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五木寛之は1965年、かねてから憧れの地であったソ連・北欧を旅します。そしてその地が舞台となったデビュー作「さらばモスクワ愚連隊」や「GIブルース」、「白いオルフェ」をはじめとした収録作品。
主人公は、いずれも夢破れ一線を退いた、もしくはあまりにも早く何かを悟ってしまった男たちです。行間から音楽が聞こえてきそうな文章力がさすが!どの作品も結末の悲劇が物悲しいです。
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あるきっかけで手にした本。全編にジャズが流れる雰囲気の短編集。「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞。鮮烈なデビューだったようだ。
ほとんどの作品に「死」と「人種」のテーマが掲げられ、日本人のジャズマンの生き方が語られる。貧困から復興への昭和という時代を象徴しているのか。しかし「死」に決着する小説は、どうも私には受け入れられない。「ずるい結末だ」と思ってしまう。
後記の五木寛之氏の言葉で納得する。
「文学をやる積りでこれらの作品を書いたのではない。私が夢みたのは、1960年代という奇妙な時代に対する個人的な抵抗感を、エンターテインメントとして商業ジャーナリズムに提出することであった。」
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★2.5だが辛めで。
ジャズを有効に使っていてなかなか良いと思うのだが、1960年代の日本の話は今ひとつ乗っていけないんですな、何故か。
まだ生まれてもいない時代なので「歴史」として見る訳だが、学生運動はじめとして何処か胡散臭さを感じてしまう。
表題作とかGIブルースとかまあまあではあるが、、、
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五木寛之という作家の本は読んだことがなかった。
上の世代に非常に人気のあった流行作家なので、通俗的で面白くないだろうと思っていた。
「さらば モスクワ愚連隊」
今読むと、これは傑作。
導入部から読み手を引き込み、捉まえて離さず、鮮やかで感動的な展開。
忘れ難い印象を残す。
「GIブルース」「白夜のオルフェ」「霧のカレリア」
すでに作者のスタイルが明確に確立されている。
ワンパターンな気もするが、読ませる。
「艶歌」
非常にベタな作品だが、「さらば モスクワ愚連隊」についで気に入った作品。