紙の本
小さな本屋さんの道のり
2021/05/26 12:47
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投稿者:ねこすき旅人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本を読んで、本屋さんへの想いが伝わってきました。それでいて新しく事業を立ち上げ、お店を営むのに必要な事業計画の立案やお店を始めてからの取り組みを紹介してくれているなど、本屋さんでなくとも、他の分野で小さなお店を始めてみようと思う人には、読んでほしいと思います。別にお店を立ち上げなくても職場で仕事をしている人も、小さな本屋さんがお客様にとって素敵な場になっていく過程をみることで何か得るものがあると思います。
紙の本
本への暖かいまなざし
2020/04/20 18:21
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投稿者:aki - この投稿者のレビュー一覧を見る
新刊書店Titleの店長辻山良雄さんの子供のころから書店を開業するまでのものがたり。本への暖かいまなざしに満ちあふれている。時間を見つけて荻窪まで行ってみようと思う。
紙の本
またTitleに行きたくなった
2020/01/18 02:22
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
荻窪の個人書店Title店主のリブロ書店員時代から開店初期までを綴った一冊。エッセイにして、業務記録にして、本屋論ともいえる文章から自由に本を売りたい辻山さんのマインドが伝わってくる。なぜ個人なのか、新刊書店なのか、一つ一つ選択に想いが込められている。
この本を読んで思い出したことが二つある。都内の個人書店をいくつも回っていると、利用者ー本屋間のコミュニティ(何とも言えない良い関係性)のあるお店は本の魅力を間違いなく底上げすると感じる。Readin' Writin''さんしかり、B&Bさんしかり、その本屋があるからあの街に行こうと思える力がある。
もう一つは、Titleで出会える本の多様さについて。数々のリトルプレスも串田孫一さんの「緑の色鉛筆」も出会えたのはTitleの棚だったし、年末年始に2階で開いている小さな古本市でたまたま見つけたリャマサーレスの「黄色い雨」は今でも大切に読んでいる。Titleは読む本の幅を広げてくれる貴重な存在。
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辻山さんがリブロマネージャー時代、そして退社後、自分の書店を開業するまでの全てが書かれている。
開店準備にかかる諸費用、どのような本を置くか
本屋の裏側を覗くように興味深く読んだ。
P210
町の本屋のこれから
〈自分は本を読まない人に読んでもらうよりも、今、読んでいる人に続けて読んでもらうにはどうすればよいかを考えたいと思っています〉
なるほど。
名古屋のリブロにもいた辻山さん。
そのとき、お会いしていたのかも。
Titleで本を探してみたいような
お店に入ったら緊張してしまうような気もしている。
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書店人 辻山良雄氏が本屋Titleを始めるまでのあれこれ。リブロ池袋店閉店時に退職し、半年後に独立書店をオープン。単純に独立書店をオープンさせる指南書、ということにはならない。
リブロの広島や名古屋で店長、池袋店ではマネージャーという業界屈指の経歴があればこそ・・・ということのアドバンテージは大きいと思う。ただ、そのことを割り引いても、やはり指南書になる。
事業計画書は参考になる。想いを書くこと、そしてそれが羅針盤になる。そして、細部までのこだわり。そういうことが必要。
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大型書店での勤務を経て個人書店を開業された筆者の体験記。計画がすごく緻密で、ビジョンがはっきりしているのがすごいなぁと思いました。個々の決断にちゃんと明確な理由があり、ちゃんと意思をもって選ばれている様子がすがすがしかったです。印象的だったのは、今読まない人が読むようになること以上に、今読んでいる人が読み続けてくれることを目標にしている、という点でした。
よく読書推進においては、読まない人が読むようになるには?という観点があり、もちろんそれは重要ですが、好きでもないのに無理やり読ませるみたいな事態にはモヤモヤを感じます。
今読んでいる人が読み続けられる環境づくりを目標にするだけでも、確かに意味があるのだなと、勝手に自分の仕事(図書館員)にもからめて考え、納得でした。
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エッセイというカテゴリでいいのか…悩むけれど、とりあえず。
久しぶりに1冊の本をじっくり読み終えることができた。
この2か月、どうしても本を読み続けるということができなかった。積読していたこの本なら読めるかもしれないと思って、ページをめくり出したら、あっという間だった。
個人で本屋さんを開くということは憧れるけれど、これまでの経験と覚悟がないと続けることはできないのだろう。それでも、あまり肩ひじ張らずに、自分がいいと思うことをブレずに取り組まれているからか、とても柔らかで穏やかな気持ちになった。
このコロナ禍の中、ウェブショップを利用させてもらった。ここに行くと、必ず気になる本に出合える。そんな安心感がある。
もう少しこの禍が落ち着いたら、訪れたい。
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幼い頃、本屋で働くのって楽しそうだなぁと漠然と憧れがあったから、実際に一から本屋を開店させる話は興味深かった。でもこのご時世に本屋を営むという事は本当に大変なんだと思う。ただ開店させられればそれで終わりなのではなく、そこから利益を出して、街の人から愛される本屋になるには相当な努力と覚悟が必要なのだろう。長く愛される本屋さんになる事を願います。
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荻窪にある新刊書店Titleの店主辻山良雄さんが本屋を始める前からオープンして5年後までを綴った本。
本が売れないとされているこの時代に個人書店をオープンするということに素直に素晴らしいことだと一読書好きとしては言いたい。
荻窪には気軽に行けるような距離に住んではいないので、機会があれば一度は訪ねてみたい。そしてこの本を読むことでまた別の本を読みたくなった。
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独自性のある新刊書店として注目され続けるTitle。物件探し、店舗デザイン、カフェのメニュー、イベント、ウェブ、そして「棚づくり」の実際。事業計画書から、開店後の結果まですべて掲載。個人経営の書店が存続していくための工夫とは。リブロ池袋本店マネージャー時代から、現在まで。文庫化にあたり、開業から現在までを書き下ろした新章「その後のTitle」を増補。
そんなに簡単にできるものではないんだなと思う。
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長年、チェーンの大型書店で働いていた作者が自分の店を持つまでの様子がまとめられている。
事業計画書などもついており、本気で書店経営を考えている人の参考にもなるなと思った。
池袋リブロの話も、学生時代に「ぽえむぱろうる」で詩集を買ったりして、好きだったので懐かしかった。
よく考えると、このお店(タイトル)に入ったこともある気がするのだが、週末だったせいか混んでいて、すぐ出たように思う。雰囲気はよかった。
個人経営で店をやるということは、気楽なようにも思えるけど、病気やけがで休むことがマイナスにすぐつながるし、ネット店と競合しなければならない。人や地域とのつながりや、イベントを打つことで売り上げを伸ばすしかないのは、そうだなと思った。
好きな本屋さん(例:ジュンク堂京都店)がどんどん閉店する!と思うけれど、そういう自分がその本屋さんでどれだけ本を買っているかといえば、さっぱりだということを反省した。とりあえず、今住んでいる地域に品ぞろえの良い個人経営の書店があるので、積極的にそこで本を買おうと思った。
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著者の人柄があらわれているような、丁寧な文章で、書店員時代から本屋Titleを開業するまでが綴られている。ぜひ訪れてみたい本屋さん。単行本の対談も読みたい
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わたしは書店がやりたいとも思っていないけど、結果として本当に楽しめた。自分の仕事との向き合い方を考えるきっかけをくれた本だった。
●「切実な本」「真面目な本」が売れている。
誰かが本気で向き合ったものが支持されるのは、どんなに世界が変わっても、わたしはあると思っているし、そうであってほしいんだ。
替えがきかない、誰かにとっての一番を、生み出したいのです。
●本はどこで買っても同じではない。
わたしにとってそれは、一乗寺の恵文社で買った安野光雅さんの「小さな家のローラ」だ。
広くて大きくて、冷たいようであったかい、あの本屋さんで買ったという思い出があるから、冬の北海道に行くときに読んだから、より一層輝いているんだと思う。
自慢でも謙遜でもない、淡々と語られる本屋開店に関する語り口が心地よい。
Titleは1回しか行ったことがないのだけれども、また行きたい。今度はもっとゆっくり棚を見て、そしてフレンチトーストが食べたいなあ。
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本屋は訪れる人の内側に化学反応を起こしてくれる。そんな場所を作って誰かを待つ、店主の開店の記録。理性的でていねいな文章が気持ちよかった。
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自分の店では、現在世の中で売れているベストセラーを混ぜながらも、ある価値観で統一された品ぞろえを核としていくということを基本にしました。Titleの場合、みすず書房、白水社、筑摩書房、平凡社など人文、文芸、芸術などのジャンルに強く、本の佇まいがどれも静かで品の良いものを多く出している出版社の本からその多くを選んでいきました。(p.104)
本を並べる際には以前から「意外性」ということを重視していました。お客さまが目的のものを探しやすくするために、独りよがりにならないということは大事ですが、あまりに教科書的に整然と商品が並んでいるだけでは、何か「引っかかり」が足らないのです。基本のジャンル分けは押さえながら、そこから何かしらはみ出るもの(たとえば単行本のなかに文庫本、新刊本のなかに古本、一般流通の本のなかにリトルプレス…)を挟んでおくと、その遺物間が引っかかりとなり、その本が実際に買われるかどうかはその本次第ですが、その置かれている棚は見てくれるようになります。(pp.160-161)
思った以上に、<人は誰かに何かを薦められたがっている>と気づきました。特に何となく本を読んでみたいという人に、そうした気分は強いのではないでしょうか。(p.163)
最近思うことは、「切実な本」こそ売れているという事です。「真面目な本」と言ってもいいかもしれません。著者が書くしかなかった、自らの底と向き合い、編集者がその想いを汲み取るしかるべき形で包み、それを丁寧な販促で伝えていく。マーケティングの発想からは、そうした本は生まれない。(p.193)
思うに、本屋に来て面白い本と出会うには、まず置いてある本に触れてみることです。「何をあたりまえな」と思うかもしれませんが、普段、本に慣れていない人は、本になかなか触ろうとしないものです。心理的な距離があり、いわば<遠巻きに見ている>という状態です。
本に触れてみることで、その手触りから、それが直感的に良いと思うものであるか、自分にあったものであるかということが自然と伝わり、その本の内容までもが、読まなくても何となくわかります。そうしたことを繰り返していくうちに、自分が本当に求めている本が、すぐにこれだとわかるようになります。(pp.195-196)
本屋の毎日の光景として真っ先に思い浮かぶのは、お客さまで賑わっている店頭ではなく、まだ店内に誰もいない、しんとした景色です。静まりかえっていますが、本はじっと誰かを待つようなつぶやきを発しており、そうした声に溢れています。
まったくのところ、本屋の仕事はこの「待つ」に凝縮されています。誰かやってくるかどうかはわからないのだけれど、とりあえず店を開けてみて、そこで待ち続ける。そのうち誰かがやってきて、ドアを開けてじっと本棚を見るかもしれないし、店内を素通りしてまたすぐに出ていってしまうかもしれない。そうしたことを幾度となく繰り返しながらも店を開けて、ひたすらそこに居続けるのが本屋の仕事の本質です。(p.201)