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加藤周一セレクション 4 芸術の個性と社会の個性 みんなのレビュー
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紙の本
日本の知性って、捨てたもんじゃない、そう思わせてくれる本にであった
2002/12/05 20:29
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなにも頭にいい人が世の中にはいる、素直にそう思わせてくれる人は中々いない。感じが悪い、性格がちょっとね、あの顔つきがね、いかにも頭がいいってポーズがねなど、どこかでアラを探さないではいられない。でも、加藤周一の文章を読むと、吉田秀和や塩野七生、小谷野敦などに見られるホンモノを感じて、思わず「参りました」といいたくなる。
現代では、芸術の様式について盛んに論じられるが、その質については触れられることが少ない。そこには、質を論じれば、現代美術などの評価そのものが成り立たなくなるといった、私たち鑑賞者にとっては全く意味も無い事情もあるようだが、こういったことについて加藤は極めて分りやすく解き明かしてくれる。
それは1995年に東京で開催されたブーレーズ(現代フランス作曲家。最近は指揮者として活躍)フェアでのピアニスト ポリーニの演奏から、終戦後間もないウィーンでのベルクのオペラ「ヴォツェック」、シーレやクリムトの絵画、バウハウスから京都の寺院や桂離宮、そして竜安寺の石庭などの広い分野に及ぶ。それらについて分りやすく、もっと知りたい、実物を見たいと思わせるように説く。
世界中で様々な文化に肌で触れた経験が生き、絵画、オペラ、能、そして戦争責任などについて広範な知識を駆使し、透徹した文章で語るという点では、吉田秀和に通じるところがある。「絵の中の女たち」「野村万蔵の藝」「現代オペラの問題」などは、どれをとっても面白いし、ためになる。戦時中、客のいない能楽堂で一人、能を鑑賞していたという意志の強さには、驚きを越えた感動を覚える。
『セレクション3 日本美術の心とかたち』でもその透徹した視線と、それを表現する明快な文章には脱帽した。引き続き文学論も読まなくてはいけない気になる。コンパクトな造本の中に日本の最高レベルの知性が詰め込まれた、もったいないようなシリーズ。
紙の本
『加藤周一セレクション 4』
2016/03/08 05:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シエル - この投稿者のレビュー一覧を見る
物凄く多産で著作数・対談集などが多い人だから読み尽きるのは不可能に近いがこの博学多才さは本当に恐れ入る。
元は東大の医学生でそのまま医局で勤めて終戦。
その後転じて、著作と同時にフランスからイギリス~ドイツ~オーストリアなどにアメリカでも住んでいた人だ。
本人はその事に余り書かないが英仏独にスペイン語ぐらいまで理解できるんじゃないかと思う。
日本では「9条を守る会」などの左翼的活動で知られるがそれとは別に本書のように芸術論については本人が色々な国や場所にその美術館などを通じて芸術品に触れているからこそ書けるもので本人は芸術家じゃないと言うだろう。
それにしても万葉集が出来た奈良時代は聖武天皇の仏教布教と東大寺の大仏の創建など仏教が色濃く政治から民意に至るまで影響した時代でもあるのに、万葉集には仏教色が全くないと良く気付いたなと思うな。
目のつけどころが違うと言うか、モノの見方が我々とは全く違った観点から見ていないとこう言う鑑識眼は出来ない。
更にそこから敷衍しての諸外国の芸術・美術品とその論についてが本書における400頁長の様々な著作と言うことなんだろうがそれぞれが成程ねと言うより良くそんなことまで知ってるなと言うことの方が多くて、学ぶと言うより驚嘆する以外にない。
もう少し、今度は国内の政治的なことを含めて読み続けてみようと思う。
ネタが尽きるのとこちらの財布が尽きるのとどちらが早いかみたいな感じ。
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