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紙の本
井上ひさし全著作レヴュー88
2012/03/11 10:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:稲葉 芳明 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初出は、季刊「へるめす」創刊記念別巻(1984年12月)、同創刊一周年記念別巻(1986年1月)、同創刊三周年記念別巻(1988年2月)。
昔々、岩波書店が「へるめす」という雑誌を出していた。筆者も何号か購読した事があるが、「世界」のゲージュツ版とでも呼べる、まあ実に岩波らしい高尚でお堅い雑誌だった(1984年に創刊号が出て、途中から隔月刊行になり、1997年に第67号が出て終刊となった)。その編集同人を務めていた大江健三郎が、井上ひさしと筒井康隆をゲストに招いて行った三回の鼎談を活字化したのが本書である。
著者名は井上・大江・筒井の順になっているが、単にこれは五十音順にしただけの話で、実際は(多分)半分以上が大江の発言で占められている。そしてこれが見事なまでに面白くない。大江の講演は何度か――生で、あるいはテレビで――聞いた事があるが、決して上手くない。どうも構成が緩く、あっちへ行ったりこっちへ行ったりして、終わった後一体何の話だったかすぐに思い浮かばないほどだ。この鼎談も、そういう大江の悪癖の影響が大きく、こんな豪華な三人が顔を話しているのに、なんでこんなに脈絡が無く詰まんないんだろうと勿体ない限りである。
「岩波」ということで、抽象難解高尚な文学論が展開されるが、活字で読むと行き当たりばったりという感は否めない。対談も鼎談も同じだが、うまい「聞き手」もしくは「仕切り役」がいないと、発言がその場限りの断片的なものに陥りがちである。井上ひさしが名を連ねていたから買った/読んだが、時間とお金を損した。
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