夜明けのすべて （文春文庫）

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順風満帆に人生を送っていたにもかかわらず、パニック障害になり 生きる価値さえ見つけられず人生をあきらめ、１日を生きることが精いっぱいだった山添。
そしてPMSで自分の気持ちとは裏腹に負の感情を爆発させ、周りを混乱させてしまう美紗。

あるきっかけで美紗は、山添がパニック障害だと知り 気にかけるようになる。そして山添も次第にそれに応えるべく、友達でも恋人でもないけれど、同志として互いに助け合うようになり、あきらめかけていた人生が少しづつ動き出すことになる。職場の人たちも社長を筆頭に心の優しい人ばかりでとてもいい仲間で、本書のナイスバイプレーヤーたちなのだ。

パニック障害という病名は知っていたけれど、どんな病気なのか…読んでいて怖くて恐ろしくなった。一方、PMSで辛い思いをしている美紗が、そんな山添を大胆な行動力で気遣う姿はとても明るくて 時にふふっと笑えてしまう。

何かとても辛い事があって行動を起こせない状況になった時でも結局は、それを変えるのは自分しかいない。
ただそんな状況下、遠くても少しだけでも寄り添ってくれる人がいれば、それがきっかけになる（かもしれない）し、前に進めるくらい強くなれるんだと痛感している。

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ただの同僚が急に髪を切りに家に来るとか、郵便受けにお守りを入れておくとか、瀬尾まいこさんの小説の、ピュアすぎる男女の関係がどうも肌に合わないなと実感した。
相手のために突拍子もなく大胆な行動に出ているのに、ラブではなくライクな関係かぁ。
現実世界なんだけど、ある意味ファンタジーかなー。と思う。

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優しい世界で読みやすくてあっという間に読み終えた

しんどいことを抱えた2人の同僚、異性だけど恋人でもなく、特に好きでも無い関係の2人が、少しだけ前を向けるようになるまでのお話

映画化原作なのですでに発表されてるキャストさんがチラつきました

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私の身近ではあまり聞かないことがよいことなのかはわからない。
ただ外からではわからない人の悩みを誰かや何かが変えてくれることもあるだろう。
山添君の後半の勢いは本来こういうタイプの人なんだなあと思ったよ。自転車を手に入れてから羽根が生えたように速いな。
藤沢さんの状況は女性ならばわかるところもあるだろうけど、我慢できなくなるのはつらいね。その後ちゃんとフォローしようとするのが彼女のよいところ。
すごい大きな事件があったりするわけじゃないけど、読後感がすこし軽くなるのがよい。その軽さが大事なんだなあ。

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パニック障害、PMSに向き合う2人の登場人物の辛い思いや苦悩が前半描かれていた。後半に向かって、自分の病気の解決策を探すのではなく、いま何をすべきか何をやりたいか希望を見つけ、行動する姿に元気をもらった。病気のせいにするのではない。何ともない日々自然を感じながら、人と接し生きていくことが心を豊かにさせていく。

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タイトルが優勝しているので読んでみた。
優しい世界。社長、良い人すぎる。
とても読みやすい。
特に山添くんの変化には、良かったねえと思った。

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タイトルがぴったりな一冊。序盤は荒れてます。藤沢さんやりすぎだし、症状激しすぎでちょっと合わないと思いました。でも、藤沢さんの押し付けが段々と山添さんを変えていって、最後は夜明けが少し見えるところが朝焼けを見たような「わぁ」という気持ちにさせられます。読後の爽快感、読んでよかったと思わされる本です。

●パニック障害のままならなさが伝わってくる
発症は突然で、以後コミュニケーションもできなくなる。そして、治療は１０年単位で先が見えない。急にできないことが増えて呆然とする様子、人生に諦めを感じている様子が本書から伝わってきました。ボーとしている人が薬のせいだったら？でも知られたくなくて公表していなかったら？どんな社員でも包容力のあった栗田社長はまさに年の功で実際にはなかなか巡り会えないと内心思うからこそ温かさが身にしみました。

●良くなるときは何気ないきっかけ。
本書では、藤沢さんの盲腸をきっかけに山添さんの行動が大きく変わっていきます。その変化は、知らない人が見たら「気の持ちようじゃん、やっぱ運動じゃん」と言われてしまうと心配になるほどです。でも本人からしたら、決断の積み重ねの結果だったりするんです。外野があれこれ言わずにそっとしておくのがいい薬だったりするんだなと思いました。本書の登場人物はその辺の距離感がとても上手でした。（藤沢さん除く）

●他のかたのレビューにもありましたが
出版社の水鈴社HPにある著者瀬尾さんの直筆お手紙見てください！本書の展開は瀬尾さん自身の経験に沿っているんだと再認識させられます。
該当ページ：https://www.suirinsha.co.jp/books/detail1.html

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パニック障害やPMSはまだまだ理解されにくい病気で、精神的に弱いとか大袈裟だとか言われがちです。
自分でコントロールできない症状が丁寧に表現されてます。自分自身が一時的にパニック障害になったこともあり、共感できることも多かったです。
藤沢さんのお節介の度がすぎてますが、いつしかお互いを気にかけ、良い方向に向かう二人。病気に理解ある職場に優しい同僚たち。なかなか、こんなに優しさの溢れる職場はないだろうなとは思います。
周りにパニック障害やPMSで悩んでる人がいたら読んでほしい本です。実際、心配しすぎてもいけないので難しいなとは感じますが、知ることは大切だと思います。

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本書は、PMSで苦しむ美沙と、パニック障害を患う山添の視点が入れ替わる形で構成される。
私には聞き慣れない病名であったが、仕事を辞めざるをえなかったりと、人生に大きな影響を与える病気であることがよく分かる。
そんな病気を抱える2人が、物語が進むに連れて、少しずつ前向きに生きることができるようになっていく姿に希望を感じることができる作品でした。

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私にはPMSもパニック障害もない。
けど病名がないだけで、二人に通じる生き辛さやままならない自分を抱えた人はきっと想像以上にいて、そんな人にこそ届けばいいと思う一冊。

冒頭、藤沢さんが昼休み一人だけ外出した手前、皆にも何か買うべきか?女が二人の職場で一人だけ配るのはよくないか?といちいち逡巡する場面なんて、そのまま自分を見ているようで痛ましさすら感じた。
(そして自分は悩むだけで実行に移す度胸はないし、肝心なところで気が利かずに目上から「こういう時はね…」と諭される事もしばしばである)

現状ですら「ここにいるのが私なんかでごめんなさい…」という漠然とした申し訳なさで胸が詰まる時があるのに、ましてや、周囲に突然キレ散らかしたり、いつ倒れるかわからない爆弾みたいな体質を抱えていたら、きっと生きていてはいけないとすら感じるだろう。

でも、私は自分より明確に"面倒"や"心配"をかけている二人を「生きていてはいけない人間」だなんて、微塵も思わなかった。
むしろ、彼らが淘汰されて行き場を失うような世界は冷たくて嫌だなとすら思う。
病気や障害は誰の責任でもない、ましてや本人の気持ちではどうにもならない事はたくさんある。
社会の規範に綺麗に当てはまる人間ばかりじゃないのだから、どんな人だって生きていていい。
そして、それは私も同じだ。
当たり前の事だけど、「どんな人だって」にはもちろん「自分なんか」も含まれている。
世界はどんな私も追い出さないし、間違えば諭してくれる。
もし行き場をなくしたように見えても、この広い世界で人間一人の居場所が全くないはずはない。
生きてる限り、何かが誰かがここにいてもいいと言ってくれているんだと、信じてみようという気持ちになった。

月並みで凡庸で教科書通りの結論だけど、それを上手く飲み込めない人がいるのも事実。
瀬尾まいこさんの作品は、いつでもそれを優しく咀嚼してくれる。

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PMSで月に一度爆発してしまう藤沢さんと、パニック障害でひきこもりに近い生活をしてる山添くん。お互いの事情をしってからの遠慮のなさが雑でいい。家族でも友達でもないけど自分の弱いところを曝け出せる人が1人いるだけで救われるだろうなぁと思った。

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外傷は、見た目で大変そうなのがわかるが、
パニック障害やPMSは、
まわりに辛さが伝わりにくいね

お仕事系の小説では、
バリバリやって成功するとか、
ドジで失敗しながらも成長していくとかが
多いけれど、本書は少し毛色が違う

でも、読後のホッコリ感は
みんなとも共有したいな