紙の本
メタファーとしての物語り
2004/09/14 14:37
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投稿者:24歳 - この投稿者のレビュー一覧を見る
河合先生は臨床心理士の質問にメタファー的態度でお答えになっているところがおもしろかった。臨床心理士としての河合先生の態度もそのようなものであるのかもしれない。
なにかこころやからだに問題や困ったことが起こったとき、それを解決(あるいは少し楽にする)ときの方法の一つとして、物語を読むような方法がある気がさせられた。
他人のこころだけでなく、じぶんの気持ちも手法ではなく、物語を読んだら少しわかったということがあるような気にさせられた
紙の本
自分の心を見直す参考に
2003/02/09 18:10
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投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中堅の臨床心理療法家が、治療の現場で悩み、疑問を持った事柄を、ベテランの 河合隼雄先生に手紙で質問し、それに答える形で、心理療法の実際、クライエントとの関係、経験、等を語っている。個々人の被治療者と治療者、関連環境の違いがあり、事例を一般化することは、危険ではあるが、個々の事例の解説を聞くことで、臨床心理療法家でなくとも、自分自身の心理分析や、人との付き合方、の参考になる。
紙の本
エッセンス&乱反射
2001/10/24 21:10
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投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
より深く理解した人ほど鋭い質問ができるんですね。河合隼雄さんに対して、17人の心の専門家が多様で切実な質問を投げかけます。それらの優れた質問が、河合さんのエッセンスをどんどんくみ出してくれます。その様子は、乱反射するミラーボールのようでもありました。
臨床心理家としての自分に「だめじゃないのか」と自問自答する姿勢を失ったとき、その人の進歩が止まる。そんな言葉が、胸に残りました。
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心理療法家として現場に出ている人たちとの対談を通じて
人とどう関わっていくか・・・
河合さんの姿勢を語っている本。
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ユング派診療療法を用いる著者が大学教授、心理分析士等様々な方からの質問に答えるという形式で書かれた本。
臨床心理士の心構え、あり方、向き不向き、また現代の日本人・子供の精神等について語られています。
臨床心理士といえども人間なので、苦悩や試行錯誤等様々あって、やっぱり大変そう。人格者でないととてもじゃないけどやっていられない仕事だなと思う。
本の中でも、時には父性原理で対応しなくてはクライエントの新たなる展開は始まらない。という内容になるほどなぁと思いました。
特に日本人は母性原理(保護、受容)で対応しがちになるそうですが、父性原理(切断)によって自己の確立を促すことが必要だそうです。
患者の甘え、怠惰に対して「そんな風な態度ではこれ以上治療にきてもらう必要は無い」とか。
ハッキリ言っちゃう。素人からすると精神的に参っている人に対応する時に、そんなこと言ったら大変なことになるんじゃと思うし、場合によっては逆効果だろうから安易に真似できるものではないですが。
そのサジ加減を上手く行うことで良い方向に導くことができるんだとか。
でも父性ってなかなか難しい。昨今、父親が弱くなったとか言いますが、弱くなることがいけないとは限らないと思う。けど家庭内での存在が薄くなっているのかもしれない。
恐怖を植えつけるためだけの”殴る””蹴る”等の暴力的な手段による強制はいけない。粗暴さではない力。例えば態度・言葉でもって父性を示すということが重要だそうです。
そりゃ殴る蹴るしてくる父さんは怖いので言うことは聞くでしょうが、「この野郎…」って心の中で思って決して尊敬はできないだろうし。
男は黙って態度で示してここぞという時にビシッと決めるとかだったらカッコイイ。
でもそれが一番難しいだろうなぁ。
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自分の一言が相手を自殺に追いこむ可能性を常に含んだ現場において、治療者もクライエントも命がけの対話をしている。本当に難しく、厳しい職業だと思う。
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人の心がわかるには、まず自分の心の動きがわからなくては、と思う。カウンセラーの仕事は、クライエントの話を聴いているだけと思われるが、その中で「仕事とは何か」「遊びとは何か」「生きるとは」などと考えている。それを深めていくと、カウンセラーとしての、というより、人間として幅がどんどんふくらむ。
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線をひいて控えておきたい文章がたくさん!繰り返し読むことにより、知らず知らずのうちに、ものの見方に影響を受けた。そのことは自分のためになったと思う。
(2007年夏購入)
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この人の本を対談じゃなくてちゃんと読んだのは、「こころの処方箋」以来なのかもしれない。といっても、口述筆記だそうですが。わかりやすいことばで、一応臨床心理士に向けても話していて、とてもよく理解できた。しかも、行動療法の話が出てきた辺りでは、なるほどなるほど、こういう見方もあるのね、と面白く読んだ。でも、やっぱりなんていうのかな、臨床心理士の人が書けば、臨床心理士中心になるのだなぁ、と思ったのであった。ちょっとはこういう本も読もうっと。
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「人間の心がいかにわからないかを骨身にしみてわかっている者が『心の専門家』である」と、著者の河合隼雄先生は語られています。「心」に何かしら携わる限り、そこには「謙虚さ」が必要であると、改めて感じさせられました。
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さまざまな場所で働く心理療法家=カウンセラーの悩みに対して、心理学の最先端を行く河合隼雄さんが丁寧にアドバイスしていく様子を本にしたもの。
今メディアで話題になっている様々な問題について、心理学的な観点からの意見を知ることができる一冊です。
例えば家庭の問題で言うと、子供の非行。これは一般的に知られている親子間のコミュニケーション不足ということ以外にも、昔と比べて優しくなってきた父親、女性の社会進出によって積極的に仕事に出るようになった母親などといった、一般的にプラスに思われていることも原因であるそうです。
他にも、若者の無気力、西洋と日本の考え方の違いと、それによって引き起こされる過労など、雑学的ともいえる現代の社会についての知識を吸収できます。
タイトルの「人の心はどこまでわかるか」ということについては詳しく書かれていないため、それ“だけ”を知りたい方にとっては面白くないかもしれません。
しかし人の心理について知りたい方には、ぜひともおすすめの本です。
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心理療法家の大家である河合隼雄先生に、心理療法家の中堅の人が質問をして、それに答えるという形式でまとめられた本。
それゆえ、一般人向けではないかもしれない。
私としては、悩んでいる後輩から相談された場合、自分ならどうしようかと想定して読んだ。
面白い話も多々あったが、結局、相手の話を真剣に聞くことが大事だ、ということを言っている気がする。
正直、読んだ後に印象に残る話は少なかった。
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病気が治ってしまうと寂しくなって死んでしまう人...なるほど。河合隼雄先生の発言は、説得力があります。
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心理療法家が主なテーマだけれど、
それ以外の仕事に対する情熱みたいなものの大切さも気づかせてくれました。しかもすんなりと。
絶え間ない勉強勉強。
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現場で活躍する心理療法家たちのさまざまな質問に答えるかたちで出来上がった本である。気軽には読めるが、読むほどに人と人のかかわりについて胸にしみるような言葉が多かった。
現場で苦労する心理療法家たちの真剣な質問に、著者も熱心に語り、小冊子ながら奥行きと幅のある、良質な本になっている。著者が、来談者にかかわる姿勢が、じかに感じられる。
深いところにどんと安定して来談者にどこまでも付き添っていく限りない包容性。それでいてちょっとした言葉の端はしに、こちらがハッとするような細やかな指摘があったりして、じつに参考になる。
心理療法について語りながら、人間と人間との関係についてのもっとも深いところに平易な言葉で触れていく、魅力的な本だ。