紙の本
古都から誕生した新しい命
2024/04/20 06:20
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
余所者の園子たちにも回ってくる、お地蔵さんの掃除当番がいかにも木屋町らしいです。マリアナの鰻からペルーの炭坑まで、生命の流れに圧倒されます。
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出産の一日を切り取ったお話。
母親が経験する痛み、胎児の戸惑いが迫ってくる。自分も色々な光と音、匂いに包まれているような気分になった。
141ページと薄いけど、濃かった。。最後のバースプラン、ステキです。
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いしいしんじの息子さんの誕生の時をモチーフに描かれた、いきもの=いのちが生まれる瞬間。
生きてはいるけどまだ何者でもない状態。その象徴として、うなぎの幼生「レプトセファルス」が繰り返し登場する。どこから来るのかわからない(つい最近わかった)。こんなにも小さい。これから何になるのかわからない(何の幼生なのか大きくならないとわからない)、何かになったと思ったら変わってしまう(オスとメスを行ったり来たり)。
私が直前に読んだ福岡さんの動的平衡論の影響を受けているせいもあると思うが、「生き物はモノではない」「いのちとは名詞ではない動詞だ」というメッセージが伝わってくる。
いしいしんじは変わった、と感じたのが『みずうみ』。解説によると、本作品はその『みずうみ』とつながっているという。読み返してみよう。
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こんどこそは、この世に生まれてきてくれる――。ひとつの命の誕生という奇跡をのせて、天体は回転しつづける。人生最大の一日を克明に描きだす、胸をゆすぶられる「出産小説」。
出産前に読んでおきたくて、予定日まであと17日というところで読了。
いしいさんの作品で現代が舞台のものは初めて読むから、どんな感じなのかなぁと思ったけど。くるくると情景が変わっていって、やっぱり不思議な感じ。
陣痛〜出産シーンは壮絶…。〝お腹の中の小さな「いきもの」〟目線がとても良かった。
バースプランは泣いた。
2020.7再読
こないだ読んだ「京都ごはん日記」のすぐ後の出来事。
いしいさんと園子さんの赤ちゃんのお話。
前に読んだ時は出産前だったけど、出産後のいま読むと陣痛の描写にうんうん頷いていた。
『だんだん人間でなくなっている、見まもる慎二はおもい、いっぽう園子には、そんなことはもうとうにわかっていた。』
『気絶できればまだ楽なのに、からだは燃える筒のように覚醒し、痛みとまぶしさのあまり目をつむることもできない。』
お腹の中の「いきもの」の目線。
『あらゆるものと一体だった自分が、いまはもう、すべてから切り離され、そうして、その切り離されてしまったものの影武者ばかりが、まわりにどさどさ無秩序に転がっている。』
確かにそう考えると、いきなり外に出され今まで一緒にいた紐やぶよぶよと離れて心細いし泣きたくもなるよね。
妊娠出産は神秘。
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意味がわからないようなわかるような。
また読みたいような読みたくないような、
面白くなかったような面白かったような。
不思議な感じ。。
数年後にまた読んでみたい。
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もうすぐ出産を迎えるわたしに友人が贈ってくれた一冊。
いしいしんじという人は神様みたいだ。出産するのは自分ではなく妻なのに、ましてや胎児でもないのに、陣痛の苦しみ、胎児がこの世に生み出される瞬間の思いを、ものすごく鮮明に、詩的に描いていて、凄い。まさにいのちの誕生の奇蹟。
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園子の出産場面、最後の手紙でボロボロ泣いてしまった。
本を読んで泣いたのは『西の魔女が死んだ』以来だと思う。
最初の方こそ、登場人物2人の視点があっちにいったりこっちにいったり、ハモやうなぎの話をしたりで読みにくい小説だなぁ、と思ったけど、読み進めるとそれらが全て『生まれる』ことや『生命のエネルギー』や、その逆にあるであろう『死』に繋がっていたのだなぁ、と感じる。
京都の街を舞台にしているのも、伝統行事や錦市場の色が作品にすごく良いスパイスになっていると思う。
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読み進めていくうちに、タイトルの「ある一日」を実感してハッとした。
1つ目は、この小説が一日ちょっとの出来事であること。
いしいしんじの言葉巧みな描写が、「ある一日」にこれほどの読み応えを与えている。
そして、もう1つは当たり前だけど「ある一日」の過ごし方は人それぞれ違い、どこかで違うドラマが起こっているということ。
登場人物以外の時間の存在を認識することで、「ある一日」の奇跡をより感じた。
記憶はないけど、何故か「いきもの」に共感する傍ら、
読者としてこの奇跡に純粋に感動できる、そんな物語です。
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園子さんの出産を私小説として描いている。
ごはん日記のファンなので、やはり事実は日記として読むのに敵わないのだが、
出産の描写は未経験者にはとても恐ろしく、かつ、尊い。
園子さんのバースプランが巻末に載っているのもよかった。
高齢出産ということもあり、いろんなひとに希望を与えるとおもう。
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恐らくは作者自身の、ある夫婦の出産の一日。日常からはじまり陣痛を経て出産へ至る過程が、実に濃密にでも淡々と描かれています。独特の言葉遣いや、こちらとあちらを行き来する文章に圧倒されながら、ずんずんとお腹の底から力が湧き出てくるかのような気持ちにさせられます。
視点は夫から妻へ、妻から夫へと移り変わり、そして生まれて来る子の視点へと繋がります。それは生き物の持つ道であり、土地が結んだ道でもある。
最後にバースプラン(どのように出産したいかを記したもの)が提示されるのですが、それを読むと今まで通った道をもう一度振り返りたくなります。何とも力に満ちた物語でした。
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前半ははもとまつたけを食べる2人が印象的。
そして園子さんの出産シーン。私もつい3ヶ月前に体験したのが誇らしく思えるぐらい、神々しくて、奇蹟に近い営みなんだと思わせてもらえた。
母親目線だけでなく、これからまさに産まれ出ようとする胎児の目線で書いてある文章はものすごかった。手に汗を握るぐらいドキドキした。
また読み返したい。