短編の名手の第1短編集
2016/01/28 10:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作では物質を自由に転送できるようになった未来の世界が描かれる。科学技術が進歩しても変わらない人間の愚かさが、ユーモアたっぷりに語られるところがよかった。
投稿元:
レビューを見る
著者の処女短編集になります。
7つの短編が収められています。
概ねオチが黒いですね。
「アル牛」はアルコールに満たされた惑星での話
「ベター・ハーフ」はとある未開の惑星での事件
「進化の道」は宇宙空間にある一つの穴の話
「分裂剤」は人格を分裂させる薬を飲んだパイロットが運転する輸送船にスパイが乗り込んだ話
「こちらITT」はテレポートセンターの交換手の会話
「目には目を」は未来の司法制度に対する復讐の話
「道化の釘」は子供ととあるコンピュータの話
と、概ねの概要だけ見たらまともそうなSF話なんですが、ほぼ黒いです。
「アル牛」はバイオハザード起こすし、「ベター・ハーフ」はデモがとんでもないことになるし、「進化の道」は塞ごうとするのでいい話、「分裂剤」は射殺されるし、「こちらITT」は全編がほぼ黒いし、「目には目を」は救えない落ちだし、「道化の釘」は宇宙崩壊するしと、まぁろくでもない話です。
ブラックユーモアな話ばかりなので非常に楽しいです。
そして読みやすいってこともあり、さくさく進みます。
解説にあったSFの解説で「知的なホラ話」っていうのは、大きくうなずいてしまいました。
壮大なSF叙事詩もいいですが、こういうこじんまりとした与太話みたいのも楽しくて良いです。
投稿元:
レビューを見る
以下7作を収録。
アル牛
ベター・ハーフ
進化の道
分裂剤
こちらITT
目には目を
道化の釘
こちらITTは構成もよく傑作。分裂剤も好き。