紙の本
戦争を、あなたに。
2008/05/07 12:17
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロバートキャパ、という名前を知っている人は多いだろうと思う。
私も「著名な写真家」という程度には認識があった。
が、まさか著書を残しているとは思いもせず、
非常に魅力的なタイトルにも惹かれて、手に取った。
まあ、写真の薀蓄からその写真を撮ったエピソードなどを交えて説明する、
半自伝的な物だろう程度に思って読み始めたのだが。
すぐに、大間違いである事に気が付く。
この作品に書かれているのは、あまりにリアルな、戦争そのものである。
兵士と共に地を這い爆撃を受け、飛んでくる残骸に傷を負い。
戦闘機で空を飛んでは対空砲に身を縮め、
ついには戦地にパラシュート降下まで余儀なくされる。
そこまでして撮られた写真は、まさに、真実を写していた。
平穏に暮らす人々からは想像も付かない地獄の絵図を切り取り、
報道として世に知らしめたのだ。
そこまでして彼は、何をしたかったのか。戦争の悲惨さを世に伝え、
戦争反対を訴える使命感、その一心からだったのか。・・・私は思う。
もしかしたら彼は、戦争に魅せられてしまったのではなかろうかと。
枯葉のごとく軽く扱われる命。そしてまさに枯葉のように舞い、散る命。
絶望だけが支配する、極限の地。その地獄から舞い戻ってこれた時の、
喜びたるや想像を絶する。命の喜び、魂の快哉。
その歓喜の瞬間に彼は、魅せられてしまったのではなかろうか。
彼にとって戦争とは他でも無い、仕事場であったのだ。
そこにこそ活路、人生があった。だから必ずしも、
戦争を否定的な目では見ていない。だから、だけに、リアルで、恐ろしい。
出撃の直前にガタガタと震え嘔吐を繰り返す兵士の横顔に、
キャパは一体何を見たのだろうか。さっきまで横で震えていた兵士が
目の前で爆弾に吹き飛び、灰燼と帰す姿をファインダーに収めながら、
キャパは一体何を思ったのだろうか。
ナチスドイツが周辺ヨーロッパ諸国を蹂躙し、台頭した狂った時代。
それをキャパのカメラは何の偏見も無くただ、事実を写し続けた。
だけに、ヨーロッパの近代史を研究する上で重要な資料、
いや文献とさえ言えるのではないかと思う。
僕は今無性に、彼の写真集が欲しい。
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パリよ、俺だよ――私のカメラのファインダーの中の数千の顔、顔、顔はだんだんぼやけていって、そのファインダーは私の涙で濡れ放題になった・・・・・・20年間に数多くの戦火をくぐり、戦争の残虐と非道を憎みつづけ写しつづけた報道写真家が、第二次大戦の従軍を中心に、ある時は恋を、ある時は死を語った人間味あふれる手記。(本書より)
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命の危険にさらされながらも、真実をありのままに伝えることに命をささげる戦場カメラマン。浅野忠信さんが演じた映画『地雷を踏んだらさようなら』で、同じ戦場カメラマンの一之瀬泰造さんの事もあわせて、お勧めしておきます。
ただ、この本の和訳がひどい。
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写真というものを通して、現実というものを切り取っていった人。受け止め方はそれぞれだけれど。この人の写真には、時間があります。
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ほぼ日に連載されている方がオススメしてた本をヴィレバンで発見したので買ってみた。
題名がかわいい。
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報道写真家として有名なロバート・キャパ氏の手記。翻訳したのは、彼の日本での友人だったせいか、とても人間味溢れる素敵な言葉で翻訳されていました。(あくまで主観)是非、皆様に読んで頂きたい本です。
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観察眼と簡潔な筆。報道写真家による、第二次世界大戦のドキュメントであるが、写真よりも文章の方が彼の大きな仕事のような気がする。
彼の人間愛に満ちたユーモアあふれる文章はブログを書くときの手本にしたいくらいである。
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軽妙なタッチから、強烈なメッセージが伝わってくる。キャパの新たな魅力を発見できる本。
文中にこんなシーンがある。
傷付いた兵士を撮ろうとしたとき、キャパはその兵士に叫ばれる。
−写真屋!どんな気で写真がとれるんだ!
この一言に傷ついたキャパは、自分を嫌悪し、写真家という職業までも、憎んでしまう。
戦争を撮り続ける中での葛藤、やるせなさ、哀しみ、それらを全部ブチ込んで、なおもキャパは最前線を撮り続けた。
だからこそ、キャパの写真は語るのだ。
キャパ自身についてだけではなく、第二次世界大戦について、日本で見ているのとはまた違った一面を見ることもできると思う。
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20世紀最高の報道写真家、ロバート・キャパ。 受験で世界史やってるトキから気になってたし、すごい面白かった。 かっこいいなぁ。
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キャパのこの作品を読んだので、戦場カメラマンを追いかけるようになった。この作品を読んだので、ノンフィクションに興味を持った。
全ての始まりの本。
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「文豪にもなった、戦争写真家」ロバート・キャパの日記風の本。彼自身は戦場カメラマンとして有名だけれども、文章もユーモアたっぷりでかなりおもしろい。ただ、読んでいて愕然としたのが、彼がとても楽しそうに戦地へ赴いている様子。戦争を戦う兵士と一介の戦場カメラマンの立場の違いがそうさせるのかどうか。それともう一つ、いわゆる勝利の戦争を戦う側と敗北の戦争を戦う側の生活の違いにも愕然とさせられる。文章中では、1940年代のロンドンやパリでの日常も描かれているので、当時の日本人の生活なんかと比べてもびっくりすることが多い。
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まずはやっぱり「タフだなー」という印象。戦場という場にあっても、ユーモアというか、エスプリの精神は健在。そして、人間らしい弱さと、勇気と誇り(時には傲りかもしれない)を持って生き抜いている姿には、男の強さを感じますな。パパ・ヘミングウェイもタフを絵に描いたような、予想通りの登場でなんか嬉しい。文中に出てきた桃をブランデーとシャンパンで割るという豪勢なパーティードリンクは、実際に試したことがありますが、かなり旨い!
まー、でもやっぱ、戦争なんてないにこしたことはない。 (2002 Oct)
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第二次世界大戦中の回想録風自伝として読むのも面白い。写真好きのあなたに、写真以外のキャパを知って欲しくって。
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戦争写真家、キャパのお話。1979年。彼の写真によって戦争の残酷さを伝え、無駄な戦いはやめさせたい。
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今なお、戦争報道カメラマンとしての名声を保ち続けるキャパの理由がここにある。
彼は文学者であり、類い希なるユーモアリストであるのだ。
彼の写真が普遍的に生き続けるのは、それらに彼の息吹が感じられるからです。