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紙の本
仇討ちの数々、池波の本領発揮
2009/03/01 21:28
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は江戸時代に存在した仇討ちに関する短編小説を集めたものである。たしかに、池波の時代小説を読んでいると、この仇討ちを主題にした作品が多い。
仇討ちは公的に認められていたものである。何しろ、そのままでは家名の存続ができなくなるので、遺族が申し出て仇討ちの許可をもらい、見事果たした上は、家督を相続して再建することを可能にした制度であった。この制度がない場合には、仇が他国へ逃げ込んでしまうと、治外法権で手が出せなくなる。すると、各藩とも法治ができなくなるので、この制度ができたと小説の中で池波が解説をしている。
池波はこの短編集の中で様々なケースを描いているが、多いのは男女の絡みで三角関係の相手を殺害してしまった場合である。本書には全九編が収められている。この中には史上もっとも有名な仇討ちである四十七士の討ち入りがある。『大石内蔵助』というタイトルである。九編の中では最も長編である。
大石内蔵助の討ち入りまで経過が描かれているが、通常あまり知られていない過程がこまかく描かれており、オリジナルが有名なだけに興味を以て読むことができる。
この忠臣蔵でもそうだが、この短編集を読むと仇討ちをする方もされる方もどちらも命がけであることが分かる。日本全国どこに逃げているのかを掴むのは現在でも大変である。勿論、交通機関や通信手段の違いもあるので、古今どちらが有利になるかは一概には言えない。
しかし、江戸時代でも日本全国探し回らねばならない点では同じであろう。その点では本書の池波の小説では偶然相手を発見するというケースが多く、そこは小説である。もっとも相手が見つからないままの仇討ち小説では、小説にはならないのかも知れないが。
本書に収められている仇討ち小説九編は、時代小説を堪能させる面白さに溢れており、池波ファンならずとも、また時代小説ファンならずとも、読者を楽しませてくれる娯楽性が嬉しい限りである。
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