最新のがん研究がわかる。
2018/08/20 20:29
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投稿者:ワインアドバイザー - この投稿者のレビュー一覧を見る
副題に「そのメカニズムからゲノム医療まで」とあるが、がんが何故できるのかについて、現在わかっている最新の研究を、がん研究センター研究所の人たちが、一般人にもわかりやくく解説したものが本書である。遺伝子レベルで、がんがどのようにして出来てくるのかろいうことが、ここまで来ているのかということは驚きでもあった。その一方で、がんの転移という最も恐ろしい現象については、白血病ではある程度解明されつつあるようだが、固形がんでは、まだまだこれから解明されていくだろうということを知って、がん研究の難しさを感じたが、固形がんに関しては、今後の研究の進展を期待したい。同じブルーバックスのシリーズで、太田邦史著「エピゲノムと生命」を読むと、本書の理解がいりスムーズになるので、当該ブルーバックスを合わせて読むこともお薦めである。
がん治療の最前線がわかります!
2020/02/09 14:31
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、がん研究に取り組んできた国立がん研究センター研究所のトップ科学者たちによる<がんのメカニズム>から最先端の<ゲノム医療>までを語ってくれる「がん」についての最前線の一冊です。内容も、「第1章 がんとは何か」、「第2章 どうして生じるか」、「第3章 がんがしぶとく活きる術」、「第4章 がんと老化の複雑な関係」、「第5章 再発と転移」、「第6章 がんを見つける、見極める」、「第7章 予防できるのか」、「第8章 ゲノムが拓く新しいがん医療」と、初心者でも分かり易い記述となっていながら、現代医学の最前線の情報を教示してくれる興味深い一冊となっています。
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投稿者:walkalone - この投稿者のレビュー一覧を見る
肺がん、大腸がん、乳がんなどなど、がんはなぜできるのか、をそのメカニズムから詳しく教えてくれます。ゲノム医療などの最新治療についても書いてある。がん研著だから信頼できる内容だと思います。
「がん」は「生活習慣」病の側面を持つ
2019/07/01 04:11
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投稿者:オカメ八目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の中にある、5つの生活習慣を守ると、何割か「がん」になるリスクが減らせると言うのは、予防の意味で、かなりの参考や、ヒントになる。ーーー本書を読むと、色々な「がん」への「攻撃」の手段が出てきているらしいが、「がん」も、さるもので、もう色々なる「変身」をとげてくるので、今の所では、まだ「がん」で死ぬことも、十分に可能だ。ーーーーまっ、そう簡単には安心できない状態だ。 まだ「がん」については、判らないことが沢山あるようだ。 だが、「がん」との最近のフロントでの闘いぶりを知るのに良い本。
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がん撲滅に向けて、医学者や科学者たちは懸命の努力を続けていますが、いまだがんを根治する方法は見つかっていません。しかしながら、近年のゲノム医療の進展で、「がん根治」の手がかりが見えてきています。分子標的薬によりオーダーメイド治療、免疫チェックポイント阻害薬などの画期的新薬も登場しています。日本のがん医療・研究の拠点として、がん研究に取り組んできた「国立がん研究センター研究所」のトップ研究者たちが、「がんのメカニズム」から最先端の「ゲノム医療」まで語り尽くします。
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著者である「がん研」の宣伝っぽい部分もあるが、がんの特徴、メカニズム、治療法や予防法まで幅広く最新の研究成果が分かりやすく解説されている。個人的には、細胞老化に関連すると言われるテロメアに関する説明が出てきたのが意外で、かつ、分かりやすくて面白かった。
本書は、遺伝子レベルの解析やビッグデータの利用によって画期的な治療法が期待できるということで結ばれているが、本書を読むと、がんというものが、調べれば調べるほど複雑怪奇で、治療法を改良しても改良してもしぶとく生き延びる(もっとも、がんが生き延びると人は死に、がんも死ぬので、がん自体は生物のような生存戦略を持っていないのだろうか。)不気味な存在のように思えてくる。
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2018年現在最新の、がんに対する理解とその治療法の最前線。近年のヒトゲノム解析を初めとする生物学の進展によって、がん治療は大きく前進している。がんとは何なのか、なぜ起きるのか、そのメカニズムの理解とともに、治療法も大きく進歩しつつある。
細胞や遺伝子の構造、タンパク質の働き方など、詳しく説明されている箇所もあって、少し難しく感じる部分もあるが、それだけの学術的背景を感じられて説得力がある。一度最後まで通して読んでから、気になるところを掘り下げるような読み方が良いかもしれない。
日本人の二人に一人ががんになるという時代。自分がいつか罹った時には、この本で紹介されている最新の治療法が実現していて欲しいものである。
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これまで読んだがんに関する本の中で一番理屈的にわかりやすい本でした。医療に携わりがんについてこれまでとこれからを勉強し始めた人におすすめ。
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2017年ゼロ歳で男性62%、女性46%ががんに診断される。
癌の要因
遺伝子の多段階変異
化学物質
カビ毒
放射性被曝
細菌寄生虫:日本人に多いピロリ菌、B型C型肝炎
遺伝子要因
ALDHの働きが弱いとアセトアルデヒドを分解できず
食道がんになりやすい。
老化細胞の炎症SASP
大腸がんにはアスピリン、メトホルミン、スタチン
分子標的薬
核酸医薬
がんは不均一性、ひとつの薬ではやっつけにくい。
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がんの基礎を体系的に理解できる本。
発生から転移の機構、治療のアプローチと仕組み、今後の展望まで。
素人が「がん」を理解するには充分な内容だと思う。
教科書的な記載が非常に分かりやすかった。
多分に機構の成果を主張しているのは、ご愛敬。
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がんの最新の知見、最新の治療法や治療薬について、分かりやすく網羅的に解説されています。
全くの素人でしたが、ある程度理解しました。これからは、産官学が協力してやっていかないといけないと思いました。何か力になれることを考えてみよう。
今年のノーベル賞期待してます!
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第1章 がんとは何か?
第2章 どうして生じるのか?
第3章 がんがしぶとく生き残る術
第4章 がんと老化の複雑な関係
第5章 再発と転移
第6章 がんを見つける、見極める
第7章 予防できるのか?
第8章 ゲノムが拓く新しいがん医療
編者:国立がん研究センター
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がんのリスクを減らす。禁煙、飲(1日あたり日本酒1合、ビール大瓶1本)、塩分を抑え、野菜と果物を積極的にとり、熱い飲み物や食べ物は少し冷ましてから。運動(歩行程度毎日60分、週に1回は60分汗をかく)、太り過ぎやせすぎもだめ
大腸がんにはアスピリン、メトホルミン(糖尿病の薬)。
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がんはその成長過程においてゲノムの異常が多様に変化する「がんゲノム進化」これには遺伝子の発現量に影響を及ぼす「エピゲノム」の異常も含まれる。
がん細胞は、ほとんど分化せず増殖し、アポトーシスにも抵抗するので、傷がついた細胞も生き残る。
20世紀前半、化学発がん説、ウィルス発がん説、遺伝説、どれも決定的ではなかった。
現在では「がんは遺伝子の病気である」と考えられている。
「がんの発生には、正常な細胞に存在する正常な遺伝子がかかわっている」変異を起こす前の正常な遺伝子を「がん原遺伝子」、変異した後の遺伝子を「がん遺伝子」と呼ぶことがある。
リン酸化で情報を伝達するがん細胞
ヒトを含む真核生物は、チロシンリン酸化という、ほかではほどんど起こらない反応を増殖シグナルの伝達専用に割り当てており、それにより増殖の厳密なコントロールを可能にしている。 ”うそつき”を生み出すのは突然変異。
現在では、がん細胞は数百もみつかっている。その多くは細胞の異常は増殖を引き起こす。
細胞のアポトーススをを抑えるものも含まれる。これが抑えられるとDNAが傷ついた細胞が増えて、がんが発生する。
がんになった組織ではたいてい、なんらかのがん遺伝子がオンになっていて、同時に、それを抑えるようながん抑制遺伝子がオフになっている。
遺伝性がんが占める比率はかならずしも高くない。大多数を占めるのは、こうした突発性変異遺伝子を持たない人が発症する「散発性がん」。難しいのは「散発性がん」においても体質のような遺伝的要因が一部かかわっている可能性があること。
その昔、「細胞を個体から取り出し、分化状態から解放すれば、細胞は増殖能力を再獲得し、老化しなくなる」と考えられていた時代があった。1891年ドイツのオーグスト・ワイスマンが最初に提唱。実験技術が改善され、細胞を体外で長期間培養できるようになったのは1910年。1940-50年代にかけて培養細胞として樹立された細胞体が次々と誕生。
有名なのがヒーラ、だがしばらくして、ヒーラ細胞ががん細胞であることがわかった。
テロメアの長さは細胞分裂のたびに短くなり、一定の長さになると分裂を停止する。つまり、テロメアの長さが細胞分裂の回数を規定する。正常細胞では細胞分裂が停止するのに対して、がん細胞ではこのような現象は起こらない。
テロメアを復元する酵素「テロメラーゼ」発見
がん細胞は以外では、生殖細胞や幹細胞といった未分化の細胞でテロメラーゼの活性が高く、長いテロメアが維持されていることがわかった。 iPS細胞でもテロメラーゼの活性が高いことがわかっている。
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第1章 がんとは何か?
悪性腫瘍とはコントロールされない細胞の増殖であり、自律性増殖、浸潤と転移、悪液質を引きおこすなどの特徴がある。癌腫(上皮性)、肉腫(間質性)、その他血液がんなどに大別される。がんは昔から知られており、近代以後は発がん性の発見(19世紀)、がん遺伝子の発見(20世紀)など研究が進んだ。リン酸化によるシグナル伝達の変異ががんを引きおこすこと、逆にがんを抑制する遺伝子も存在することが判明した。現在は遺伝子レベルのがん化を抑制する分子標的薬が開発され、主力になっている。
第2章 どうして生じるのか?
遺伝子変異の蓄積や、染色体異常によりがんが生じる。がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活性化など、異常の起こる遺伝子の機能も影響する。カビ毒やタール等の化学物質への曝露、放射線への曝露、細菌やウイルス感染などの外因的要素や、遺伝的素因など内因的な素因がある。がん細胞自体も変化してゆき、多様性を獲得することで、難治性がんに進行してゆく。変異遺伝子の種類によってがんの性質も変わってくるらしい。
第3章 がんがしぶとく生き残る術
がん細胞は健常人にも自然発生しており、免疫により排除されているが、悪性化細胞は免疫をかいくぐって無力化する性質を持っている。がん細胞自身が抗原性を失う変異を起こす、免疫抑制サイトカインを分泌する、免疫抑制機能を持つ細胞を利用する。また免疫チェックポイント分子を用いてT細胞を無力化するなどの戦略があり、これを利用した抗がん剤も開発されている。
第4章 がんと老化の複雑な関係
高齢になるとがんの発症率が上がるが、ストレスによる細胞老化がその一因である。老化細胞により起こる慢性炎症ががんの原因になる。
第5章 再発と転移
がんの再発は、がん細胞群の中にあるがん幹細胞が原因である。がん幹細胞は種のように休眠しており、抗がん剤治療にも影響されにくい。これを除去することで再発を予防できる可能性がある。がん細胞の転移は急速に進行する。がん細胞は細胞環境に依存して増殖する足場依存性を失っているにも関わらず増殖してしまう。また転移しやすい場所がある。
第6章 がんを見つける、見極める
良質ながん治療を行うためには早期発見が重要であるが、がん検診はコストがかかる。腫瘍マーカーも利用できるが早期発見にはあまり有用ではない。血中のmiRNAを利用する方法が有望であり開発されている。
第7章 予防できるのか?
発がん予防の鍵は生活習慣の改善にある。禁煙・節酒・食生活・身体活動・適正体重の維持が現時点で重要だと考えられている。がん予防効果のある薬剤も既存薬を中心に検討されている。
第8章 ゲノムが拓く新しいがん医療
抗がん剤は伝統的な細胞障害性抗がん剤と、近年の遺伝子的知見に基づく分子標的薬に大別される。分子標的薬の問題は副作用と治療抵抗性の発現である。遺伝子解析により抗がん剤が開発されることで、がんの分類も原因遺伝子に基づいて行われる可能性がある。更に分子標的薬の標的分子が発現する前にブロックする核酸医薬も開発中である。また治療抵抗性の発現も乗り越えるべき課題である。がんゲノム医療の拡大が期待されている。