紙の本
イオンの陰の立役者に迫った書です!
2018/10/31 09:17
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「弟を日本一にする!」!と豪語して、巨大流通グループであるイオン株式会社の社長、岡田卓也氏を人として、経営者として育て上げた姉、小嶋千鶴子氏の存在とその人生を明らかにした書です。小嶋氏は、ほとんどメディア等には出て来ない人物のため、その存在さえ知らない人がほとんどです。しかし、知る人ぞ知る、この類まれなる人物を初めて公にした書が本書です。ここには彼女の人生が、そしてその苦難の道が描かれています。ぜひ、多くの方々に読んでいただきたい感動の一冊です。
紙の本
現代の「おんな城主直虎」だ
2019/01/30 20:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今やイトーヨーカ堂と二分する巨大流通グループとなった、イオン。
その歴史をたどると、三重県四日市にあった「岡田屋」という老舗呉服店に行き着く。
「岡田屋」とあるように、岡田家が代々当主として稼業を営んでいたが、イオンの前身となるジャスコを立ち上げた岡田卓也氏が社長となるまでに、若き当主だった父を若くして亡くし、その後母姉も亡くなり、経営が危うくなる時期を支えた女性がいたことはあまり知られていないのではないか。
それが、この本の主人公小嶋千鶴子さんである。
この本は6つの章で出来ているが、その初めが彼女の生い立ちを描いた評伝となっている。
あとの章は人事等で秀でていた彼女の経営哲学が描かれていて、ビジネスマンにとっての指針にもなるようにできている。
小嶋千鶴子さんは1916年3月3日に生まれている。(いまも健在であるから長寿だ)
イオンの創業者岡田卓也氏は彼女の実弟。現社長である元也氏は卓也氏の長男だから、元也氏にとって叔母さんになる。
そんな彼女の評伝を読むと、2017年に放映されたNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」を思い出す。
あのドラマは井伊家を守るため女性でありながら城主となり、井伊家の流れをくむ直政が成長するまでを見守った一生を描いていたが、小嶋さんにもそれと同じようなところがある。
もちろん、イオンが成長していったのは岡田卓也氏や元也氏の功績が大きいだろうが、小嶋さんがいなければ、卓也氏たちの活躍以前に岡田家は絶えていたかもしれない。
まさに見事な「おんな城主」だったといえる。
電子書籍
陰の功労者
2020/05/09 17:50
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
三重県の小さな呉服屋を切り盛りしていた女性が、全国展開するスーパーの基礎を築いたことに驚きです。心理学からプロレタリア文学までを取り入れた、経営理念も斬新でした。
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仕事との向き合い方
2019/01/21 10:19
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投稿者:本好きリス - この投稿者のレビュー一覧を見る
Internetで、この本の総評を見て面白そうだと思って読みました。経営学系に興味がない人でも、知識がない人でも読み進めることができました。
就職して、自分のしていることに自信が持てない、空虚感を感じる人にとっては何らかの力になるかもしれません。
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小嶋千鶴子という偉人伝
2020/09/05 14:15
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投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本最大の流通企業イオングループの総裁、岡田卓也氏の実姉にして地方の一百貨店が全国展開のGMSへと成長する時期に岡田氏と二人三脚で成長の礎を築いた女性の評伝である。経営手法としては、今では当たり前となっている総務人事、組織の構築を70年代には確立していたことが驚きである。それぞれの項目が人生訓のように並んでいるため、全体を通して読んでも、何か凄いものがあるかといえばわからない点は惜しい。
電子書籍
イオン
2019/09/07 15:20
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
イオンの成功の立役者がいたことを初めて知りました。スーパーなどは女性がメインで利用するので、女性の意見は大事ですね。
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先祖代々受け継いだベースがあるとは言え、親をはやくに亡くし学業の道を諦めて継いだ岡田屋。
その学業の道を、小売業の先進化、社員の教育、組織のベースアップに変え日本一の流通グループイオンに結実させた。
イオンというと岡田卓也氏が真っ先に思い浮かぶが、姉の千鶴子氏という強力なバックアップがあったからなしえた企業経営であったのだろう。
人事に関する仕事をしているかたには、バイブルとなる名著である。
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若くして両親を失い、イオンの前身である岡田屋の社長を務めその後30歳の頃には社長を退き、その後の社長である実弟を特に人事・教育といった管理部門の立場から強力にサポートした小嶋千鶴子氏について記載されている書籍。
店長としては地域にいらっしゃるお客様が第一であり、また100人程度の従業員を預かる立場で仕事を任されている。それもあり、ヒト・モノ・カネのうち最もヒトが重視されるという考えであり、その成長に寄与する仕組み作りや制度作りに奔走した。ただし、仕組みや制度だけではなく、継続的に勉強すること、自ら考えて進言・実践すること、意味のある失敗から教訓を得ることが重要となる。失敗から教訓を得るには2つのことが必要である。1つ目は要因を分析することである。失敗の要因は大きく以下の6つに大別される。①故意によるもの、②不注意によるもの、③能力不足、④能力がありながら会社のプロセスに従ったため、⑤タスクの難しさ、⑥不確実な要素が多すぎたためである。要因分析の前にはそもそもそれが成功だったか失敗だったかの判断が必要になる。そのため、予め基準を策定しておくことが肝要である。2つ目は復元力である。これには楽観的、一過性のものと捉えることが必要である。
本書籍では一貫して人事こそが企業の盛衰を左右する組織であるとされ、また個人としては変化をし続けることが重要と締めくくられている。
企業人としての良い心の持ちようについて改めて認識させられた。
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イオングループ創業者 岡田卓也氏を実姉として、また人事責任者として支えた小嶋千鶴子の話を読んだ。
学ぶことの大事さ、学び続けることの大切さを認識させられたほん。
これから何かに挑戦しようとしてる人、経営に携わる人におススメの本だと思いました。
好きな文章
・リーダーとして人を生かし、生かされる上で大切なことは信頼を得ること。責任感があるかないかが、信頼の基礎となる。
・失敗を寛容する心が人を育てる
・トップ幹部に必要なのは「真摯さ」と「聞くチカラ」
・MBAといったスキルを学ぶ vs 先人の足跡を学ぶ
・20年先の自分の姿
・社会を変えるためには、自分自身を変えることから始める
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格言並べてる系の自己啓発本はハマる場合とハマらないと場合とあるが、この本はハマった。冒頭バックグラウンドから入ったのと、実績(イオンの成功)があるから、それともそれぞれの言葉が強いのか。
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ユニクロの柳井さんも本書を推薦していた。恥ずかしながら、本書を読むまでこの名経営者の名前すら知らなかった。面白かった。
小嶋は1977年、60歳にしてジャスコの役員を退任した。以前から役員の定年を60歳と決めていた小嶋はあっさりと未練なく実行した。このことは、役員がいつまでも役員として会社に残ることの前例をつくらないという意味を含んでいる。
小嶋は従業員をつかまえては、「君は自分の『教育』にどれだけお金と時間をつかっているのか?」「貯蓄はあるのか」そして「将来にむけてどのような準備をしているのか」をよく尋ねた。成功するかしないかは、何を選択し、限られた時間とお金をどう配分するか、まさにそれは知識と技術に他ならない、つまり心的態度なのである。
「低い基準で妥協するとのちのち体質が弱くなってくる。会社もそうだし個人ならなおさらである、厳しいぐらいでちょうど良い」
「人間は、すぐ安住してしまうという弱さを持っているのである。どうすれば自分を安定したところにおけるかを考えてしまう。ベテランといわれる人ほどその傾向が強い。自分が今まで身につけてきたものを絶対とする錯覚がある。狭い局面しか見られない。そのような”専門家”が企業の将来に禍根を残すことになる。企業は停滞期に入ってしまう。
それをもう一度、根本から壊して、新しい創業をしなければならない時期に来ているのではないか。
日本の国自体もまた、このような成熟した社会になって、もう一度新しい困難が起きているようである。それをどのように克服していくかは、私たち国民全員の課題だと思う」
ある日の朝、私が出社するとすぐ小嶋から電話がかかってきた。
「東海君、岡崎店のAさんの個人ファイルを持ってきてください」というのですぐに持ってかけつけると、小嶋はまず履歴書に目を通し、次に直近の自己申告書を読んだ。そこには、奥さんが病気で困っていること、治療をしているもののなかなか治らないこと、どこかに良い医者がいないか探していることなどが書かれていた。
それを読むとすぐジャスコ健康保険組合の嘱託医に電話をかけ、その病気について詳しく尋ね、専門医や病院の紹介を受けた。そこからさらに懇意にしている大学病院の教授に電話をかけ、その道の権威を紹介してもらっていた。
ほかにも子育ての悩み、年老いた親の面倒をみなければならないため転勤を希望する人など、本人だけでは解決できないことには親身に対応した。
さらに、「何か問題はないか」と尋ねられ、それについて考えているとき、その従業員は少なくともその間は当事者になると小嶋から教えてもらった。その答えによって相手の力量をも見る、いわば臨時の面接試験でもある。つい、気の利いたようなことを言おうものなら、すぐに気づかれ「あほか、あんた勉強が足らんな」と叱られてしまう。
「ジャスコは今日大組織になった。それは組織管理の知識・技術の教育に一歩先んじたからである。このことを忘れてはならない。この特長を失ってはならない。しかし、営業力強化のための知識・技術の革新に遅れをとったことは���実である。そして、今やその遅れを取り返すチャンスは来た。社員全体が、その必要を痛感しているからだ。今、人事は立ち上がって知識と技術の革新の先頭に立たなければならない。自ら知り、自ら研究し、自ら会得し、自ら教えうるようにしなければならない。そして組織管理と営業力のいずれも強くたくましく、人間尊重風土を併せ持つジャスコになること、それを80年代のわが社の姿にしなければならない。それは時至れば、国際社会に通用するジャスコになる道程である。まず我が国流通業界の名実ともにトップグループになろう。(中略)ジャスコは、最終的には、世界の流通業のトップグループになり、より多くの人に奉仕する道を目標としたい。今、切実な目標は、とりもなおさず営業力の強化だ。現実目標は、人事担当者が思想革新をして今の教育カリキュラムを見直し、少なくとも今年中に人事担当者全員がマーケティング技術、中でもマーケットリサーチの技術をマスターし、それを教えられるレベルになってほしいのである」
「打率三割は良いほうである。七割の失敗は当然である。本人が失敗を隠したり、一回の失敗で意気阻喪したりさせないことである」
「他社のどこでもやっているような二番煎じ案ではいずれ会社は衰退する。よく練った独自案こそが会社を成長させるカギである」
小嶋や岡田のなすことを観察すると、①人まねより先進性を尊ぶ、②経済性より優位性を考える、③コンセンサスよりインパクトの有無を考える、この三つを挙げることができる。
「人事政策を推進していく場合、まず注意してほしいのは、会社の中枢部に保守的な人間をおいてはならないということである。”保守”と”経験”は混同されやすい一面をもっているが、この二つは似て非なるもので、基本的には別個のものである」
「たえず勉強して知識や技術を身につけていく、そのことが自分を変え周りの人たちも変えていく」
「どんな仕事でも、仕事らしい仕事には、すべての人が賛成するわけではない。反対があればこそ仕事の意義がある。」
小嶋はあるとき、作家であり、僧侶でもあった今東光氏の次の言葉で自分の人生観が変わったと言っている。
「人間の半分の人が賛成して、半分の人が反対するようなことをするのが一番いい仕事だ」と。
「一番、処しにくいのは甘えのある人やな」
「働く人が変わっていくことにより、お店が変わり、お客様までが変わる。つまり、一人が自分自身を変えることで、組織が変わり、そして会社が変わる。自分たちの会社を、今後どうしていくかということは、自分自身をどうしていくかということと全く同一のことである。会社を発展させるためには、自分を発展・変革させなければならない。この事実が、人間と会社の面白さであり、組織の興味深いところである。人事を担当して、岡田屋からジャスコに至る50年の私の人生は、私自身をどのように変えていくかという自問自答の連続であった。言い換えれば、自分自身との戦いであった。」
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よくある偉人の側近本。貴重な経験だとは思うが、締まらない。結局、興味があるのは偉人の話で本人じゃないため、読んでいるうちに、本人の思いとか考えの記述が余計に思えてしまう。
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2018年8月現在、102歳で「エコノミスト」を読むスーパーウーマン。人事、組織経営のレジェンド小嶋さんのことを本書ではじめて知りました。CHRO(最高人事責任者)とは彼女のような人のことを言うのだということがよくわかりました。
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経営者の物語であるが、最高の経営書 特に人事戦略
ナイーブな「人事」について現実の実務サイドから書かれるのは、日本では希有と思う
特に日本では個別人事の話題で終始してしまうが、
本書は「人事理論」「経営戦略」を最重視しているのが素晴らしい。
勉強+実践+検証 日本は勉強が少ない
個別事象への対処療法、オペレーション
ガチンコでぶつかることが何より
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人事という仕事の理想が書いてあるよ。
しかも、その理想を実践するチカラのある人の言葉や具体例で説明している。
ハッキリ、私には書いてあることをすべては真似できない。しかし、この本を読まない私、読んでしまった私の世界線は大きく分裂したと思う。人事について私が今まで知らなかった、上質なノウハウが書かれてあり、人事が最高の仕事だと思ってしまう。人生観・仕事観は人それぞれ、と括って思考停止してしまうには非常に勿体ない。理想論だと解っていても、もがきながら何かを掴み取りたい。未来の私に一石を投じ、重要なきっかけを作ってくれそうな本。