投稿元:
レビューを見る
都市に“トマソン”という幽霊が出る!?街歩きに新しい楽しみを、表現の世界に新しい衝撃を与えた“超芸術トマソン”の全貌が、いまここに明らかにされる。多くの反響を呼んだ話題の本に、その後の「路上観察学」への発展のプロセスと、新発見の珍物件を大幅に増補した決定版。(裏表紙より)
世の中にはいろいろな奇人・変人がいるものです。街中にある「無用の構造物」という、一般の人から見れば路上の石ころのようなものに目を向け、それを芸術の一分野として確立してしまう…恐ろしい発想の転換だなと思いました。しかし、私にとっても街中で偶然見つける「トマソン」って、確かに妙に気になってしまうものなのです。あれはどういう経緯でこうなってしまったのか…と考え出すと面白くて止まりません。
投稿元:
レビューを見る
友人と何かの拍子にトマソンの話題になり、帰りに丸善に行ったらまだ売っていた。思わず買ってしまったよw
今も昔もこういうしょーもないものに、妙に惹かれてしまう。似たような人はけっこういるもので、SNS時代になって公式Twitterや公式Facebookページが出来ていて吃驚した。
それにしても、今、『原爆タイプ』のような名前をつけたり、赤の他人が勝手に自宅の写真を住所つきで雑誌に投稿したりすると、かなりの確率でトラブルになりそうだ。色々と暢気な時代だった……。
あ、『路上観察学会』も確かちくま文庫に入っていたな。買って来ようw
投稿元:
レビューを見る
もともと、元デンマークサッカー代表のヨン・ダール・トマソン選手のファンで、トマソンの情報収集をしようとウキウキ検索したところ、「超芸術」とか「シュール」という予想外の言葉が一緒に上がってきました。
なんだろうと思って読んだのがこの本。
まったくサッカーのトマソン選手とは関係ありません。
ただ、もともとはゲーリー・トマソンという人の名前から付けられていました。
助っ人選手として巨人にきたものの、大した結果を出さなかったためファンから「トマ損」と呼ばれたそう。
さらに赤瀬川原平氏が、ムダな建築物を意味する「超芸術トマソン現象」という言葉を作り上げたとのことです。(本人がそれを知っているのかは気になるところです)
さて、そんな世の中に不要な建築物を見つけてはその無用さを愛でるというこの本。
おもしろい着眼点です。
かつては必要だったのに、いつしか時代の流れに取り残されて、すっかり無意味な存在となったものは、気を付けて周りを見回せば、けっこう見つけられるものだと、この本で教えられました。
赤瀬川原平氏が、本職の作家の仕事とは別にライフワークとして立ち上げたトマソン探索。それに賛同した多くの人々が、情報を寄せています。
氏はそうした市井の人々の情報に感謝したり、応援したり、時には「このところ読者からの報告が少ない。たるんでおる。君たちは人の報告を見るだけの人生を送るのか!そういうものはトマソンの空振りのバットにあたって骨折するぞ。」などといって鼓舞しています。
そうしたトマソン探索、そして読者との交流が、全編を通じてとても楽しそうに綴られています。
石を載せたトタンの屋根の写真を「世の中は全て漬物である」と表現するあたり、やはり作家。
無用の長物と作家のイマジネーションが重なり、この本を奥行きのあるものにしています。
この本を読み終えると、自分でも身近なトマソンを探したくて仕方がなくなります。
一番見つけやすいのは、行き先を失った「完璧な無用階段」でしょうか。
日常のひそかな楽しみが増えました。
投稿元:
レビューを見る
大学以来の再読。やはりこの本は素晴らしい。
視点をずらした都市の見方をすることで現れてくる都市の有り様を見つけていく本。
改めてこういった「都市の」狩猟採集力を見直したい。(最近は文献・資料に偏りすぎだからね)
投稿元:
レビューを見る
ゲーリー・トマソン。1981年と1982年に読売ジャイアンツに
在籍した元プロ野球選手である。1年目こそそれなりに活躍した
ものの、2年目には不発。それでも四番打者に据えられ続け、
まるで空振りを見せる為に出場し続けたような選手である。
そのトマソン元選手にちなんで名付けられたのが、不動産に保存
されている無用の長物「超芸術トマソン」なのである。
いやぁ、今読むと懐かしいわ。トマソンと、そこから派生した
路上観察学が流行ったのは80年代。ちょうど私がPR誌専門の
編集プロダクションに務めていた頃。
この場を借りて赤瀬川氏及びトマソン観測センターの皆様に謝罪
したい。当時の社長が雑誌に掲載されていた数々のトマソン物件
の写真を目にして丸パクリの企画を思い付いた。
そのパクリに手を貸したのが私である。不本意だったのだが、
共犯者になってしまったことに対し、深くお詫び申し上げる。
でも、既に赤瀬川氏も鬼籍に入っちゃっているんだよな。
遅かったか。
さて、トマソン。登って降りるだけの純粋階段、以前は門と
して機能してたはずなのに何かの理由で塞がれてしまった
無用門。取っ手まで付いているのに何故か二階の壁に設置
されている高所ドア。柵やワイヤーを飲み込みながら成長
しているもの喰う木。
どれも普通なら何の疑問も持たずに目にしているのだろうが、
「もしやこれはトマソンでは?」と意識して街歩きをすると、
続々とトマソンに遭遇してしまうのだ。
何の気なしに見ていたらただの「ヘンなもの」なんだけどね。
でも、一旦意識してしまうと「あれもトマソン、これもトマソン」
になっちゃうの。カメラを持たされ、都内各所で強制的にトマソン
探しをさせられた私が胸を張って言うのだから間違いないっ!
(企画をパクっておいて胸を張るなって話だな)。
本書の中での圧巻は表紙カバーの写真にもなった麻布谷町に取り
残された銭湯の煙突。アークヒルズ誕生前、既に土地の買収が
進んでいた時だな。すり鉢状の土地にはそれでも木造家屋が
何軒か残り、取り壊された銭湯の煙突だけが聳え立っている。
この煙突のてっぺんに立って撮影された写真は今見ても秀逸。
高所恐怖症の人は要注意だが。
しかしなぁ、「麻布谷町」だったのに「アークヒルズ」でいいの
でしょうか。森ビルさん。
本書に掲載されているトマソン物件も、街の再開発などで既に
姿を消しているのだろうな。でも、再々開発が行われたらまた
もやトマソンが現われるかもしれない。
尚、本書ではパリや中国などの海外物件も掲載されているが、
ロシアまでは手が回らなかったのだろうか。私が知る限り、
ロシアは超芸術トマソンの宝庫なんだけどな。
バルコニーはあるけどそこへ出る窓がないとか、バルコニーに出る
窓はちゃんとあるにバルコニーの床がないとか、ドアから壁にしか
繋がっていない非常階段���か、天井に繋がる無用階段とか。
もしかしして、これがロシアアバンギャルドって奴かとも思うの
だが、あの国のことだから単なる施工ミスって可能性の方が大きい
のかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
こういうの大好き。VOW的な。
実家に、不自然に飛び出したところがあって、なんでこんな風になっているんだろうと思っていたものが、かつて風呂があった跡だと聞いて驚いたことがある。町を歩いているとこういうものがまだまだあると思うけど、そういうのに気づいて疑問を持って面白がれる人間でありたい。プログラムの中にトマソン的なものがあるとイライラするけどな。
そして、トマソンの名の由来がすごい。
投稿元:
レビューを見る
読んでおいてよかったと思う一冊がこれ。
いろんな人の話の中にふと出てくる”赤瀬川原平”さん。
読み返しても面白い。
文庫じゃない本でも買いたいけど。。。
なかなかないだろうな。
岡山のゲストハウスで出会えたとき、初めて見たもの。
もちろん中を見させてもらったけど、レイアウトが納得できて、
文庫だといったりきたりになってるところとかやっぱり見やすかった。
この本は手放さないぞ。
投稿元:
レビューを見る
銭湯トマソンの煙突に登る飯村昭彦氏のイカレ具合が強烈すぎる。トマソン、うちの地元も載っていた(もうないだろうな……)。という意味で、路上観察学の実践書であり資料集。トマソンは空虚だけれど、確かな痕跡である。これを「なんだろう」と面白がる気持ちというのは、ある人にはあってある人にはないものだと思う反面、無意味化したものに想像力を巡らせて、冷静かつある意味で批判的に再解釈する思考そのものなのだと感じさせられる。
投稿元:
レビューを見る
二階にあるが階段の存在しないドア、上って下りるだけでどこにも到達しない階段など、街中に潜む不可思議な建築物を「超芸術トマソン」と名付け、一般市民からの投書も駆使しながら、不可思議なトマソンの世界を面白おかしく描く。
90年代に青春時代を過ごした私のような人間にとっては、トマソン≒VOW物件、に近いものを感じるわけだが、本書の魅力はトマソン自体の面白さ、というよりはトマソンを語る赤瀬川原平のユーモラスな文章力にある。トマソンの世界を論理的に分類したかと思えば、日本各地、さらにはフランスや中国などからも送られてくるトマソン発見の投書に対して適切な突っ込みを入れていく語り口はそれ自体が純粋に面白い。
後に作家としても知られるようになる著者の高い文章力を実感し、あっという間に読めてしまう超芸術トマソンの世界。
投稿元:
レビューを見る
銭湯エントツの名残が赤坂にあると知り、この本片手にトマソンを探しながらそのエントツを見に行った。読書の楽しみと同時に、観察や歩く楽しみを教えてくれた。とにかくトマソンの名付け由来にグッときて笑って、たちまち赤瀬川原平さんの虜になった。表紙がかっこよすぎる
投稿元:
レビューを見る
楽しい本です。写真を見て最初は何が面白い?って感じですがよく見るとなんだこれ⁉︎って笑えてきます。表紙も最初は何も感じませんでしたが今見るとクラクラします。今後の散歩が楽しみになりました^_^
投稿元:
レビューを見る
その成り立ちを求めるとトマソンではなくなってしまうように、トマソンという概念もまた不立文字の理の上に成り立っているらしい。結局トマソンとは何か、は分からないまま読了。壁からはみ出た蛇口とかは面白いけど、原爆型なんかは何が面白いのやら…。
投稿元:
レビューを見る
趣味どきっ! 本の道しるべ
の最終回。坂本美雨の巻。
ここでトマソンが紹介された。
赤瀬川原平 超芸術トマソンが紹介されていた。
母親のトイレ本?
赤瀬川原平の本を一時期よく読んでいた。
原平さんが亡くなって久しい。
まだ本棚にあるかな?
引越しで処分したかも?
トマソンって何?
読売ジャイアンツの元選手、全然鳴かず飛ばすで、
早々にお払い箱になった。
そこから無用の長物をトマソンと呼ぶことにした。
路上観察学会だったね。
会長だった藤森さんの名前は今も時々見かける。
建物に付随する無用の長物=トマソンを路上観察して、
みつけ出す。
表紙の写真。
銭湯の尖塔である風呂屋の煙突の先端に立ち自撮り棒で、
自撮りしている。
投稿元:
レビューを見る
写真多数で、自分でも探してみたくなった。
写真の風景もだけど、個者の名前や住所が普通に出てくるところに昭和を感じる。
投稿元:
レビューを見る
面白い。面白いんだが、途中で飽きてしまった。
最初はめちゃくちゃワクワクするんだが…。
この本を現代手に取る人はもう既にサブカルオタクの道を通ってきた大人か、絶賛ビレバンに通っているヘッドホンにオーバーサイズパーカーの学生ではなかろうか。
最近そんなサブカル民に街歩きはブーム。
右目の室外機、地域性のあるガードレール、タイル、団地、カラーコーン、電柱、看板…上げればお散歩のテーマはキリがない。
そんなお散歩テーマのひとつがトマソン。
使われなくなったドアや行き先のなくなった階段、埋められた窓口。
今の様にネットを通じて流行る前にこれをまとめていたという先見の眼がすごい。
また気が向いたときに読んでみます。