思っている表面上に表れている部分しか知らずに相手を理解した気になっているということに改めて気付かされた。
主人公の女性はとにかく自分に自信がない。そんな彼女に年下の大学生の彼氏ができたことで少しずつだが彼女の世界が変化していく。
誰だって誰かに必要とされたいと思っているし、他人に自分が生きている価値を見出そうと苦しんだりする。毎日もがきながらもそんな自分の弱さや、他人の弱さも受け入れて精一杯生きていこうとする人たちの物語に読後なんだか勇気がわいてきた。やっぱり人は色々な人と関わることで成長できるんだとも思った。
紙の本
共感できた
2016/11/08 06:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きよたろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公と自分を重ねながら読みました。わたしが今まで言葉にできなかったぐるぐるもやもやした感情をこの本が言葉にしてくれた。わたしのことをよく分かってくれる友達が一人増えた気分。