紙の本
天皇制を真正面から論じようとした最後のまともな論客だったか
2021/11/11 01:42
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の「羊の歌」の次に開いてみた本です。
概ね西洋の社会やら文化やらとの比較に基づいて
日本のそれを考察する、という著者の論法が、
ここでも思いっ切りあらわになってます。
紙の本
日本人と日本文化について模索している方々にはお勧めの一冊です!
2020/04/08 10:28
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、医学博士でありながら、評論家でもあった加藤周一氏による日本人についての論考集です。同書には、加藤氏によって書かれた8篇が収録されていますが、それらはすべて1959年以前に書かれたものばかりです。しかしながら、これらの論考には日本人の在り様に迫り、将来のあるべき方向を鋭い観点で模索しており、現代においても通じるものがあり、全く色褪せた印象は感じさせません。そして、ここには今日の私たち日本人が直面している諸問題が鮮やかに浮彫りにされています。ぜひもと、日本人と日本文化について思索している方々に読んでいただきたい一冊です。
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人というのは、どんなものなのか。中からも外からも日本人を客観的に、観察されていて、おもしろかった。
紙の本
その時代にしかかけない事柄では
2018/05/21 19:12
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の中に収められた多くは、戦後十年前後に書かれたものだ。古いものなのでわかりにくいところも多々ある。使われている言葉が古いのだろうか。ただ、その時代にしかかけない事柄でもあるようにも思う。日本浪漫派と京都学派を扱った最後の「戦争と知識人」が一番読み応えがあり、教えられるところが多かった。
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「知識人と戦争」から読むと、理解しやすい。日本人の知識人は、なぜ戦争反対を貫けなかったか。それは、日本人にとって、思想が超越的なものではなかったためでもある。また、知識人にとっても、思想がエリートサークル内の人間関係や、「生活」の論理を超えることができなかった。
鎌倉仏教を考えると、日本人にとって超越的な思想がなかったとは言い過ぎだと思うが、著者の指摘は戦争を知らない私にとっても非常に重い。
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戦前、戦中、戦後と生き、また国内外で教育を受け、生活をしてきた著者の考察であり参考にすべきことを多々見い出すことができる。
1976年出版なので幾つかの考察は時代にマッチしていない感もあるが、その中でも普遍的な事柄に気づきがある。
類まれなる歴史を持ちながらも文化国家としては一流になれない。日本人として何を欲するのか明白ではない、という著者の問題意識は今も変わらないのだろう。
以下引用~
・他国民と比較してみるときに、日本人の特徴は、花鳥風月に事をよせてはその感覚的世界、殊に造型的な面が、鋭敏で洗礼されたものであった。
・芸術は進歩ではなくて、変化、変化を可能にする持続である。
「断絶」という考え方は、思想・文学・芸術の創造的営みにとっては、全く致命的であり、生み出すに値するものを生みだすためには、どうしても文化の持続の観念が必要である。
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[ 内容 ]
日本人とは何か。
われわれは一体何を望み、何でありたいのか。
長い西欧体験にみがきぬかれた知性が、鋭い洞察力を駆使して日本人のありように迫り、将来のあるべき方向を模索した日本人論八編を収録。
十数年前に書かれたこれら諸論文は、その歳月を忘れさせる先見の明に貫ぬかれていて、今日の私たちが直面している諸問題をあざやかに浮彫りにしており、日本人と日本文化について思索するすべての人に知的興奮を与えずにはおかない。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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著者の日本人にかんする論考を収録しています。日本の近代化についての議論であると同時に、知識人論でもあり天皇論でもあるといってよいようにに思います。
明治以来、日本は西洋の近代文明を受容してきました。しかし著者は、それらが伝統的な文化との対決をくぐり抜けることのないままに受容されたにすぎないと述べて、知識人と生活者が分裂してしまっていると指摘します。
著者は『雑種文化―日本の小さな希望』(講談社文庫)において、こうした現代の日本のありようを前提としたうえでそれを生かす道をさぐろうとしていましたが、本書に収録されている論考では、どちらかというとその病状を冷静に分析することに著者の努力が傾けられているように感じられます。
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本書は小論8編が収録されたもので、まず「日本人とは何か」という短い小論(1958年)からはじまります。断片的な理解になりますが、著者が主張せんとしていることは、(多くの)日本人は超越的・普遍的な価値観ではなく、経験的・実践的な感覚に大きく依存することです。そして仏教、キリスト教、さらに古代ギリシャから西欧近代の思想・哲学など普遍的な思想は外来種として日本に来ますが、これらは日本人に根付いたとは考えられない(もちろん一部の例外はあるものの)、という主張です。しかし、本居宣長のような国学こそが日本だ、という主張も間違っていることになります。外来思想が混じってこその日本文化であるからです。
本書ではこの視点を様々な切り口から論じますが、特に興味深かったのは日本の「知識人」(特に戦時下の)を通じてこれを分析している点でした。日本の知識人と言いますと、基本的には西欧からの思想を取り込んでそれを日本国内で喧伝している人々ですが、加藤氏に言わせれば、大半の知識人は普遍的な外来思想を血肉として自分に宿してはおらず、それらの「思想」は戦争時には吹き飛んでしまう。そして自分が日々体験している現実が圧倒的に勝ってしまうのです。つまり日本人は自分たちの経験を通じて血肉とした思想がない、それこそが日本人であるということで、ではその先にどんな可能性があるのか、まで議論してもらえるとうれしかったのですが、そこまではあまり踏み込んでいませんでした。本書のどこかに「精神面での開国」が起こるだろうというような記述がありましたが具体的には?というところです。
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この手の題名の本はいくつも読んだので興味と期待で入手してみたが、難しい。とても難しい。最初から最後までずっと難しかった。通勤電車の中で細切れに読むような本ではない。