紙の本
同じ学校を離れ、自分の道を進み始める太郎たち
2002/07/31 15:05
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:17Caesun - この投稿者のレビュー一覧を見る
補欠で受かった名門の明倫大学と、格は落ちるが自分の学びたい学部がある北川大学。
太郎は迷った末に後者を選択し、東京を離れ名古屋での生活が始まる。
世間がなんと言おうと、憧れの彼女に冷たい目で見られようと、自分の道を進むのだ、
そう決めた太郎であったが、自由な大学生活は不安も多い。
同じ若者でも、高校生と大学生では住む世界が違う。前者を描いた物語が明快ですっきり
しているのに比べ、後者を主人公に据えた物語はやや間延びしてあやふやな調子で進む。
太郎は新天地で迷いながらも、新たな関係をゆっくりと築いていき、時々東京へ戻っては
旧交を温める。時間の経過と共に、友人達も少しずつ自分の道を進み始め、同じ空気の中に
いた高校時代には見えなかったガールフレンドとの価値観の違いも明らかになる。
何かを始めようと思えば誰かが反対する、それを押し切って進まなければ自分の道は
開けない。そこで別れが生じる。それは寂しいことではあるけれど仕方がない。
けれども、別れ難さに少し道を戻りたくなってしまう事もある。
きっぱり別れた筈の彼女からレポートを頼まれれば、未練たらしくこれを引き受け、
その後うろうろと後悔し、電話で感謝されればまた得意になって、それが即物的な御礼と
なって返ってくるとまたがっかりする。
一進一退、自分の地歩を少しずつ固めていくしかない。高校の期末試験や大学受験の様に
すぐに結果が現れるようなものばかりではない。ゴールはまだ全く見えないけれども、
進むべき方向は何となく見えてきた、太郎の大学生活一年目。
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親の書棚にあったので大学編の方を先に読みました。高校生、大学生の時は、ちょっと自分と時代は違うものの、強く自分の考えを持ち、しなやかに知らない都市で生きていく主人公の姿に共感を覚え、高校生のときはまだ知らぬ大学生活に、大学生のときは、一昔前の大学生の生態観察として、大変面白く読みました。でも大人になってからは、作者の意図が見え透いて、余り好きではなくなりました。別に見たくなかったけど、大して隠されていもいないあけすけな意図が見えてしまい、幻滅。というかありがち。著者の実の息子の名前も太郎で、北山大学ならぬ南山大学で人類学をやっていると聞けば、誰だって思うんじゃないですか?元文化庁長官で作家の父親と有名女流作家が、自分の息子が都落ちして東京では余り知られていない大学に入った言い訳。というのは意地の悪い見方でしょうか。ウチの子は自ら非有名大学に入って、儲かりもしない文化人類学をやっているんですって、別に自分の文才を利用して、わざわざ宣伝しなくてもいいと思いますがねえ。。。
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この「太郎」さんに恋しました。なんていうか、回りにはいなかったタイプ。配偶者と似てる。(っていうか、似てたから配偶者になったのか?)
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太郎母「一つのことやり始めたら、やり遂げるのがいいっていうのも、程度問題だからね」←名言。最後までやり通すことにプレッシャーを感じる必要はないと思う。
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独り暮らしを始めた太郎が、ますます生きていくことに貪欲に、果敢に、成長していく。生命力強いなあ。どこでもどうやっても生きていく、そういう人間ってやっぱり強いや、と思う。
太郎物語の中に、「作品が正しく評価したいなら、著者の名前を隠せば良い」という言葉があり、それはどちらかというと「名声や権威に引きずられないように」という意味で使われていると感じたのですが、今、別の意味で、この作者のこの作品がそういう状態にあります。
作者が何を言ってるかを考えたらとても読みたくない。太郎物語の自由な自律心が、あんな自己責任論みたいなものに変貌していくなんて思いたくない。
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高校編も面白かったけど、本当に魅力的な主人公と両親。
学校に行ってるエピソードがあまりないけど、
食べること、人との付き合い方など人生に必要な知恵やヒントが描かれ、
生きてゆく元気が湧いてくる本
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高校生の頃に読みました。大学生の生活を少しだけ垣間見られて面白かったです。文化人類学を専攻する学生が読む本もちょこちょこ載っていて、レヴィ・ストロースなんかも出てくるのですが、実際大学へ行ってから参考になりました。主人公太郎君の料理好きな部分も非常に興味をそそられて読みました。
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高校編でも書いたけど昔の記憶って段々薄れて行くもんだね。自分は、こんなだったかなと考えるとね、思い出せない事の方が多くて、困る事が或る。こうして昔読んだ本を読み返して、記憶を辿るしかない。
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料理のレシピが素晴らしい
食は生きる基本だなあ
太郎の優等生っぽさが鼻につくが許す
五月素子の場面と母親からの手紙で
もの悲しさが漂い始めたが
最後はからっと幕を閉じる
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教育はむしろ、
どんなに勉強し難い状態でも勉強できるような人間を作ることにある。
この意味がよく分かる作品。
(2011.09.20)
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太郎の親の接し方は、一つのコーチングのあり方なんだと思う。
いろんなことを感じながら育つのが子どもなんだろうから、楽しい、リーズナブルな感受性を持った子どもに導きたい。
親の背中が重要なんだと思う。
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大学に入り、新たな経験をスポンジが水を吸収するように成長していく太郎。親の子を見守る目も確かだ。学生の時に読んでいたら、目標を持って、もう少し勉強する気になったかと思う。13.7.20
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35年前。
この本を読み、そして、NHKのドラマを見て、僕は猛烈に大学へ行きたくなった。 初心に戻るために再読。#nhk #曽野綾子
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太郎はこの後どうなったのだろう?山中良子は?藤原は?
大学の時から何度か読んでいる本。またいつか読むだろう。
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人類学の本を読み、食事を作り、女の子のレポートを引き受け……親許を離れた太郎の多忙な大学生活一年目。ひたむきな青春を描く。