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紙の本
2000/6/4朝刊
2000/10/21 00:15
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
母親が育児や子育てに悩みや迷いを抱えるのは、今に始まったことではない。にもかかわらず、幼児虐待にいじめといった、母や子を取り巻く問題がかくも話題となるのはなぜか。「都会に比べ人間関係がまだ傷んでいない、と思われている」長野県で取材した地元紙の長期連載をもとにした本書は、当事者たちの生々しい声をあくまで淡々と伝え、問題の根深さを浮き彫りにしている。
生後四カ月の女児殺害に至ったケースをはじめ、我が子になぜかつらくあたってしまう母親の姿を追う。経済上の理由、頼れる相手の不在、婚家とのきしみ、さらには自身も忘れていた幼少時の親との関係など、様々な背景が見えてくる。「よい親」を高く評価する社会の視線を気にするあまり“完ぺき主義”に陥る彼女たちに、少なくとも悪意はない。
競争社会の中で親が子どもに過度の期待をかけることは、子どもにもストレスになる。中学生への取材からは、目立たない、本音を言わない、仲間の輪からはみ出さない、といった処世術が浮かび上がって悲しい。心身症、自殺願望といった言葉で描写される若者の意識の中に、「ニュースを見ていても、嘘ついている人の事件ばかり」という大人社会への不信感が横たわっていることが伝わる。
肉声を丹念に拾った本書には「ウチの家庭は」「我々の子どものころは」と軽々に口をはさめない重みがある。「反響はすべて母親から寄せられた」ことが、男性が果たす役割の大きさを、裏返しの形で示している。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
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