紙の本
大地震でも倒れず,火をさえぎった土地本来の樹木。今こそふるさとの鎮守の森再生をすべきだと説く
2000/09/14 00:15
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投稿者:杉山 由美子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
阪神・淡路大地震後調査した植物学者の著者は,予想が当たっていたことを確認する。すなわち神社の森は鳥居や社殿が崩壊しても倒れていなかった。さらに著者のいう潜在自然植生の木(その土地に最も合った木)は,防火の役目も果していたのだった。
日本の国土は60%が森林に覆われているが,今やスギやヒノキなどの生態系を無視した森林ばかり。かくして森はジャングル化し,スギ花粉症のような2次災害まで引き起こす。それに対し,昔からある鎮守の森の生態系はみごとだ。土地にあって自生できる木が高木から低木,草木まで複雑で合理的なシステムを作り,伐採や管理をしなくても豊かでみごとな林を形づくり,しかも人々を地震や火災から守っている。
潜在自然植生を再生するために日本はもとより熱帯雨林の再生にも尽力する著者による「鎮守の森」づくりの案は力強く,日本人の潜在意識に迫ってくる。巻末に著者と意気投合した大本山(曹洞宗總持寺)の貫主との対談は含蓄が深い。読後,木々のうっそうと生い茂る鎮守の森を訪れたくなるだろう。
(C) ブックレビュー社 2000
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潜在自然植生に基づき、3000万本の木を植えた植物生態学者、宮脇昭氏の本。
私達が普段目にしている雑木林も、実は土地本来の森ではないと知っていましたか?
土地本来の潜在自然植生により木を植えれば、森は二十年で再生し、
その後千年、二千年と生き続けるのだそうです。
二十年で再生する、と聞けば、なんだかいろいろな事が、
まだ間に合うのではないかと期待がふくらみます。
私は決してエコロジストではないけれど、この本は非常に興味深く読みました。
ちょうど先日NHKで宮脇先生が喋っているところを拝見しました。
その風貌もまた、魅力的な方でした。
御歳77歳にして木にも登る!
「ただ周りから必要とされるかされないかは関係ありません。本物というのは、もっと能動的な人物ですよ。人に役立つこと・・・、自分にも他人にも価値あることを人生をかけてやろうとする。そんな人のことだから、私もいまやめれば偽物ということです。大事なのは、いかに本物であろうとするか、そして、いかに本当の師や仲間とつながっていくか、ということです。」(InnovativeOneインタビューより)
宮脇さんの言葉を聞いていると、岡本太郎さんを思い出してしまったりします。
将来、小さな土地を持ったら、私も宮脇式で森を作るのだ!!
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科学文明がいくら進んでも、自然や伝統の智慧は深い。今私たちが忘れている大切な実践課題を想い出させてくれます。子どもや孫っていう、何十年先を見越した暮らし方のために・・・。
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帯表
日本再生のヒントは「ふるさとの緑」にあった!
帯裏
日本人の心にぬくもりを取り戻す「鎮守の森」の奇跡!
長年、植物学の世界的権威が情熱を注ぎ込んできた、「ふるさとの木によるふるさとの森」の思想と実践。
厳しい自然環境に耐え、大災害にも負けず、千年の後の世も生き続けるような森は、いかにつくられるのか。
人々を守り、育て、心の拠り所となる森の秘密を語る。
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新日鉄の大分製鉄所のエピソードが興味深い
見に行ってみたくなった。
チュクセン教授との出会いが宮脇先生の研究を開花させたようだ。
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「鎮守の森とは、実は最もダイナミックに安定した一つの森社会である」
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・「ふるさとの木によるふるさととの森」
・潜在自然植生
・ダイナミックに持続的維持される集団の多様性
・エコロジーと宗教
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