何とも運の悪い偏屈な生体情報工学者の執念の勝利物語でした(笑)。
2020/03/24 10:35
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
何とも運の悪い偏屈な生体情報工学者の執念の勝利物語でした(笑)。主役のセオ・クレイが初めはちょっとした好奇心から、そして徐々に研究者としての習性からのめり込み、自分がまずい状況に陥ってることに気付いた時点では完全に研究テーマとしての魅力に取り込まれてたという展開が、意外に真実味があって良い。普通の人間なら違和感を感じる展開だが、研究者となるとすんなり受け入れられるから不思議。かくして謎の連続殺人鬼の痕跡を丹念に追っていくが、終盤約100ページは急展開の活劇物へ変身。特に最後は超人同士の戦いみたいな壮絶さ。楽しみ満載でした。しかし、主役のセオ・クレイだが、警察とは別に証拠を鑑定したり、遺体は盗んで毀損するはの違法行為しまくり。しかも、殴られ、銃撃されで全身ボロボロ。正しく、ちょっとダーティなスーパーヒーローってとこですね。“ちょい悪・超人もの”とでも分類されるのかな(笑)。
<超蛇足> P-177の、「水害を避けるため子供を湖に捧げた結果、湖が干上がり骸骨ばかりの湖底だけが残った」というたとえ話、グーーですね。
意外にも面白い!
2019/06/29 04:34
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
生物情報工学を専門とする学者で、生物学の大学教授であるセオ・クレイはモンタナ山中での調査を終えてモーテルに戻ってきたところを、急遽警察に拘束されて尋問を受ける。全く心当たりのないセオだが、他者とのコミュニケーション能力に自信のない自覚のある彼は正直に受け答えしようと考える。どうやら彼は殺人の第一容疑者とみなされていたようだが、被害者はクマに襲われたという検視結果が出て、セオは即刻釈放された。被害者はセオのかつての教え子で、研究者として独り立ちしていたジュニパーだった。セオはまったく知らなかったが、たまたま近いエリアでフィールドワークをしているときだったために疑われたのだ。
ジュニパーの記憶はわずかしかない。自分は教師として一体彼女に何を教えたのか。自責の念にかられたセオは独自に調査を開始、これはクマではなく“クマを装った人間による殺人ではないか”と仮説を立てるに至る。しかし警察はまったく信用してくれず、セオは一人でこの仮説を証明するためにフィールドワークに乗り出す・・・という話。
これが意外にも、結構面白かったのです!
他者とのコミュニケートには問題ありでも、頭の中では饒舌すぎるセオ(そう、しかもこの話は一人称形式なのだ)。
科学的発想と根拠のある仮説でガンガン進み、身に危険を顧みないということにすら気づいていない学者バカ気質、そのくせ性善説なのかな?というくらい最悪の事態を想定しないであとから気づく(カリン・スローター世界の後ではその「ぬるさ」が意外に心地よかったりする)。
リチャード・ドーキンスとスティーヴン・ジェイ・グルード論争が下火になったのは、「進化の過程が非常に複雑なものであり、遺伝子か生物かという論議は決定的要因を単純化しすぎるという考え方が主流になったからだ」、などの発言にニヤリとさせられるしね。
学術的根拠で畳みかける前半が章立ても短いこともあってすごく読みやすく、話に入り込みやすくなっているところにシュール展開がきて、見事な省略法(そこがツッコミどころでもあるけど)。終幕はド派手な冒険小説のようでありながら、結構大味になってしまっているのが残念。次のシーズン更新が決まっていないアメリカの連続ドラマの最終回みたいだった。
セオ・クレイのシリーズは続いているようなのですが、一作目のラストでここまで行っちゃったら次作はどこから始めるのか、いったい何人が生きているのか知りたい。次の邦訳もお願いします。
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アンドリュー・メイン『生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者』ハヤカワ文庫。
カオスの中に秩序を見出だすという生物情報工学の天才教授セオ・クレイの活躍を描くシリーズ第一弾。
生物情報工学などと銘を打ち、専門知識を駆使しながら、結局のところは描かれる事件や証拠をつなぐのは偶然や第六感なのかと突っ込みたくなるような作品だった。いくらどんなに無能な警察でも、これだけの大量連続殺人だったら事件に気付くだろうに……
生物情報工学者セオ・グレイのかつての教え子の女性がモンタナ山中で惨殺したいとなり、発見される。偶然、近辺で調査を行っていたセオは殺害の嫌疑で拘束されるが、犯人は熊と断定され、熊は射殺される。天才的な第六感により犯人は別にいると考えたセオは証拠である被害女性の血液サンプルと熊の体毛を研究所に送ると、体毛は既に殺害駆除されたはずの『リッパー』という名前のグリズリーのものであると判明するが……
最近の早川書房は駄作が多く、信用できないな。
本体価格940円
★★
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突っ込みどころ満載。迷惑な天才型探偵の型破りというか奔放な捜査と最後はまさかの怒涛のアクション。
真犯人登場時の出で立ちにはバカミスかと苦笑。
私は面白く読みましたが、オススメするのはためらってしまいます。
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熊に殺害されたような傷。それに疑問を持ったセオ。生物学の知識と独自の調査方法で警察より先に次々と死体を発見する。天才的な頭脳を持ちながら少し頼りなさげな感じがいい。少し都合が良すぎるというか突っ込みどころがいくつかあるけれどそれでも面白い。アクションの迫力もあって最後まで楽しめる。ぜひ第2弾も出て欲しい。
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マジシャンの書いた小説。なるほどと思う。東野圭吾の『ガリレオ』シリーズのような理系探偵のサイエンス・ミステリかとの予想を大きく覆し、本書はまるで、全体が仕掛けにみちたイリュージョンのようなエンターテインメント小説なのだった。火器や炎や鉤爪の活劇とバイオレンス・アクション。一人称現在形でのリズミカルな文体に着いてゆくだけで、探偵セオ・クレイの被る肉体的被害を自分が受けているかのような痛々しさに痺れてくる。
生物学探偵というタイトルから地味な先入観を持ってしまうこのヒーローは、一見普通の大学教授、かつフォールド・ワークと最先端のデジタル技術を駆使する研究者でありながら、実は真実を手にするためなら法を度外視してでも単身危険に身を曝すことのできる動きと決断優先の、もろにダイハード型でハチャメチャな主人公なのである。
熊による獣害と見られる女性遺体が、かつての教え子であったことから、当時事故現場でフィールドワークをしていたセオが疑われる。殺人パレードの開幕である。
独自のプログラムを駆使してのデータ解析を得意とするセオは、行方不明案件が異常な確率で発生しているモンタナ州のある地域に眼をつける。続いてセオは、複数植物の発育分布を調査することで、最近掘り返されたことのある土壌に眼をつける。前後のデータを重ね合わせたセオはピンポイントで遺体を次々と発見するが、それぞれの管轄警察には信じてもらえず、個々の遺体は熊による獣害として扱われるばかりか、セオへの警察の疑惑さえ拡散してゆく。
この事件のすべてに、一人のクレイジーな大量殺人者が存在するのではないか? そうした確信を貫こうと単身真犯人を追うセオだが、関係機関からも危険な聞き込み先からも異端視され逆に追い詰められてしまう。姿の見えない殺人者を捕らえるにはなかなか一筋縄では行かなそうだ。
何十年も殺人を続けている男は本当に存在するのか? そいつは何故捕まらないのか? 遺体たちは何故探されていないのか? 孤独に襲撃され土の下に埋められて行った若い女性たちの無念さは、満身創痍のセオを先に進ませる。
捕食者である何者かに常に先を行かれるジレンマ感。単独捜査を進めるたびに痛手を負ってゆく我らがヒーローには、どんな手が残されているのか?
最初に書いた通り、本書は手に汗握るアクション作品である。本書の日本語タイトルからは、そんな内容を想像して頂くことはなかなかできないかもしれない。しかし、書き手はプロのマジシャンである。執筆者の名前を英語スペルAndrew MayneでYouTube検索して頂くと、楽しいトリックやイルージョンの動画を観ることができる(もちろん確認済み)。
そうしたマジカルな作者の手中で踊らされれゆく被害者的快感を否応なく味わわせてくれる本作は、人気を得てシリーズ化され、既に4作目の執筆にかかっているそうである。楽しみなエンターテインメント・シリーズがまた一つ。結構大きな爆弾を炸裂させてしまったシリーズの開始。今後、声を上回る怪事件をどれほど生み出してくれるのだろうか。マジシャンのお手並み��見と行きたいところである。
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孤立無援の中、教え子の死は事故でなく殺人と確信し、独自の捜査を頑なに進める主人公セオ。この男気、どうよ!守るべきもののためにすべてを捨てて戦うセオの覚悟が格好良い!面白かった!!
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生物情報工学とは書いてあるが、主人公は生物学を包括的に引き受けている大人物という印象だった。
天才科学者が謎解きの使命感とスリルと、他の人に疑われる不安とが一人称で語られるのが面白い。
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久方ぶりに当たりだ!!!
物凄い好き。これ好き。
アメリカドラマのクリミナルマインドすごい好きなんだけどあのBAUチームを一人でやってるみたいwwwセオさん好きwww
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序盤は冴えない生物学教授だったが、後半から怒涛の展開。最後はちょっとびっくりしたし、好き嫌いは分かれるだろう。わたしは、ありっちゃありだけど展開にちょっとついていけないかなー。
でも、読後はさっぱり。
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生物学探偵!まだその手があったか。テンポよく、会話も軽妙で、くいくい読めるエンタメ。改行が多いのがちょっと気になったが原文がそうなのかな?
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生物学の教授が独自の視点でクマによる殺害とされた事件を解決していく。
以前の失踪者の遺体を発見していく過程はちょっと簡単すぎではないかという気もするが、なかなか面白かった。
犯人が最後になってやっと登場することと、最後が普通の銃撃戦になったのはちょっと残念。
次作に期待。
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生物学探偵セオ・クレイシリーズ第1作。
モンタナ山中で調査を行っていたクレイの近くで、かつての教え子が殺された。検死の結果、犯人は熊とされたが、彼は納得せず生物情報工学を駆使して独自に捜査を開始する‥
学者だがかなり無茶をする主人公。生物学を駆使するというより後半はアクション映画みたいになって笑った。犯人が凄すぎるし。少々都合良すぎな気もするが、面白かった。
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教え子の殺人容疑で警察に拘束されたことをきっかけにして、その真相をつきとめるため独自に調査を始める生物学者のセオ・クレイ。
当初は熊による殺人と思われたが、その真相は驚くべきものだった。
教授の動きがめちゃくちゃで、個人的にはイマイチ。
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生物学探偵シリーズ第一作。
森で教え子が遺体で発見され、熊による被害と断定されるが主人公セオクレイはこれに疑問を感じ独自に調査を始める。。。
うーん。なんというかエンターテイメント色が強いように思いました。ドラマの原作っぽいというか。
読んでてセオクレイの人となりみたいなものがどうもよくわからない。まるで自分が知らないだけでもうすでになんらかの媒体でバックボーンが語られてるような。なにかのスピンオフのような。そんな感じ。
「生物学」といってもそれが発揮されるところは正直あんまりなかったし、最終的な犯人も唐突だったし・・・二作目はまあもういいかな、と。