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紙の本
実在を思考する鍛錬
2004/10/09 13:24
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:碑文谷 次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「読解の斬新さが際立つ」ドゥルーズの読み方に沿って、ベルクソンを解読する試みの書である。
著者は、「シリーズ・哲学のエッセンス」(NHK出版)で「ドゥルーズ」を担当し、差異や多様性を肯定するこの哲学者の思想を、植物か動物か定かでなく、さまざまなかたちをとるタマホコリカビを引き合いに出して、「自己と他者という区分」に疑問符をなげかけ、「あるべき個体」などない、そしてタマホコリカビと同じ生命体である人間にとっても、あるべき自己・主体性・個性などあるのだろうか、という簡明なエッセンスに凝縮して見せたことがある。
ただし、本著はベルクソンの平明な要約本ではない。ベルクソンを平易に語ることなど意味が無いしそもそも不可能ということであろうか。
したがって読者は辛抱強く著者と共に思考するほかない。例えば、「ベルクソンは、実は現在は存在しないというのである。身体の現実的な運動とその有用的な認識を存在の範型と考えることは、現在を特権視することからくる偏見にすぎない。持続の流れを実在と考えるならば、現在は存在するとはいえないのである」という一文を何度も反芻して少しずつ山を上る努力を継続する以外に、ベルクソンには到達できないようである。
岩波的哲学専門用語もないが(ただし、例えば「機制」という用語は「しくみ」くらいでよいと思うのだが)、流し読みの出来る本ではないことをまず覚悟しておかねばならない。もし初めてベルクソンに挑戦するなら、先の「シリーズ・哲学のエッセンス」の「ベルクソン」(金森 修)でエッセンスをつかむことをお勧めする。
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