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重茂テーマなので心して読んでほしい
2019/01/27 19:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「忍ぶ川」で芥川賞を受賞した作者の短篇集。これらの作品にたびたび出てくる「父が呉服屋を経営」「六人兄弟」「兄二人の失踪して安否不明」「姉二名が先天性色素欠乏症(いわゆる白子)で弱視}「姉二名が自殺」というのは、本当のことだ。特に失踪した兄や姉の障害や自殺ということが重いテーマになっている。作者本人があとがきで言っているように、その主題は「出発当時から重荷にしている人間の生き死にの問題」「自分自身が内蔵している病める血の問題」だ。だが、その登場人物は弱さを時には見せながら、力強く前を見て生活しているように感じる。生と死について、深く考えられる作品群である
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何年か前に入手して一回読んだ筈だけど、ほとんど記憶がなくて、まるまる初読のような再読。
お、おもしろい。決して派手ではなくて、作者の体験に近いんだろうなと思われるものもそうでないものもある。哀しい話からちょっと怖い話、おかしい話、ほほえましい話など、いろいろ。
日常のちょっとしたエピソードもあれば、家族の忌まわしい血にまつわる、くらさを伴う短編もあり、ひとつひとつも良いし、まとめて読むとなんとも言えない気分になる。
引き出しが多いなあ。有名な作家さんは得てしてそういうものなのだと思うけど、あらためて。
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なぜ三浦哲郎が短編の名手なのか?というよりも何故、三浦哲郎の作品はたったあれだけの描写でその世界を読者に伝えることができるのか?これで話が成り立ち、さらに味わいを出せるのがむしろ奇妙なくらいである。
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三浦哲郎を初めて知ったのは、センター試験国語の問題文。「素顔」という作品が採られていて、それがなんかとても好きだった。大学の図書館で全集から探して全文読んだなあ。おばあちゃんの方言が味があってねえ。
そのあと「忍ぶ川」とか「モーツァルト荘」「はなます物語」読みました。何度も何度も出てくる、盲目の姉や自死した兄の話が印象に残る。
この短編集は本当にヴァラエティに富んでいて、うまいなあと思わせてくれる。
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太宰治の後にこれを読み、何かがすんなり入ってきた感じがした。
何と言うのか、うまく書けないけれど。
私は普段戦争の本ばかり読んでいて、死にたくない人たちがその意に反し、巨大な力の下で踏みつぶされる様にして死んでいくものばかりに接していたが、この本の死は、ひたひたとくっついてきていて、ふとした瞬間に人を絡め取っていく。
本人にも気がつかない、これも見えざる何かの力。
絡めとられず、自らそこにいく、呼ばれても踏みとどまって残った人間の諦めのような空気。
ひさびさにぞっとする本を読んだ。
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三浦哲郎はとても好きな作家の1人。
正直特筆する様な文学表現も持たず、刺激のある物語を創る訳でもないが、どの作品も滲み出る様な喜びや哀しみがあり感情豊か。
たまにゾッとする怖い話もあり飽きない短編集。
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この短編集だいすき。おまけに解説までいい。
家族のこととその周辺のことが主に描かれている。
三浦哲郎を心から好きと言えるきっかけとなった小説かもしれない。擦り切れるほど読みたいな。借りた本だから買わねば買わねば。
内容のことについてひとつも書いていなくても、後でこの感想を読めばこの作品とどう触れ合ったかわかる気がする。おしまい。
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一週間くらい前に読み終わりました。
幸せと幸せの隙間に業を、その逆も、仕込むのうますぎ。緩急がよくとても読みやすいし読み応えもある。がいっぺんに読めない。ぐらい重い。貸してくれてありがとう。