古事談 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
著者 区分表記なし:源 顕兼 , 編:倉本 一宏
鎌倉時代初め、源顕兼により編修された『古事談』は、王道后宮・臣節・僧行・勇士・神社仏寺・亭宅諸道の6巻から成る説話集。後続の『宇治拾遺物語』『古今著聞集』にも大きな影響を...
古事談 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
08/08まで通常1,188円
税込 832 円 7pt商品説明
鎌倉時代初め、源顕兼により編修された『古事談』は、王道后宮・臣節・僧行・勇士・神社仏寺・亭宅諸道の6巻から成る説話集。後続の『宇治拾遺物語』『古今著聞集』にも大きな影響を与えた。好色譚「称徳天皇が道鏡を愛した事」から始まり、貴人の逸話や故実・奇譚・霊験譚まで、王朝社会の多彩な説話が満載。清少納言・藤原道長・平将門・安倍晴明も登場。70話を厳選し、原文・現代語訳と書き下し文に解説を付した決定版!
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怪しい説話も集録した『古事談』の<眉唾もの>の面白さ
2021/02/14 16:22
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本屋の店先で『古事記』関連の新刊本かと手にした本書は、『古事談』という全然別物だった。鎌倉初期に源氏傍系の公卿 源顕兼(みなもとのあきかね)が、史料を渉猟して選別した説話を出家後に『古事談』全六巻に編んだものだと知った。
編訳者がこれを七十話に絞り、現代語訳文、読み下し文、原文、解説文の順に紹介したのが本書だ。特に現代語訳文は活字が大きく、漢字すべてに読み仮名が振られているので読み易い。
読み仮名は読み下し文にも施され、太字の文章を声に出して読み下すことで、古文がもつ流暢な味わいを読者に伝えたいとの古記録学者たる編訳者の想いが看て取れる。
「~し了(をは)んぬ。」とか「~せらる、~し給ふ」とか、久々に王朝風の表記に触れた。「~と云々」に「しかじか」と振り仮名されるのが説話集らしく、「うんぬん」と読む現代文と違い、とても新鮮に聞こえる。
説話の中味も、初手(第一巻)から践祚した女帝称徳天皇と愛人道鏡との下世話な醜聞記事めいたもので、驚かされる。噂高い世人たちが高貴な帝(みかど)のご寵愛の行く末を案じたとも、揶揄したとも受け取れる。
第二巻には公家社会の出世競争や家門の確執怨念に満ちた説話が載る。零落した清少納言の説話(五十五話)は、著名な女性に課せられた“有名税”の類いだろうか。小野小町や紫式部にも、晩年は「不幸」に塗れたとの伝説が伝わるもの…。
新任参議の名前の漢字「衡」をど忘れした記録役の上卿が、「行き」の中の魚の譬えを「雪」の中の魚と聞き間違え、思案の末に黒く塗って誤魔化した説話(八十四話)には、仮名書きが許されぬ任官記録への辛辣な皮肉が潜む。
第四巻「勇士篇」には、源満仲出家の逸話や平将門と平貞盛の因縁話、源義家献上弓の物怪退治話など、軍事に携わる新興貴族=武士が登場する。史実かどうかも怪しい説話もあって、<眉唾もの>の面白さに魅せられる。
都で帝や摂関家(藤原氏)に仕える家人となり、地方官吏の赴任地で実力を蓄え、郎党を庇護し、やがて棟梁(頭領)と目されるまでの堅忍不抜の一端が、源氏の末裔らしく、源顕兼の説話選択の不敵さ、記述内容の大胆さに窺える気がした。
鎌倉時代に編纂された貴重な説話集です。
2021/01/07 11:20
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、源顕兼という1160(永暦元)年から1215 (建保3)年という鎌倉前期の公卿で、刑部卿を務める一方で、藤原定家とも親交があり、有職故実にも精通していた人物によってまとめられた書物の現代語訳版です。同書は、王道后宮・臣節・僧行・勇士・神社仏寺・亭宅諸道の6巻から成る説話集であり、後続の『宇治拾遺物語』や『古今著聞集』にも大きな影響を与えたと言われています。好色譚「称徳天皇が道鏡を愛した事」から始まり、貴人の逸話や故実・奇譚・霊験譚まで、王朝社会の多彩な説話が満載され、清少納言・藤原道長・平将門・安倍晴明も登場します。同書は、その中から70話を厳選し、原文・現代語訳と書き下し文に解説を付した決定版となっています。ぜひ、この機会にきの古典を読んでみられては如何でしょうか?