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紙の本
Simple
2001/03/06 23:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katokt - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう小説の魅力って極端な単純化にあるのかなぁ?
紹介も単純に、「だって土曜の夜じゃないか。一週間のうちの最高の、いちばん心はずむ陽気な晩。一年365日の重苦しいでかい輪のなかに52回しかない息抜きの晩」
ついつい土曜日の夜になると、この一節を思い出すんだよなぁ。
紙の本
誇り高き英国小説がある一方、本書のようなリアルな小説もある英国の懐は深い。
2011/08/03 15:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チルネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
イギリスというとカースト制度のように明確な階級制度はなけれど、伝統的なというか習慣的な(?)階級の線引きはそれなりに出ている社会である。貴族階級、中産階級、労働者階級を扱った小説も多々あるが、本書の著者は労働者階級出身のシリトーが書いた労働者階級の生活を描いた本なのだ。ピカレスク(悪漢物語)の形式で書かれているが、主人公のアーサーは犯罪者というわけでもない。むしろ逆にちゃんと仕事もこなすしやるべきことはやってる20代の若者なのである。だが、アーサーは若者特有のフラストレーションをかかえており、政府、上司、父親など権力という名のつくものはすべて嫌っていて、社会批判的、諷刺的性格を抱えた小説として描かれている。
月曜から金曜まで肉体を酷使しそれで得た賃金を金曜の夜飲み屋で散財、人妻を誑かし気に入らないやつには喧嘩を吹っかける。こういう労働者の日常の描写がいかにも英国の匂いを漂わせているが、作家が労働階級出身であり内容も労働階級の生活を描いているとことでなかなか例がない作品だろう。英国の伝統ある気品漂う雰囲気を持つ作品も好んで読むが、本書のようなバックストリートを描いて醸しだす英国の雰囲気もまた英国らしくて好きだ。こういう作品は一様に荒んだ空気が色濃いが、それはアーサーのような人物が根っからの悪漢だからではなく、労働階級の社会への不満や政府の欺瞞、そういう想いの反動の振る舞いが荒みを色濃くさせている実にアナーキーな作品。どの時代でも社会というものが形成されている限り抱えてしまう問題であり、時事的なもの以外はいつまでたっても色褪せることがない内容である。若者の振る舞いは違えど社会に対して抱く不信感は英国でも日本でも同じなようだった。
また本書は二部構成となっており、一部は「土曜の夜」で二部が「日曜日の朝」となっている。タイトルに沿うような章のタイトルとなっているが、このタイトルの付け方は秀逸でセンスがよい。この一部と二部が何を対比したり土曜と日曜でどう描いているのかを読み比べてみても面白く読めるだろう。
だが、別段ピカレスク小説として読む必要はない。主人公アーサーはそれなりに荒れた生活をしてはいるが、仕事もちゃんとし身だしなみ(衣服)には飲み代以上のお金をかけるし、子供には優しいし、母親おもいでもある。気に食わない人物への振る舞いは悪いが、どこか憎めない人物像となっている。もしかしたら読書上手な方はキャラ読みすらできるんじゃないかと思えるほどキャラが立っている(笑)のでそういう読み方もできるかも知れない。
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