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紙の本
ある青年の記録
2021/04/30 20:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
現地での暮らしぶりや活動状況、一ノ瀬さんの心境がありありと伝わってきて
大胆不敵で女好きでコミュ力高くて行動的な人かなあという印象を受けました
人生で熱くなれるものを見つけて、写真で有名になってやろうと、異国の地で奮闘していたある青年が確かにそこに存在していたのだと…
人生の指針としても参考になりました
電子書籍
短くパッと散る
2020/05/08 05:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
26年間の生涯の中で、自分の好きなものを追い求めた生き様が伝わってきます。物質的な意味では満たされている、日本社会の息苦しさと重ねてしまいました。
紙の本
熱い若者の記録。
2003/06/01 21:42
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
1972年にカメラマンとしてカンボジアに赴く青年。フリーの報道写真家として、狙うのはキャパ賞だ。最前線で真実を撮り続けた彼は、1973年アンコールワットに単独潜入した後、消息を絶つ…。これは、残された彼のメモ、親友や家人との文通の記録から構成された、一人の青年の熱き夢の記録である。
この本は、再び日本に帰ることの無かった彼の残した文を収録したものだ。本になることを想定して書かれたものではない。だから読み物として見た場合、同じ内容の反復が気になったり、友人に宛てた手紙でのプライヴェートなナイトライフの描写にドギマギするかもしれない。しかし、読み進むうちに泰造さんの輝きに虜になり、そんなことは問題ではなくなってしまうのである。
「当たる時は当たるさ」と銃弾を背に写真を撮り、自らも被弾し、負傷兵を抱えて退避し、現地の人とカンボジア語で笑いあう…泰造さんって、なんてスゴイ男の人なのだろう。しかし、彼は26歳という若さでカンボジアに倒れる…。日本に入った「日本人カメラマン処刑」の情報に、彼を愛する人は心痛、いかばかりだっただろうか。そして1982年、ようやく入国を許された両親は、ついに物言わぬ息子と体面する。とても悲しい。
私は、この本を読んでいる間、彼の生き生きした文章に引き込まれ(文通していたお母さんの信子さんの文がまた、巧みで面白いのだ)、文中の泰造さんと一緒に笑い、ヤキモキし、ドキドキハラハラした時を追体験したのであった。だから、私はこの本を読み終わりたくなかった。私は既に結末を知識として得てしまっている。この素敵な若者が、二度と日本の地を踏まなかったことを知っている。文中ではこんなに躍動的な青年が、戦地に消えてしまうことに耐え難い思いがしたのである。むろん、読み終わるのを遅らせたからといって、事実が変わるわけではない。それは私の幼稚な感傷だ。しかし、それだけ読者が惚れ込んでしまうほどの魅力的な人間性を、泰造さんが持っているのだ。
「好きな仕事に命を賭けるシアワセな息子が死んでも哀しむことないヨ、母さん」。
彼の残した言葉が、我々の胸を打たずにはおかない。