- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
紙の本
知っているようで知らない、インドネシア。
2011/07/30 10:34
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
インドネシアに駐在した元銀行員の体験記だが、著者自身が絵を描くことをメイドさんが「トワン(旦那さん)、ガンバルか?(スケッチですか?)」と尋ねたことが、日本語の「頑張る」に重なったことからついたユニークな一冊。「ガンバル」という言葉も旧宗主国のオランダ語から来たものと思うが、「キャンバス」が変化したものなのだろうか。
今では、インドネシアといえばバリ島に代表される観光スポットだが、一昔前までは低開発国という印象があった。しかしながら、それはあくまでも日本人の目から見ただけであって、実際に現地に住んでみれば文化程度、言語の成り立ちはさほど日本と変わりは無い。
この一冊を読んでいて驚くのは、一八八三年(明治十六)五月にスンダ海峡にあったクラカタウという火山島が大爆発を起こし、地球の上空に二年間も灰が漂ったという。この時、津波が発生し、その高さは三十六メートル、死者三万六千人と記録され、津波はドーバー海峡、サンフランシスコにまで到達したという。この火山爆発の影響なのか、日本では気象観測が始まった年でもあるが、バリ島観光程度では到底インドネシアを知ったことにはならない。
本書は単なる現地駐在員の体験記録だけではなく、比較文化論として読んでもおもしろい。東南アジアは華僑が経済支配をする地域といわれるが、その華僑と現地民との折り合いの付け方も記してある。タイでの政治的対立の背景も華僑が関係しているが、東南アジアでのニュースを理解する参考になるのではないだろうか。
かつて、スカルノ政権時代、日本からの戦時賠償金は「米百俵」の話と同じで、インドネシアから日本への留学生の費用になった。このことで日本とインドネシアとの親密な人間関係が築かれていたが、今ではどうだろうか。
インドネシア独立戦争前後の事を知りたく本書を手にしたが、多数の民族が多数の文化を持つ複合体がインドネシアであることを本書で知り、近視眼的に日本とインドネシアの関係を論じる前にインドネシアのことを知るべき、そう教えられた気がした。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |