紙の本
無宗教者にとっては
2022/04/17 11:05
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
一応は推理小説 ミステリーの体裁を取って入るが、大半の内容は何重にも重なったキリスト教神学の蘊蓄と、それを実現すべきなのに実態はかけ離れている修道院の話である。内容の大半は理解不能であるが、「私はこんなに難しい本を読んでいる」という雰囲気として読むぶんにはなかなかのものである。
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すきな小説ってなんだろうと思うと、これが浮かびます。
下巻をチョイスしたのは下巻がとにかくおもしろくなるから。上巻は我慢です。
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中世イタリアの僧院が舞台の黙示禄をなぞらえた殺人事件と本と図書館とカトリック坊主の推理小説。
高校の図書館で読んだ後、購入に踏み切る。この本に出会うまで、好きな分野は中国古典で、「隋唐演義」田中芳樹訳がマイベストだった。
本・図書館・坊主・西洋思想にとり憑かれ今に至る。(オペレッタ「ヴェネツィアの一夜」に心酔していた事もあり、読書傾向が変わったのには様々な要因があると思われるがこの本が決定打。ヨーロッパ趣味に転向)
ヨーロッパの宗教事情なぞさっぱり知らない中国史好きの高校生でも楽しんで読めたのだから倦厭するのは勿体無い。
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1月17日購入。2月8日読了。えーかなり面白かったです。謎解き云々よりも修道院描写やはっきりいってわからない専門用語というか宗教用語が醸し出すふいんきで充分楽しめました。
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読み始めたのは17のとき。読み終わったのは24のとき。高校時代に下巻が図書館で貸し出し中だったのが、このタイムラグの理由です。たしか。
エーコは本職が記号学者で世界的な業績もあげているはずだが、彼の記号論著作の邦訳と『薔薇の名前』邦訳をもっている人間の割合って、1:628くらいじゃないかと思う。わたしも他の著作はもってません。628に属します。
で、娯楽作品としてうまくできていたと思う。異端論争とか『詩学』とか、小難しいネタを盛り込んではいるけれどあくまで舞台小道具として映える程度の使い方、主になる筋はわかりやすい。こういう蘊蓄スパイスの塩梅については、学者なのにセンスあるなと思います。探偵役の修道士さんも、頭がよくってその上むやみに話の分かるおっちゃんという感じで良かったし、語り手の修行僧も初々しく真面目だったり超情けなかったりしてうまくキャラが立っていたと思う。総じて言えばおもしろかった・・・
ハズ。なのに印象が薄い。なんで・・・?あまりに娯楽作品としてまとまりすぎてしまったか。あ、でも読了後友人と「笑い」について議論した覚えがあります。抑圧的な言説を「ズラす」手段として「笑い」を提示するっていうのは、もう言われ尽くされた議論であるかどうか?そこにあらたな可能性はあるのか否か?・・・でもやっぱりよく内容を覚えていないなあ。
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迷宮と暗号。一見ややこしそうだけれど、少々読み飛ばしても大丈夫。メモ取りながら読み返せばいいのです。そんなことどうでもいいくらい引き込まれます。一気読みできちゃいます。気分は中世の僧院の修道僧です。萌えです(笑)。
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閉鎖的な修道院で起こる連続殺人事件。キリスト教の宗派対立と事件の調査が複雑に絡み合ったストーリーです。
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下巻も紹介しておきます。装幀も好きだなあ…(うっとり) 読み通すのは結構骨ですが、膨大な知識や教養に裏打ちされたエーコの遊びは、それらを持たない読者を「酔わせる」魔力に満ちています!
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ゴシック・サスペンス。
隠微な教会に興味のある方へ。
ショーン・コネリー主演のDVDもあります。
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なんかもう、いろいろと燃え尽きた。ぐいぐいと話が進みます。もう、一気に読みきっちゃったほうがいいと思います。
宗教物を読むときに思うのは、実際になんらかの宗教に入信している人はどんなこと思いながら小説読んでるのかな、ってことです。海外じゃ宗教聞くのはマナー違反ですしね。
私がもしキリスト教だったら、もっと厳かな気持ちを読後に抱いてたのかもしれません。
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冒頭の手記、迷宮の地図など造本が凝っていて、本として持っていることが嬉しい。そしてこれは本をめぐる物語。
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(上巻からつづく)
さらに興味深いのは、探偵と犯人のバトルの裏にひそむ思想的な対立だ。
例えば、「笑い」に関する議論は、探偵と犯人の終盤の対決で明らかになるように、物語の根幹を為す重要なテーマのひとつである。笑いとは、何か。残念ながら、私は哲学を学んでいないので学問的な議論はできないが、この物語を通じて、多少なりとも作者の思想に思いを馳せることができれば、と思う。
ウィリアムとホルヘは、学識の深さにおいても、神学への情熱においても拮抗している。大きさが等しく、方向が正反対のベクトルのようだ。知的レベルでは拮抗しながらも、「笑い」に象徴される根本的な思想において、ついに両者が相容れることはなかった。
その根本的な差異とは、「教義の完全性を信じる」か、「教義の完全性に疑問を抱くことを許す」かの違いだ。
一方は教義を「保存」し「継承」することにのみ価値があると考え、もう一方は教義を「探究」し「刷新」することに意義を見いだした。それは、以後数百年に渡って続くことになる、宗教と科学との対決の構図に似ている。
笑いとは、「寛容さ」の象徴だ。笑いに必要なのは複眼の視点と、対象との適切な距離感である。対象に没入してはいけない。対象から目を背けてもいけない。対象へのあくなき興味を維持しつつ、様々な角度から評価できる柔軟性が、笑いには不可欠だ。それは科学をはじめ、学問にたずさわる全ての者に共通の心得でもある。
愛なき笑いは不毛であり、ときに破壊的ですらある。しかし、愛を前提にした笑いは精神の平衡を保ち、「狂信」という病から私達を救う良薬となってくれるだろう。対象に愛を注ぎつつも妄執せず、様々な視点から眺められるよう、常に心を自由にしておく。それではじめて真理に近づくことが可能となる。それが学問を志す者の鉄則であり、不幸な歴史を繰り返さないための人類の知恵なのだと思う。
そう考えると、この物語は、宗教と学問が分離する以前の、人類の未熟な思想体系に対する回顧録のようでもあり、滅びゆく中世キリスト教世界に対する壮大な鎮魂歌のようにも思える。あるいは、人類がいまだに克服することのできない排他性や、テロリズムに対する警告の書とも…。
混迷を極める21世紀にこそ、多くの人に読まれてしかるべき作品だと思う。
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続き。さて、文書館にはマモノなんかはいなくて結局すべて人工的な「仕掛け」が怪事件を呼んだ、ということが判明するのだが、個人的にはやっぱりあの文書館にはなんかいるよ!と思いたくなる。エーコが必死に問いかけてくる「拙速」の教訓、よくわかります。人間っていつまでも啓けないままなのね
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個人的オールタイムベスト。4〜5回は読み直した。ヴィトゲンシュタインとかソシュールとか、出典を調べながら読むことの面白さにきづくきっかけにもなった本。
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ウンベルト エーコ 。
記号学者の彼の文体の独特な世界が味わえます。
筋の面白さはもちろん、宇宙的は学問の世界まで感じ取れます。
とても好きです。この本。高校の時初めて読んで、とりこになり、何度も読んでいます。彼のほかの名作「フーコーの振り子」「前日の島」もぜひ試してみてください。中世の世界・暗号のような迷路。。わくわくさせてくれます。
もし物書きとかに興味をお持ちの方、翻訳などにもご興味のある方でしたら、アカデミックシリーズの「記号論」「開かれた作品」「物語における読者」などがあります。ウンベルト エーコ のシリアスな世界も味わってみてください。