紙の本
奇々怪々な事件と人々
2022/04/15 20:36
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
ガストン・ルルーは「オペラ座の怪人」の作者。老船乗り達が集まるカフェで、彼らの体験や見聞きした話を一人ずつ語っていくという連作集なのだが、聞き役連中は歴戦の強者揃いであり、平凡な話や、いい加減な話は通用せず、迫真の真実しか受け付けられない。
「鏡像たちの晩餐」まさかのおとぎ話のような、鏡像たちが集まる家が、リアリティのある存在として登場し、それを語る男にも恐ろしい事件が降りかかってきたのだ。
「ビロードの首飾りの女」首飾りを外すと首が落ちるという噂のコルシカ島の美女。コルシカの風習である復習の連鎖の結果であり、それもまた一つの事実だったのだ。
「ヴァンサン=ヴァンサンぼうやのクリスマス」両親が殺害された幼い少年の運命。もっとも恐ろしい悲劇はやはり人間によってもたらされる。
「ノトランプ」その地方で評判の美女の結婚相手が次々に謎の死を遂げる。疑わしい人物や謎ががいろいろ浮かび、みなが疑心暗鬼におちいっていく。
「恐怖の館」かつて猟奇的事件が起きた宿屋では、それを客寄せの売りにしている。それが単なる煽り文句ではなく、今でも続いてるとしたら。そう思わせるような計算され尽くした演出が迫真すぎるのか。恐怖の行方は果たしてどちらか。
「火の文字」悪魔に魂を売って賭け事に負けなくなったと称する男。それを証明するための勝負を挑まれる。
「蝋人形館」そこで一晩過ごしたら勇気があると認めようという賭けに若者が応じるが、最高潮の恐怖が待っていた。
それぞれの恐怖の源が超自然、あるいは狂気や犯罪といった現象なのか、人間の思い込みや社会的な問題であるのか、どういう結論になるのかが二転三転する展開で、一応の結末までたどり着いても、別の真相があった可能性も最後まで残っている。それも緻密な構成と怪しい雰囲気づくりのなせるもので、さすがの手管の作家なのだ。
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投稿者:H.N - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリ好きには「黄色い部屋の殺人」で名の知れた作者ですが、この短編集に収められた作品は怪奇的な作品を多く取り扱っています。海の男たちが、暇な地上でのひと時を過ごすために取って置きの怖い話を披露しあいます。七つの海を渡り歩く男たちが震えるような話とはいったいどんなものか、猟奇風あり人間の心の闇ありと色々な恐怖が味わえました。
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短編集。全8話。
フランス版百物語とでもいうのか?男たちが集まって、ふいに始まる怖いお話。
百物語とは言ったものの、別に話し終わって蝋燭を消すわけでもないですが(笑)
読み始めは、「幽霊話かな?」と思いきや、オカルトホラーじゃないんだな〜。
人間の怖さっていうか・・・そういうのを巧妙な筆致で描いてる。読後、背筋がスーッと寒くなります..・ヾ(。><)シ
そういや、阿刀田さんの作品にも同タイトルのものがあったな〜確か。彼の作品も、人間の心の暗部を鋭くついたものが多いし、そういった点で共通点があるかも?
暑くなってきた今日この頃、暑気払いにちょうどいい一冊です(笑)
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怖く、またある話はとても気持ちが悪い。身近にはなさそうだけど、どこかにはあるはずだというような怖くて悲しい話もあります。
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『オペラ座の怪人』で有名なガストン・ルルーによる、「こわい話」の作品集です。とは言っても超自然の恐怖を描いたものは少なく、解説にもあるように奇譚(あるいは綺譚)と呼ぶ方が当たっているようです。
「胸像たちの晩餐」から「恐怖の館」までは、ツーロンのカフェに集まった海の男たちが自分の体験談を語るという設定になっています。この手の小説の古典的なやり方でしょう。
・「金の斧」
これにはミステリ小説風の味わいもあります。読む人によっては「なぁんだ」となるかもしれません。
・「胸像たちの晩餐」
文字通り「悪夢のような」晩餐の様子を描いた、鬼気迫る作品です。
・「ビロードの首飾りの女」
これが1番こわい作品でした。サスペンスにもあふれています。
・「ヴァンサン=ヴァンサンぼうやのクリスマス」
何だこれは? となりますが、最後に落ちが待っていました。しかしあまり成功したとは思えません。
・「ノトランプ」
これもミステリと言ってもいい内容です。小説の完成度という点から見れば、これが1番でしょう。
・「恐怖の館」
真相がはっきりと語られておらず、どちらにでも解釈ができる困った話です。
・「火の文字」
この作品集では唯一、超自然の存在が登場します。その使い方がいいと思いました。
・「蝋人形館」
手っ取り早く言えば「肝試し」の話です。それにしても何とも妙な物語です。
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王道を行く純然たる怖いお話、短編8作。
どれも趣向が違っており、背筋にゾクゾクッといい感じに悪寒が走ります。
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『ビロードの首飾りの女』
想像するだに怖い復讐譚。ビロードの首飾りの理由。なんにせよ生きている人間が一番怖いという話。
『ヴァンサン=ヴァンサン坊やのクリスマス』
あまりに怖い結末に失笑。それが一番、別の意味で恐怖だよねぇ。
『ノトランプ』
美しい両家の娘が名乗りをあげた12人の男たちの筆頭から順番に結婚していく話。
古典ミステリの基礎を築いたルルーだけあってオチがある。
左ページラスト1行で締めくくった話が多くて
切れよく投げ出された感があってよかった。
怪奇モノというか怪奇ぽい事件の話。
船乗りたちが怪談話を語り合っている短編が面白い。
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4~5人の老船乗りの語らいと『火の文字』がお気に入り。
ガストン・ルルーはオペラ座の怪人を読んだことがあるけれど、こちらの短編の方が読みやすかったです。あちらは大仰な言い回しが多いからかな~。
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『オペラ座の怪人』の著者、ガストン・ルルーの短編集。
――――――
オチがあるので話のまとまりが良いです。
派手ではありませんが、日常に潜む「時空の歪み」に足を踏み入れてしまったかのような感覚を味わえる奇譚が揃っています。
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「オペラ座の怪人」の作者として知られるガストン・ルルーの怪奇小説を集めた短編集。
主に、過去に恐怖体験をした者が友人に向けてその体験を語る、という形で物語は構成されていて、確かに語り口は恐怖感をあおるものではあるけど、どこか聞き手に対する信頼を感じさせるものがあり、ただただ怖いだけではないところが面白かったです。
単純に恐怖を描くだけでは、きっと退屈なものになってしまう。
芸術的だと感じる作品でした。
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陰惨で不気味な物語をミステリ仕立てにして、合理的解釈をつけてはいるものの(1話除く)、怪談よりは奇談、奇譚といったところか。残酷趣味というか時代がかってはいるが、英米の古典怪奇小説とは違うフレンチ風恐怖小説のテイスト。
詳しくはこちらに。
http://rene-tennis.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09
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なかなかおどろおどろしい短編が8編。
内、連作5編。
短文で煽ってくる描写で、臨場感アップ。
ブラックユーモアのオチもあり。
単に怪奇と言うよりも、伏線の入ったミステリーなど、時代感と併せて楽しめた。
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『オペラ座の怪人』『黄色い部屋の謎』で知られるガストン・ルルーの怪奇小説短篇集。『船乗りが自分の体験した恐怖体験を語る』という設定の連作と、単発の短篇が収録されている。
『恐怖夜話』と銘打たれているが、基本的には最後に合理的な解決がなされるミステリ的構造を持っており、大衆小説で名を成しただけあってどれも上手い。
恐怖というよりは老女の切ない運命を描いた『金の斧』、アメリカン・ホラーを思わせるサイコな『胸像たちの晩餐』、全8編中最もミステリ寄りな『ノトランプ』、ちょっとした悪戯心が皮肉な結末を迎える『蠟人形館』……と、1冊の短篇集でこれだけ印象に残る作品が多いのはちょっと記憶にない。
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正直云えば、歴史に残る名作とされている『黄色い部屋の謎』よりも数倍面白かった。短編であるが故、贅肉が削ぎ落とされ、主題が明確だったからだ(尤も、登場人物達の芝居がかった台詞回しは相変わらずだが…)。
各短編共、それぞれ持ち味があり、個性豊かなのだが、好みで選ぶとすれば「金の斧」と「蝋人形館」の2編。
前者は結末が結構意外で現代ならば絶対に書けないオチだから。
後者は、身震いするような蝋人形の描写と、皮肉なラストを賞して。
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ガストン・ルルーって「オペラ座の怪人」の作者なのか〜!w
あ…無知ですみません(^◇^;)
有名過ぎて、作者を気にした事がなかったよwww
そして、この本は古典って感じで、怖くはなかった、かな……(^◇^;)))))