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歴史の表舞台に出ていない人たちの短編4作。信長、秀吉、家康、といった英雄、豪傑以外の人たちもそれぞれ一所懸命に生き歴史を紡いできたのだと改めて感じた。10.11.9
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表題作『木曜島の夜会』は、胸が痛くなる。人生への切なさが込み上げてくる。それでも、生きることはいとおしい。
作者の、人への深い愛があふれている珠玉の短編。
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表題よりもほかの短編が好き。
性格のひねくれた者たちの維新物語。
本当にそこにいるかのように書くのがうまい。
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・3/5 読了.木曜島は太平洋戦争以前にも日本と深いかかわりのある島だとは知らなかった.ボタン用の貝殻ってどこでも採れるものじゃだめだったんだろうかね.島の命名はでも大戦当時のものかもしれないな.調べてみるか
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木曜島の夜会、有隣は悪形にて、大楽源太郎の生死、小室某覚書の4作品が入っている本。
木曜島の夜会・・・オーストラリアのサースデイアイランドに出稼ぎに行った日本人たちをテーマにした物語。
木曜島では、日本人は高級釦の原料となる白蝶貝を取りにダイヴァーとして稼げていた。第二次世界大戦が始まると、日本人が収容されて事業は終焉を迎える。
筆者は現地を訪れ、場末感のあるホテルで夜会に参加することになる。
印象的な話としては、中国人はダイバーにはなる人がいなかったが、日本人は水泳が上手く、稼ごうとする気持ちが強く、競ってダイバーになろうとしたということだ。
有隣は悪形にて・・・富永有隣の話し。
吉田松陰が投獄されていた時に一緒に入っていた男で、学はそれなりにあったので、松下村塾でも教えたことがある。
顔立ちが悪形だったが、精神も悪かったようで吉田松陰を侮辱するような言動をしていた。
国木田独歩の冨岡先生のモデル。
大楽源太郎の生死・・・詩人であり、革命家でもあった大楽源太郎の話し。
長州人には認められなかったが、西郷隆盛や勝海舟には認められていたとか。
松下村塾亡き後、西山書屋という塾を作り、孟子などを教えていた。右翼塾の走りではないか、と筆者は書いている。
小室某覚書・・・小室信夫の話し。愛国公党の結成時の署名に出てくる。
維新前は小室利喜蔵という名で、木像梟首事件を起こす。文久三年に足利尊氏像の首を切り、当時の話題となる。
犯人として追われることになり、徳島で投獄されることになるが、維新後は幽閉を解かれ、県知事や貴族議員として出世していった。
乱世であったからこそ出世した男と司馬氏は評価している。