- カテゴリ:一般
- 発売日:2018/10/18
- 出版社: SBクリエイティブ
- サイズ:19cm/323p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7973-9530-3
読割 50
紙の本
数学ガールの秘密ノート 行列が描くもの
著者 結城浩 (著)
零行列から単位行列、行列の演算、行列式、線型変換まで、「僕」と4人の少女が、楽しい数学トークを繰り広げながら、行列と線型性の謎を解き明かす。Webサイト『ケイクス』連載の...
数学ガールの秘密ノート 行列が描くもの
数学ガールの秘密ノート/行列が描くもの
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
零行列から単位行列、行列の演算、行列式、線型変換まで、「僕」と4人の少女が、楽しい数学トークを繰り広げながら、行列と線型性の謎を解き明かす。Webサイト『ケイクス』連載の書籍化、第10弾。【「TRC MARC」の商品解説】
「僕」と三人の数学ガールたちとの数学トークを通して中高生レベルの数学を楽しく学ぶシリーズの第10作目です。
本書のテーマは、「行列」です。
行列の知識は、数学を活用していくために必須です。たとえば、機械学習やディープラーニングを理解するとき、コンピュータを使って数式処理や数値計算を行うとき、ゲーム開発、画像処理、コンピュータグラフィクス、アートなどの多彩な分野を学ぶときなどに、行列の知識は欠かせません。
行列はまた、高校で学ぶ多くの分野を関連づけて学べる題材でもあります。複素数、ベクトル、三角関数、図形の面積に関わる幾何学、交換法則や結合法則といった代数学の法則などに行列は関わっています。
本書では、行列に関する用語や計算方法から始まり、行列の多彩な側面に触れながら行列の基礎知識を学んでいきます。高校の新課程では行列が消えてしまったため、大学に入れば必ず学ぶ線形代数の前準備としても本書は大きく役立つでしょう。
●各章の内容
第1章では、行列がどんなものであるかを学びます。行列の足し算と引き算を具体的に計算しながら、数と行列の似ているところと違うところがどこにあるかを体験し、零行列を定義します。
第2章では、行列の積について学びます。足し算における0と、掛け算における1の類似性に注目しながら、行列の積に親しみ、単位行列を定義します。逆数と逆行列の対比や、数と行列の大きな違いの一つである零因子についても学びます。
第3章では、行列が作り出す図形の変換を学びます。行列が作る一次変換によって座標平面全体がどのような変形を受けるか、具体的な行列とたくさんの図を通して楽しみます。行列とベクトルの関係、行列と三角関数の関係、行列と複素数の関係など、数学の多くの分野の関係についても理解を深めます。
第4章では、行列の計算に登場する法則を探ります。交換法則が一般には成り立たないこと、結合法則は成り立つことなどを具体的に確かめます。そして、複素数と行列の不思議な関係について議論しながら理解を深めていきます。イメージのとらえにくい虚数iを具体的に作ったり、行列と三角関数の関係を学んだりします。
第5章では、ベクトルの内積と行列式の関係について学びます。行列の積と行列式の関係、図形の面積と行列式の関係、そして連立方程式の解と行列式の関係についても学びます。【商品解説】
目次
- あなたへ
- プロローグ
- 第1章「ゼロを作ろう」
- 第2章「イチを作ろう」
- 第3章「星空トランスフォーム」
- 第4章「アイを作ろう」
- 第5章「迷宮マトリックス」
- エピローグ
著者紹介
結城浩
- 略歴
- 〈結城浩〉著書に「暗号技術入門」「結城浩のWiki入門」「プログラマの数学」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
線型代数超入門
2019/01/16 10:08
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:類太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初学者の誰が考えてもおかしくないことや陥りやすい誤りが書かれてあるのは他の「数学ガール」と同じである. 本書では, 絵や図説をふんだんに用いて時には可換図式も使いかなりていねいに行列を解説している. 特にわかりやすいと思われる感じた点と工夫されているように感じた点は以下である.
・実数0の公理的定義に基づく0と零行列の説明
・実数1の公理的定義に基づく1と単位行列の説明
・行列の数の配置において横が行であり縦が列であること
・行列の積の定義
・積は可換でないこと
・行列は線型変換を表すこと
・線型性の意味
・行列の積の意味
・行列式の意味
・(全体的に見て)行列と数の対応関係
・数学における論理の説明
行列に慣れるために必要な行列の見方や計算の仕方さらに注意しなければいけない代数的事項(積の定義可能性, 積が可換でないこと, 零因子が存在すること, など)や幾何的側面(行列と線型変換が1対1に対応すること, 行列式と線型変換の像との関係)を明確にしているのがとても良い.
分配法則と結合法則の重要性を注意深く例示しているのは数学の入門書の中では高く評価されるべきであろう.
行列は, 私は中学生時代に高校数学の学習参考書で学んだ. その時に考えていたことも書かれている. 今は高校数学に行列が無い. しかし, 幾何学・代数学・解析学のどの分野にも行列は必須なので, また数学の論理がていねいに説明されているので, 数学の初心者や行列の初学者には本書をおすすめしたい.
複素数や平面ベクトルを用いた説明もあり, 線型写像の具体例に関数の微分と積分と確率変数から期待値への対応も挙げられているが, 平面ベクトルは必要に応じて調べながら(必要なのは平面ベクトルの定義と和の定義と実数倍の定義と座標平面の点との同一視くらい), 物語の流れだけを追い軽く読み流せば予備知識は中学数学程度で足りるであろう. 本書よりも行列をていねいに解説した本は他にはない. また意外なことに厳密性がわかりやすさのために犠牲になっているのは行列の定義と逆行列の記号の定義だけである. 他も厳密に書かれている訳ではないが, 或る程度の精確性を意識しているように感じた.
ちなみに無限次元の行列は関数解析という理論で現れる. 有限次元の(つまり普通の)行列の理解は必須であるが, ぜひ関数解析にも挑んでみてほしい. 本書がそのための第一歩にもなるはずである.
なお「線型」は「せんけい」と読む. 「線形」と書かれることも多いが, 著者もこの表記を採用しており「線形」とは書いていない.「線型性」は,
関数f:R∋x→cx∈Rのグラフ
{(x, y)∈R^2|∃x∈R, y=f(x)}={(x, cx)|x∈R}
が原点(0, 0)を通る直線であり, 実定数aと変数x, yに対して
f(ax)=af(x)
f(x+y)=f(x)+f(y)
が成り立つことから来ている言葉である.
紙の本
「僕」僕と3人の数学ガールたちとのおしゃべりを通じて学ぶ数学シリーズの10巻目です!
2019/02/03 12:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、主人公の「僕」が数学ガールとよばれる3人とともに話をしたり、行動したりする中で、数学を学んでいくというシリーズの第10巻目です。同書は、行列をテーマに話が進んでいきますが、この内容が実に興味深いのです。行列というものがどんなものかということから始まり、その法則性や規則性、行列が創り出す図形など、その世界がどんどんと広がっていきます。行列はこんなにも楽しいものだったのかを改めて思い起こさせてくれる傑作です。