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君はこの国を好きか みんなのレビュー

  • 鷺沢 萠 (著)
  • 税込価格:4824pt
  • 出版社:新潮社
  • 発行年月:2000.4
  • 発送可能日:購入できません

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みんなのレビュー17件

みんなの評価4.1

評価内訳

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  • 星 2 (1件)
  • 星 1 (0件)
15 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

国籍に悩む。

2010/07/30 08:59

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

君はこの国を好きか 鷺沢萌(さぎさわもえ) 新潮文庫

 この作家さんのインタビュー記事を読んだのは5年から7年ぐらい前のことでした。そして、まもなく彼女は亡くなりました。自殺でした。そのようなきざしはまったくなく、突然のことでたいへん驚きました。日頃から、作家とは、自殺と隣り合わせで物を書く仕事だと感じています。
 作者は在日韓国人です。その視点で小説は書かれています。本には小説が2本掲載されています。「ほんとうの夏」そして「君はこの国を好きか」です。
「君はこの国を好きか」
 「君は」は、在日韓国人を指します。「この国は」は大韓民国です。作者は主人公である木山雅美さんになってこの小説に登場します。日本に生まれて、日本で育ったのが在日韓国人3世の雅美さんです。彼女は、韓国へ留学します。在日韓国人、そして韓国で生まれ育った韓国人の大学生たち、さらに韓国人の大学教授、自分の親族、下宿や食べ物屋の人々が登場します。
 人付き合いが濃厚な韓国社会となにかと過ごしやすい日本の生活を比較しながら、韓国人になりきれない、かといって日本人ではないという、心の整理がつかない状態が続いた雅美さんは心も体も不安定になります。彼女のハングル文字に対する興味は強く、ハングルと漢字の関連に熱中したりもします。ふたつの名前をもっていること、選挙権がないこと(韓国の選挙権はあるのだろうか。)などが語られる反面、年齢の上下にこだわる、プライバシーの保護がない窮屈な韓国社会に対する違和感があります。さらに恵まれた日本の大学生と経済的に親に頼ることができない厳しい生活を送っている韓国の大学生をみて、雅美さんは、自分はこれでいいのかと悩むのです。彼女はか弱い。そして若い。
 10代から20代にかけて、対象物(人、場所など)に対する憎しみが愛情に変わる時期があります。不自然なことではありません。彼女の場合は「韓国」あるいは「韓国籍」でした。
 韓国金浦空港へ向かう飛行中の飛行機の中で降ろしてくれと泣き叫ぶパニック状態の雅美さんには困りました。迷惑なおねえちゃんです。拒食症なのでしょうか、彼女は食べたものを吐き続けます。国(国家)は自分を守ってくれない。守ってくれるのは「人」です。ひとりでもいいから慰めてくれる人がそばにいてほしい。

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紙の本

在日韓国人の覚束ない毎日を描く秀作二編。絶版なのが惜しまれる。

2010/01/04 08:28

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る


 「ほんとうの夏」と「君はこの国を好きか」の2つの中編を収録。前者は1992年、後者は1997年に発表されました。

 俊之は在日韓国人。そのことを告げずに芳佳とつきあっている。彼女を乗せて運転中に追突事故を起こし、警官に提示しなければならない免許証から自らの国籍を知られることを恐れた彼は、芳佳をじゃけんに遠ざけてしまう。(「ほんとうの夏」)
 在日韓国人の雅美は“母国”に留学する。しかし日本人に比べるとあまりに濃厚な韓国人たちの対人距離感、そして在日僑胞への疎外意識に強い拒否反応を示してしまう。(「君はこの国を好きか」)

 二人の20代の若者は、自分の国籍から来る足元の不安定な揺らぎを常に意識せざるをえません。
 この物語を読む私は、自分では普段決して抱くことのないそうした心もとなく覚束ない思いを主人公たちとともに味わい、めまいを感じるほどでした。

 私もちょうど90年代後半に雅美同様「ハングルに感電した」くちで、かの地の言語を学び、かの地に旅をしたものでした。そしてまた雅美同様、濃度が高い国民性に臆してしまった記憶があります。

 しかし私にとって韓国は「帰国する場所」ではなく、思いのままに距離をとることがかなう国でした。それに対して俊之と雅美にとってそれは抜きがたく自らの体内に組み込まれた存在であり、同時にまた異分子として排除してしまいたいものでもあります。かかえきれない自分を強く意識し続けるこの生活の戸惑いを、鷺沢萠は実に見事に描いてみせます。

 そして、どちらの物語も若い主人公たちは困惑をすべてぬぐいきったわけではないにしろ、ともかく前に一歩踏み出す道を選びます。一夜にして彼らの苦悶が晴れるわけはそもそもありませんが、その場に戸惑いながらとどまることだけはすまいとする彼らの姿に、希望を感じるのです。

 ともに当時、芥川賞候補となっただけのことはある、読者をうならせる作品二編です。

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2006/10/11 00:47

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2009/07/30 22:18

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2010/05/25 22:17

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2011/05/12 20:20

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2012/03/15 18:31

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2012/08/14 18:39

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2013/08/24 14:55

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2015/04/13 21:54

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2018/03/14 22:27

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2021/05/06 08:23

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2021/12/14 11:40

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