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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新田帖、建武らくがき帖、天皇両系図、足利・新田両氏略系図、北条氏略系図、注解、主要登場人物生没年一覧、解説「私本太平記」と史実1を収録。ついに鎌倉幕府を滅ぼし後醍醐天皇による親政が始まった。しかし平和が訪れたわけではない。
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吉川英治は、滅び行く人々の悲劇を描くのがものすごいうまいと感じさせられていた。北条氏の滅びる第5巻は、圧巻だと思う。これまでの天皇方の苦悩をうまく表現してきただけに、北条氏の滅亡はさらなる悲劇を感じさせられるのかも。北条仲時、赤橋守時、北条高時、それぞれの最期が印象的に描かれている。
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とうとう鎌倉幕府の滅亡。しかし、その直後から足利尊氏と大塔の宮との対立が始まる。いつの世、どの社会でも権力争いは尽きない。それにしても、宮の態度は駄々っ子でしかない。
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ついに幕府への反旗をひるがえした足利高氏。怒涛の勢いで六波羅に迫り、これを蹂躙した。また同時期に東方では新田義貞が決起し、鎌倉を急襲する。果敢に抵抗する鎌倉武者もいたがその勢いには逆らえ得ず、百五十年に及んだ鎌倉幕府は遂にその幕を閉じる。
争乱の世が終わり、平和な時代がやってくると思われたのも束の間。戦後の褒賞・利権をめぐり公卿と武士、また武家同士での対立が起こり、世の風に再び火種が孕まれることとなる―。
ついに鎌倉幕府滅亡となりました。
滅んでいくものへの哀れみはやはり日本人独特の感性でしょうか、敗者の散っていく様は涙を誘うものがあります。
ほとんどの武士は勤皇精神ではなく、飼い殺しにされるよりはという決意で弓を引きました。彼らの不満があちこちで噴出しています。この戦後の混乱がどのような動きを見せるか、また尊氏の深謀な眼はなにを見据えているのか、次が楽しみです。
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(全巻合わせた感想)
文章が読みやすく、状況描写が上手でその場の雰囲気や気持ちが手に取るように分かり、その文章の巧みさに感嘆した。内容は主人公尊氏及び周辺の人々に何らの魅力を見出せなかったので、少しつまらなかった。
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足利高氏が京都六波羅を制圧、新田義貞が鎌倉を征伐。後醍醐天皇が復帰し、建武の新政を始めるが、余りにも天皇中心主義で、武士達は論功行賞に不満を残す。
次巻は、壮絶な権力闘争の場面になるのだろうし、楽しみである。
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▼本を読んだ理由(きっかけ・動機)
もともと吉川英治氏の作品は全て読破したいと思っていたため、いずれ読むつもりであった。
このタイミングで手をだしたのは、山岡荘八氏の『源頼朝』を読んで、鎌倉~応仁の乱を経て戦国に到るまでの歴史を改めて知りたいと思ったから。
「足利尊氏」という人物をぼんやりとしか知らなかったのも動機のひとつ。
▼作品について
室町幕府を起こした足利尊氏を主人公に南北朝動乱の始まりから鎌倉幕府崩壊後の泥まみれの戦模様が描かれている。
これを読めば、室町幕府が早期に瓦解し、応仁の乱を経て戦国に突入した理由がよくわかる。
▼感想を一言
切なくなった
▼どんな人におすすめ(気分、状況)
日常に疲れ、厭世観に付きまとわれている人。
「足利尊氏」の晩年の悲しさも最後の「覚一法師」の琵琶問答に救われる。
▼作者について
歴史・時代作家としては吉川英治氏が描く作品は司馬遼太郎氏のリアリティとは違い、人間愛に溢れている。
作品は最後に”救い”があり、現実の厳しさの中にも一輪の花(希望)を咲かせるような
読む人を励まそうとするような一面があるように思える。
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長旅になる覚悟をしていた本作品であるが、いつの間にか折り返しを過ぎた。足利高氏、佐々木道誉、新田義貞らがどんどん鎌倉幕府を裏切り、武士の世はいったん滅亡。倒幕にあたっての高氏と道誉の食えぬ関係での友情、高氏と義貞の微妙な関係、どれも興味深く楽しめた。
そして建武の新政がスタート。楮弊により庶民が右往左往する様は哀れさを通り越して滑稽だった。それを普及させようと工夫を凝らす道誉もまた面白い。
前巻までは時間がゆっくりと流れていたが、今後はペースアップしていくこと間違いなしである。楽しみになってきた。
以下に興味深かった内容を引用しておきたい。
・世良田の南へ半里、利根川べりに行きあたる。そこの川岸の里は地名を徳川といい、新田氏の一支族、徳川教氏の住地だった。この世良田徳川の子孫が、遠い後に江戸幕府の徳川将軍家となったのである。だから、代々の徳川家は、祖先新田氏をおろそかにしなかった。
→この、徳川家康の祖先が新田義貞である説は現在の学説ではかなり疑い深いものであるが、吉川英治氏は見事言い切っている。系図好きな私もこうした言い切りが好きであるが。そのほうが夢があっていい。
・下郎、雑武者などは、自分らの敗北を聞こえよく飾るため、競って敵方の兵力を誇大に言う。またその惨烈さを吹聴する。裏切りの続出をののしりわめく。
→これは現代においても同じ。スポーツでも喧嘩でもビジネスでも、自身の敗北を相手の強さや外的要因などに結論付け、自身の落ち度から目を逸らさせようとする。私も思い当たる点があるだけに、くすりと笑ってしまった。
・せっかくな古典もこんなわかりきった作為を弄したりするものだから、後世の学者に「太平記は信ずるに足らず、史料に益なし」とほかの箇所まで全面的に無視されることもあったりした。
→吉川英治氏の、原作:太平記に対する愚痴。こんなのも歴史小説には良いスパイスとなるのだ。
・戦いは戦いだけで終わらない。敵を消し去ると、すぐまた味方同士、味方内の仮想敵を見つけ出す。それは政略という腹の中で始まる。
→これも現代に同じ。人間の根本は中世も現代も変わっていないのだ。
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(1991.05.15読了)(1991.04.08購入)
内容紹介 amazon
足利高氏はなに食わぬ態で六波羅軍に合流.問題はいつ,最も効果的に叛旗をひるがえすかにある.高氏の打ちあげた烽火は,まさに万雷の轟きとなった.石垣の崩れるごとく,鎌倉幕府は百五十年の幕を閉じた
☆関連図書(既読)
「太平記の謎」邦光史郎著、光文社、1990.12.20
「私本 太平記(一)」吉川英治著、講談社、1990.02.11
「私本 太平記(二)」吉川英治著、講談社、1990.02.11
「私本 太平記(三)」吉川英治著、講談社、1990.03.11
「私本 太平記(四)」吉川英治著、講談社、1990.03.11
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鎌倉幕府滅亡。
一般に映像化された作品では北条高時は酷い扱いになっているけど、高時がが暗愚だったから幕府が倒れたのではなく、構造的にもう「もたなかった」という視点で倒幕が語られる。鎌倉武士の矜恃も描かれているところは吉川先生ならでは。
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足利高氏は佐々木道誉らと入洛し、六波羅探題を滅亡させ、関東では犬猿の仲である新田義貞も高氏と呼応して挙兵、高氏の子、千寿王も参陣、ついに鎌倉幕府は滅亡した。
赤橋守時、北条高時らの最後の場面は、敗者の哀れを感じる。
建武新政は、偽綸旨が横行し、公卿たちが専横しだし、不平不満が高まっていく。
このようななか、護良親王、千種忠顕、新田義貞らと足利尊氏らとの溝が深まっていく。
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遂に高氏が挙兵し六波羅探題を倒す。鎌倉は新田義貞に攻められ、遂に鎌倉幕府が滅亡。北条高時、赤橋守時の最後が悲しい。鶴ちゃん、勝野さん、名演だった、大河の太平記。
これで落ち着くかと思われた世の中だが、建武の新政は、公家、武家、それぞれの思惑の中で混迷に陥っていく。高氏改め尊氏はどう動くか?