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紙の本
河童の日本史 (ちくま学芸文庫)
著者 中村禎里 (著)
民間伝承や文献に出現する空想生物・河童を、時代ごと地域ごとに精査。ワニやスッポンなど水棲生物を祖型としつつ、水死者・被差別民・処刑キリシタン等のイメージが多元的に重なって...
河童の日本史 (ちくま学芸文庫)
河童の日本史
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商品説明
民間伝承や文献に出現する空想生物・河童を、時代ごと地域ごとに精査。ワニやスッポンなど水棲生物を祖型としつつ、水死者・被差別民・処刑キリシタン等のイメージが多元的に重なって河童となったことを浮かび上がらせる。【「TRC MARC」の商品解説】
ぬめり、水かき、悪戯にキュウリ。異色の生物学者が、時代ごと地域ごとの民間伝承や古典文献を精査。<実証分析的>空想生物学。解説 小松和彦【商品解説】
水かき、悪戯にキュウリ。異色の生物学者が時代ごと地域ごとの民間伝承や古典文献を精査。実証分析的空想生物学。解説 小松和彦【本の内容】
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紙の本
書物に残された河童の姿を、徹底的に探っていく、河童学の基礎。
2022/04/26 18:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学史系統の方による、河童の史学。
後書きに1991年の教養学部の法的基盤が消えたって記述。
この頃から学問を削ごうとしていたのか。
バブル崩壊の頃に、この国は自ら破滅に向かっていたのか。
それらへの抵抗運動をしていなければ、もっと掘り下げられていたのかもしれない。
本書は、文献を敷き詰めて、河童がいかに記録され、どの様なものと捉えられていたかを読み解いていく。
大変充実した書物ですが、若干唐突に終わる感じもあります。
小松和彦の解説によれば、増補版も検討されていたようですが、それは書かれぬままに。
とにかく資料の捜査が凄まじい、膨大な参考文献や資料が記されているので、河童について調べるには、最重要な書物と言っていいのではないでしょうか。
この作りは、オカルトや恠異業界にも、見習って欲しいところです。
この手の話題は、比較的真面目な書物であっても、心理的側面や、物語的側面に偏ったものが多いですから。
例えば、UFOと宇宙人を分けて、来歴を読み解いていく、既にあるのかもしれないが、雑な本に埋もれて、なかなか見当たらない。
それはさておき。
幻覚としての河童体験から、相撲でコミュニケーションする階層があるのではないかとの考察は、スリリングである。
接触を好み、力関係が剥き出しの世界。
これは、よく見るものだ。
階層によって世界の見え方が変わってくる。
「恠異」が翻訳されるにあたって、階層が強い影響力を持つ。
漢学・俳諧・相撲の三つ。
この階層は固定されたものではなく、渡り歩いたり、複数に所属する人もいるのだが、流れとして、人を動かす。
この階層意識、三つの分類とは別に、キリシタンの河童への投影を考えるくだりにも感じる。
それは、「被害者」を、「迫害者」が翻訳する中に、良心の呵責、
罪の意識が反転する現象。
”この種の妄想に取り憑かれる人は、活力にみち、しかも既存の秩序に依拠して尊大にふるまう傾向が著しい。”(329頁)
これは保守主義の人の様ではないですか。
幻には人の心が映る。
そう言った本ではないのだが、河童という虚構の成り立ち、意外と古くないゆえにたどられたその足跡に、そう言ったことを覚える。
紙の本
河童という我が国の想像上の妖怪を通じて、古代の人々の生活と水との関係を解明した画期的な一冊です!
2020/04/15 10:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の妖怪として知られる「河童」を民間伝承や史料から、その記述を時代及び地域ごとに精査し、そこから我が国の古代の人々と水との関係を解き明かしていこうと試みた画期的な作品です。同書では、近世の潅漑用水の発達過程、鎖国にともない内陸の河沼へ目が向けられたこと、ワニやスッポンなど水棲生物を祖型としつつ、水死者、被差別民、処刑キリシタンなどのイメージが多元的に重なって河童となったこと、などが詳細に述べられています。同書は、いわば、民俗学と科学史を横断した実証分析的空想生物学の一冊と言えるのではないでしょうか。非常に興味深い一冊です!