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紙の本
「あなたこそ自分を何サマだと思ってるの!?」「あたしは薬師寺涼子サマよ!」
2006/06/06 07:00
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
警視庁史上、最強にして最凶の薬師寺涼子警視がパリの大学で特別講師として招かれた。もちろん、忠臣・祐筆、その他諸々の肩書きを持つ泉田準一郎警部補も強制同行。空港に着いた涼子たちの目前で、老人がリスのような生物に脳を吸われ死亡してしまう。奇怪な生物が引き起こした事件に、涼子は嬉々として単独捜査を開始!被害者が、日本の巨大ハイテク企業・アルゴのヨーロッパ総支配人・藤城奈澄邸の使用人と知った涼子は、パリ市内の藤城邸へ突入するが…!!
「吸血鬼美夕」の垣野内成美さんの艶やかな表紙イラストのバックは巴里の街並。「魔天楼」「東京ナイトメア」と、「国内ではもう暴れ足りないわ」とでも言いたげに無敵のヒロイン、涼子は海外に飛び出した。言語に堪能な彼女には、言葉の壁も存在しない。偶然そこに親子二代の宿命のライバルである室町由紀子と、その部下でコスプレおたくの岸本も登場すれば、もうこれは、何も起こらない方がおかしい。それに本人が事件を恐れるどころか、渦中にどんどん入り込んでいくタイプなのだから、「どうしてこう行く先々で怪物だの妖怪だのが出現するんだろうと…(p26-27)」という泉田のボヤきは虚しく響く。さっきの問いに「たぶん、あたしたちは普通じゃないのよ」と涼子に応えられて、「自分も普通じゃない」事にされてしまった泉田、誘拐されてしまう岸本、「風紀委員」と呼ばれて思わず反論したり、涼子の言い方がうつって、つい「わたしたち」と言ってしまう由紀子達、周囲は次々と涼子タイフーンに巻き込まれてしまう。対するのは、フランス大統領の愛人ともいわれる妖艶な藤城奈澄と、「東の涯の国からひとりの女が災厄を運んでくるぞよ」とお告げをのたまう花園すみれ(や、八つ墓村か?)。かくて、泉田の言葉を借りれば、女帝対女王の戦いが、パリで勃発する(涼子も「これは戦争よ!」とのたもうている)。そこに悪徳官僚が絡んで来て…という毎度お馴染みのパターンなので、後はただ、決まっているラストに向かって馬車馬の如く一直線に進むストーリーに身を委ねていればいい。さて、こんな天下無敵の涼子にも、悩みがある。「お由紀のいうことは聞いて、あたしのいうことは聞けないのか、こら!」なんて台詞に、刊を重ねる毎に、段々明らかになっていく涼子の泉田への思いが読み取れる。でも、寄せられている当人があまりに鈍感で、ちょっぴり涼子が気の毒になる。でも、「この二人を安易にくっつけないで下さい」というファンの要望も無視できないだろうから、当分はこのままの距離感なんだろう。ああ、可愛そうに。いや、寧ろ今の方が幸せなのだろうか?
紙の本
唯我独尊のお嬢様、巴里へ。
2001/09/04 12:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらず涼子の唯我独尊ぶりは止まらず凄まじい。相棒の泉田刑事もようやく彼女の扱いに慣れてきたのか、その暴走に遅れを取っていないあたりに思わずニヤリとしてしまう。そして実は密かに泉田刑事と涼子の仲が気になっている現在。続きは出るんでしょうか?
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